吉川ばんび
大阪在住のフリーライター。取材・コラム・PR記事などの執筆をしています。妄想癖が強めです。
-------
私はしばらく恋をしていない。
でも少女の頃から、15年間ずっと憧れている人がいる。
その名は、戸愚呂(とぐろ)。
(c)Yoshihiro Togashi 2011/Shueisha
こちらが、戸愚呂。大人気マンガ『幽遊白書』に登場するキャラクター。元人間だが、「永遠の若さ」と「人知を超えた力」と...
そんな戸愚呂の魅力はなんといっても、計り知れない強さ。そして、厳しくも優しいその人格。時おり見せる、悲しげな目。
そのすべてが魅力的で、当時11歳だった私は、一瞬で戸愚呂に心奪われた。
戸愚呂とデートがしたい。
私の住む大阪で、戸愚呂とデートができたなら、どこに遊びに行けばいいだろう。
妄想してみたい。
■待ち合わせ
やってきたのは、大阪・JR天王寺駅。
「戸愚呂、お待たせ~!!」
駆け寄る私。戸愚呂の口角が、少し上がった。サングラス越しに見つめられていると思うと、なんだか恥ずかしい。
「あれ、お兄さんは?」
そう、いつも肩の上に乗っている兄がいないのだ。
「今日は、お留守番?」
戸愚呂は、私の問いかけに黙ってうなずいた。
私「ふふっ、そっかぁ、じゃあ今日は戸愚呂と二人きり……なんだね」
戸愚呂「だれにもジャマはさせん 一対一だ」(※1 『幽・遊・白書』単行本12巻45ページから引用)
-------トクン。
胸の鼓動が鳴り、きゅう、と締め付けられるような感覚がした。
ジャマはさせないなんて、どういうつもりで言っているのだろう。
もしかして、戸愚呂も私とのデートを楽しみにしてくれていたのだろうか。
それとも、私をおちょくってるだけ?
こんな気持ちは初めてで、どんな顔をしたらいいのかわからなかった。
■パンケーキを食べよう
JR天王寺駅の南口を出て、「あべのキューズモール」へ向かう。
エスカレーターで地下1階に降りると、目当てのカフェにたどり着いた。
『ELK NEW YORK BRUNCH あべのキューズモール店』。
とってもオシャレな店内。落ち着いた雰囲気で居心地も◎。
▲大人気の「季節の国産フルーツパンケーキ」(パンケーキ3枚・ドリンクセットで1,580円)
フワッフワ……! これは、女の子にはたまらない。
戸愚呂「甘いねェ 甘い甘い甘い甘い!!」(※2 『幽・遊・白書』単行本12巻175ページから引用)
いつもクールな戸愚呂が、パンケーキをこんなにおいしそうに食べるなんて。
彼の新しい顔を見ることができたような気がして、うれしくなった。
■天王寺動物園へ
パンケーキを食べ終え、私たちは天王寺動物園へ。
戸愚呂が「こう見えてもねェ 結構動物好きなんすよ」【※3】と言っていたため、動物園デートに決めたのだ。(※3 『幽・遊・白書』単行本6巻35ページから引用)
JR天王寺駅の南口から3分ほどのところにある天王寺公園を、5分ほど散歩すれば天王寺動物園に到着だ。
ちなみに動物といえば、大阪ではおなじみの海遊館も捨てがたい。
海遊館は、大阪メトロ中央線・大阪港駅から徒歩5分ほどのところにある、大きな水族館だ。近くには世界最大級の高さを誇る「天保山大観覧車」もある。また今度、戸愚呂と行けたらいいな……。
「ねえ、戸愚呂。ウサギだよ。かわいいね」
動物園に来るなんて、何年ぶりだろう。
好きな人と一緒に来られたから、私は完全に浮かれてしまっている。
■お昼ごはんを食べよう
動物園は広い。
「ちょっと疲れたから休憩しようよ」と言ったら、戸愚呂は私を肩に乗せてくれた。
はじめて乗る、戸愚呂の肩。お兄さんはいつも、周りの景色がこんなふうに見えているのか。
私「お腹すいてきたね。戸愚呂は?」
戸愚呂「言い忘れたが100%のオレはひどくハラがへる」(※6 『幽・遊・白書』単行本12巻130ページから引用)
私「今、100%の状態なんだね……」
戸愚呂は、筋肉量を自在に操れる。100%の状態は体に大きく負荷がかかるはずなのに、どうして私なんかのために?
