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脱北者を待ち受ける韓国での新たな抑圧と偏見の壁
【4月26日 AFP】北朝鮮のエリート士官だったチュ・スンヒョン(Joo Seung-hyeon)さん(37)は、自分が地雷原や監視塔を避けながら非武装地帯(DMZ)を渡って韓国に亡命したときは、これから希望に満ちた新生活が始まるのだと信じて疑わなかった。だが現実は、予想以上に複雑なものだった。
チュさんはこれまで、単純労働の仕事を得るため数え切れないほどの面接に臨んだが、強いなまりが出た途端に断られてきた。ようやく仕事に就いたレストランでは、給与を韓国人の半分しかもらえなかったこともある。韓国人は「北の同胞」を「貧しく、文明を知らない野蛮人」と見なし、社会から排斥しているとチュさんは話す。
だがチュさんは、ラジオ放送を繰り返し聞いてなまりを直し、空き時間を利用して学位を取得。さらに、南北統一をテーマにした研究で博士号まで取った。脱北者が博士号を取得したケースは初めてだという。
チュさんは、根本的に異なる社会に住む脱北者が直面するさまざまな課題について詳述した本を書き上げたばかりだ。
朝鮮戦争(Korean War)の休戦協定が結ばれてから、北朝鮮の貧困と抑圧から逃れるために危険を冒して韓国に亡命した人々は3万人を超える。そんな彼らを、自由を切望する人間の象徴とする見方も多い。
統一という目標は、大韓民国憲法に明文化されており、韓国は大々的な宣伝活動を展開して脱北者を歓迎した。1970年代や1980年代には、「英雄」として全国的に有名になった脱北者もいる。
しかし1990年代に北朝鮮で数十万人が死亡する飢饉(ききん)が発生すると、韓国にはそれまで数える程度だった脱北者が雪崩を打って押し寄せるようになり、歓迎ムードはぷつりとやんだ。
国民感情は悪化し、今では多くの脱北者がまともな仕事を見つけることや友達をつくることの難しさを嘆く。彼らの知識や技能の大半は韓国では時代遅れか不適切と見なされ、白い目で見られたり、うさんくさく思われたりすることもしょっちゅうだ。
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