コピ・ルアクというコーヒーは、世界で最も高価なコーヒーとして知られるが、その生産にはジャコウネコの協力が不可欠だ。彼らにコーヒーの果実を与え、未消化で糞から排出された種子がコーヒー豆となる。腸内酵素の働きにより、キャラメルのような風味を与えると珍重され、1ポンド(454グラム)当たり230ドルで輸出されている。販売価格は300ドル以上になるようだ。
このコーヒーの生産現場は主にインドネシアだが、豆の生産を担うジャコウネコたちの環境は鶏肉工場のニワトリのケージようだと、動物福祉団体が強く警告を発した。野生から捕獲されたジャコウネコは小さな檻に入れられ、新たに生まれた家族とも引き離され、無理やりコーヒーの実を与えられ続ける。何万ものジャコウネコが、過酷な環境にあると伝えられた。
現地では一般的なジャコウネコも、種によっては絶滅危惧種のリスト入りしているものがある。ビントロングなどが当てはまるが、時にコーヒー豆生産の現場に見られるという。
「人々に、生産現場が実際どのような状況なのかを知って欲しい。その上でコーヒーを飲む気になるだろうか」と語るのは、Traffic south-east AsiaというNGO団体地区副本部長のクリス・シェパード氏だ。
だが、このコーヒー豆を生産することで生活の糧を得ている人が存在するのは事実だ。動物保護を優先すれば、コーヒー豆の値段はさらに跳ね上がるに違いない。結局、物言わぬ動物にしわ寄せがいくことになるのだろう。フェアトレードも所詮、人間同士の取り決めに過ぎないのだ。