もしかして、私を危険な目に遭わせないように、守ってくれているのかな?
お腹をすかした戸愚呂と、園内にあるフードコートで軽食をとることに。
「はい、あーん!」
▲近くにいた子どもが、おびえた顔をしていた
私「おいしかったね!」
戸愚呂「まだだ まだ足りんな」(※7 『幽・遊・白書』単行本12巻142ページから引用)
戸愚呂は、落ち着いた見た目とは裏腹に、食べ盛りの男の子みたいだ。普段は強面のサングラスで、体も大きくて近寄りがたいけれど、たまに見た目とのギャップを感じる。彼のそんなところも好きだ。
■あたたかいものを食べよう
夕方になり、少し肌寒くなってきた。
さっきから上半身裸の戸愚呂は、いくら100%とはいえ、寒いに違いない。
私「寒くないの?」
戸愚呂「寒け……!? オレが!?」(※8 『幽・遊・白書』単行本12巻166ページから引用)
やはり、さすがに寒いようだ。どこかお店に入って、あたたかいものでも食べさせてあげよう。
JR天王寺駅の北口より徒歩1分のところにある、『MARUFUJI CAFE』 へ行くことに。
▲『MARUFUJI CAFE』 さんの人気メニュー「まるふじだんご(3本入り)セット」(煎茶/ほうじ茶付きで700円)
あんのバリエーションは、「みたらしあん」「黒みつ黄な粉あん」「抹茶あん」「つけ焼き醤油あん」「ピザ」「たこ焼き」の6種類の中から3つ選べる。二人いれば、6種類すべて1本ずつ頼めるのがいい。
私「あったかくておいしいね!」
戸愚呂「ぬううううんン」(※9 『幽・遊・白書』単行本13巻13ページから引用)
戸愚呂も満足げだ。冷え切った体も温まったみたいで、一安心。
■夜景を見ながら晩ごはん
楽しい時間はあっという間に過ぎる。
気づいたらもう18時だ。
晩ごはんを食べに、JR天王寺駅から直結の日本一高いビル「あべのハルカス」へ。
『ルーチェサンタルチア あべのハルカスダイニング店』に入った。
店員さん「ご注文はお決まりですか?」
戸愚呂「酒はダメなんで オレンジジュースください」(※10 『幽・遊・白書』単行本11巻39ページから引用)
戸愚呂はお酒が飲めない。だから、居酒屋然としたお店に入るよりも、こういう落ち着いた雰囲気のお店の方が気に入るはず。そう思って、このお店を選んだのだ。
▲「Pisaの焼きたてバケッ塔(博多明太子バター)」(330円)
▲「ナポリの気まぐれカプリチョーザ」(1,280円)
「……戸愚呂は私のこと、どう思ってるの?」
唐突な質問に、戸愚呂の動きが止まった。
今日私は、戸愚呂にこの質問をしようと心に決めていた。
私ばかりが彼のことを好きで、やきもきしているような気がして。
どうしても、戸愚呂の気持ちを確認したかったのだ。
「……ゴメン急に。でも、付き合ってるのか付き合ってないのかもわかんないし、戸愚呂が私のこと好きなのかどうかもわかんなくて……」
ほとんど消え入りそうな声。それでも、やっとの思いで絞り出した声だった。
ずっとずっと、戸愚呂のことが好きだった。
自分でも、どうすればいいかわからないほどに。
「フッ」(※11 『幽・遊・白書』単行本12巻153ページから引用)
戸愚呂は、口角を少し上げて笑った。
戸愚呂「話はまとまったようだな オレもそれは考えていた…最後の手段としてな」(※12 『幽・遊・白書』単行本12巻153ページから引用)
私「最後の手段って……どういう意味?」
戸愚呂「いい目だ そんな目をして挑んできた奴の屍を乗り越えてオレは勝ってきた」(※13 『幽・遊・白書』単行本12巻187ページから引用)
私「……屍を乗り越えてきたって、それってつまり、告白してきた女の子を振り続けてきたってこと? 私も……振られるってことなの?」
戸愚呂「もうお前は一人で十分なのだ それがわからないかね!!」(※14 『幽・遊・白書』単行本12巻175ページから引用)
2人の間に流れる空気が変わった。
戸愚呂は、少しもどかしそうな顔をした。
いつもの落ち着いた彼とは違って、少し自分のペースを乱されたかのような表情だった。
