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ソン・ガンホ×ローグ・ワン×タクシー「タクシー運転手〜約束は海を越えて〜」が予想以上に熱い

2018年4月26日 09時45分 ライター情報:しげる
韓国史において極めて重大な事件を扱っていながら、内容的には実質『ローグ・ワン』……。何を言っているのかわからないかもしれないが、それが『タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜』である。

適当な運転手とドイツ人ジャーナリスト、タクシーに乗って大混乱の光州へ!


『タクシー運転手』が扱っているのが、1980年に韓国の光州で発生した光州事件だ。当時韓国では朴正煕大統領が暗殺され、それまでの軍事独裁政権からの脱却ムードが漂っていた。しかし1979年12月に全斗煥陸軍少将がクーデターで政権を掌握。さらに1980年5月17日には野党の政治家である金泳三、金大中らを逮捕し、全国に戒厳令を布告した。民主化すると思っていたら大物軍人が出てきて全く逆のことを始めたわけで、民主化を求める学生らを中心に不満が溜まっていく。

戒厳令布告の翌日である5月18日、韓国南部の全羅南道にある光州市で、大学を封鎖した陸軍空挺部隊と抗議する学生たちが衝突する。19日にはデモの主体は学生を含む市民全体に広がり、21日には空挺部隊が群衆に対する一斉射撃を開始。市民側も角材や火炎瓶で対抗し、さらに強度予備軍の武器庫を襲撃して武装、空挺部隊に応戦する。市街戦さながらの状況に突入した光州市だったが、この事件は韓国国内で一切まともに報道されず「スパイに先導された暴徒が光州で暴れている」という、事実と全く異なるニュースが流れた。

『タクシー運転手』の主人公であるキム・マンソプは、こんな政治状況には全然関心も関係もないソウルのタクシー運転手である。連日のデモで塞がる道路に閉口し、「韓国はいい国なのに、デモで暴れる学生は何が不満なんだ?」と愚痴る日々。妻に先立たれ11歳の娘と家賃も払えないほどカツカツの暮らしを送るマンソプは、食堂で聞きつけた「外人のおっさんを光州まで乗せていくだけで10万ウォンもらえる」という話に飛びつき、実際に乗せていくはずの運転手を出し抜いて見知らぬ外国人を乗せる。

乗客は、東京に駐在するドイツ人記者ユルゲン・ヒンツペーターだった。「光州で何かが起きている」という話を聞きつけた彼は韓国へ飛び、光州に潜入するルートを探っていたのだ。光州に近づくにつれ増える軍の検問を訝しむマンソプ。だが10万ウォンのため、機転を利かせて光州市内に進入する。そこに広がっていたのは物が散らばった無人の道路と、角材で武装した学生を満載したトラック。

ライター情報

しげる

ライター。岐阜県出身。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。

URL:Twitter:@gerusea

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