延長コードやテーブルタップといった配線器具。

 コンセントから離れた場所で複数の電気製品を使える便利グッズですが、使い方を誤ると思わぬ事故につながることもあります。

 今月7日、大阪府茨木市の集合住宅で、親子3人が死亡する火事があった。「たこ足配線」の状態で、過剰な電気が流れて台所のコンセントプラグの一部が焦げ、出火した可能性があると府警はみているという。

 家電の事故を調査している独立行政法人・製品評価技術基盤機構(NITE〈ナイト〉)によると、2012年度からの5年間で発生した異常発熱などの配線器具の事故は353件。うち209件は火災を伴っている。

 NITEによると、延長コードや、複数の差し込み口がついているテーブルタップの最大容量は一般的には1500ワット。正確な数値は本体に表示されている。

 その最大容量を、配線器具につないだ電気製品の消費電力の合計が上回る状態で使うと、異常発熱して出火する可能性がある。近くに燃えやすいものなどがあると火事につながりかねない。

 最大容量は配線器具に電気製品を一つだけつないでいても、多くの電気製品をつないだりタップをさらに継ぎ足したりするたこ足の状態でも変わらない。一つのテーブルタップにパソコンや携帯電話の充電器、プリンターなどをつないで同時に使っても、最大容量を超えていなければ、それだけで危険ということにはならないという。

 NITEの柿原敬子さんは「電気代には敏感でも、電気製品の消費電力は意識していない人が多いのでは。個々の電気製品に表示されている消費電力の目安を必ず確認してほしい」と呼びかける。

 このほかにも、テレビの裏などホコリがたまりやすい場所にテーブルタップを置いている場合は別の注意が必要だ。コンセントプラグと差し込み口の間に隙間があると、そこにたまったほこりが原因となって出火するおそれがある。

 配線器具のコードがソファなどの家具の下敷きになっていると、断線して発火の原因になる可能性がある。つないでいる電気製品がついたり消えたりしたら断線の兆候だ。コードを束ねて使うと、伸ばした状態のコードに比べて放熱がしにくいため発火しやすくなる。コードを巻き取る「コードリール」には、巻いた状態でテーブルタップなどを使うと最大容量が3分の1になる製品もあるという。

 配線器具などを製造する企業が加盟する日本配線システム工業会は「長い間使っていると、コードなどが劣化し、そこから火花が出るなどして火事の原因となるおそれもある。3~5年に1回は交換を」と勧める。また、電気用品安全法の安全基準を満たした製品には裏側などに「コ」の文字が表示されており、表示のある製品の使用を呼びかけている。(有近隆史)

■配線の危険チェックリスト

.電気製品の消費電力の合計がテーブルタップなどの最大容量を上回る

.コンセントプラグにほこりがたまっている

.コードを束ねて使っている

.コードやプラグが熱くなっている

.コードが家具の下敷きになっている

.コードを動かすと製品がついたり消えたりする

.同じタップを5年以上使っている

※NITE、日本配線システム工業会への取材による