戸愚呂「何か一つを極めるということは他の全てを捨てること!!」(※15 『幽・遊・白書』単行本13巻10ページから引用)
戸愚呂「そしてお前も こうなることを望んでいた!!」(※16 『幽・遊・白書』単行本12巻169ページから引用)
戸愚呂「つまりはオレのために 死んでもらう」(※17 『幽・遊・白書』単行本12巻155ページから引用)
そこまで言われて、ようやく彼の言おうとしていることが理解できた。
私「もしかして……『死ぬまで一緒にいよう』って……こと?」
戸愚呂は再び余裕の表情に戻り、ニヤリと笑った。
戸愚呂「フ できるかね」(※18 『幽・遊・白書』単行本12巻179ページから引用)
私「できる! できるよ……!! うれしい。でも、私なんかで本当にいいの?」
戸愚呂「もう決めたことだ 変える気はない」(※19 『幽・遊・白書』単行本13巻50ページから引用)
「戸愚呂っ……!!」
■そして帰り道……
時刻は21時。
あたりはもう真っ暗だ。
別れるのは寂しいけれど、明日は仕事なので、そろそろ帰らなくてはいけない。
「帰る前に、もう少しだけ一緒に歩きたい」
私の突然のわがままにも、彼は快く応えてくれた。
駅に向かう途中だったが、天王寺公園の方向へと進路を変える。
夜の天王寺公園は、人影がまばらだった。
「あ、ベンチ空いてるね。座ろう?」
夜風が少し肌寒かったが、戸愚呂の隣に座っていると、温かかった。
戸愚呂が風上に座って、私に風が当たらないようにしてくれていることに、しばらくして気がついた。
たったそれだけのことだが、うれしくて、愛おしくて、たまらない気持ちになった。
ずっとこのまま、こうしていたい。
彼に守られながら、隣で笑っていたい。
彼を幸せにしたい、そう思った。
仕事のことを話したり、魔界の話を聞いたりした。好きな人と一緒にいると、あっという間に時間が過ぎてゆく。いっそこのまま、時が止まってしまえばいいのに。
「……そろそろ帰ろうか」
本音を言えば、このまま終電を逃してもいい。
天王寺公園をあとにすると、JR天王寺駅は、すぐそこ。
間もなく、駅に着いてしまう。
手をつなぎたかったが、あとほんの少しの勇気が出なかった。
「……今日はありがとう。楽しかった」
改札前まで見送ってくれた戸愚呂は、別れ際、サングラスを外してほほ笑んだ。
未だかつて見たことがないくらい、優しい目だった。
改札から遠ざかっていく彼の大きな背中が見えなくなるまで、目で追い続けた。
これから訪れるたくさんの出来事も、どんな苦難も、彼と乗り越えていきたい。
遠くで一度だけ、彼がこちらを振り返ったような気がした。
……っていう妄想をしてたら、日曜日が終わりました。
誰か助けてください。
■他にもたくさん!大阪デートスポット周辺で食通おすすめのお店
▼「天王寺動物園」近くのお店
天王寺の新たなお洒落スポット「てんしば」の一押しランチ3選
https://mecicolle.gnavi.co.jp/report/detail/8209/?from_article
かわいすぎて親子で悶絶!春休みに絶対食べたい動物園の白くまカレー
https://mecicolle.gnavi.co.jp/report/detail/12418/?from_article
▼「あべのハルカス」近くのお店
覚えておいて損はない!サク飲みからしっかり飲みまでOKな安旨酒場6選(6軒目で紹介)
https://mecicolle.gnavi.co.jp/report/detail/12450/?from_article
寒い夜にピッタリ!大阪市内で「心温まるラーメン」が味わえる新店3軒(3軒目で紹介)
https://mecicolle.gnavi.co.jp/report/detail/11616/?from_article
▼「海遊館」近くのお店
大阪で食べる本格水餃子!個性豊かな名店6選(6軒目で紹介)
https://mecicolle.gnavi.co.jp/report/detail/6447/?from_article
(編集:ノオト 撮影:黒川直樹/クロカワ広報室)