渋谷に「銀河系一、美味いウーロンハイ」がある。
そう言われて、「いや、言いすぎでは……?いくらなんでも銀河系は広すぎだわー」って思いません?
しかもウーロンハイ。みなさんご存知、あのウーロンハイです。焼酎をウーロン茶で割った、だいたいのお店にあるド定番なお酒です。
ていうか、ウーロンハイってどこで飲んでも同じじゃないの?薄い / 濃いくらいの違いしかないのでは?それが「銀河系一」ってどういうことなの???
しかも考えれば考えるほど、「銀河系一」というスケール感が絶妙。「宇宙一」「世界一」だと少しうさんくさく感じるのに、「銀河系一」というと、ひとさじの謙虚さを感じられて、一気に親しみを覚えてしまう……き、気になる!
ということで、そんな「銀河系一」の一杯を飲んでまいりました。
結論から申し上げると、私のなかでウーロンハイ革命が起こってしまったのです。
これが「銀河系一 美味いウーロンハイ」だ
申し遅れましたが、編集部の白山と申します。本当はウーロンハイより緑茶ハイ派です。
さて、やってきたのは、渋谷・桜丘「MeWe(ミーウィー)」。セルリアンタワーの裏手、気を抜いていると通り過ぎてしまいそうな路地の一角にあるお店です。渋谷といっても、このあたりはとても落ち着いた雰囲気ですな。
▲店頭のちょうちんには「名曲居酒屋」の文字。MeWeは音楽好きが集うお店でもあるのです。
とにもかくにも「銀河系一 美味いウーロンハイ」を飲まねばなるまい……!
ということで、「ウーロンハイください」と注文します。
▲やってきました、こちらが“銀河系一”という1杯。ちなみに、奥の生ビールはエビスです。そして皿やらコースターがかわいい、ほしい。
やってきたのがこちら。見た目は、普通のウーロンハイより少し色が薄いですね。鼻を近づけてみると、かすかに華やかな香りがするかな?くらいのものです。
飲んでみると……
あ、すごい。
なんだろう、唇から喉まで何も引っかからない。水なの?というレベル。いや、水以上かもしれない。
なんだこれ、太陽系に住んでてよかった……!
まろやかで、やわらかくて、「スルスル飲める」という表現がまさにピッタリの飲み口なのです。カドとか濁りとか一切なくて、丸さと透明感しかない。
すんごく飲みやすいのに、その一方で、口に含むと上品で華やかな香り(ちょっと紅茶にも似ている)が一気にふわりと広がります。鼻で嗅ぐ香りとは全く別物。口に含んだときのほうが断然豊かに広がります。
かといって香りは強すぎず、全くいやらしくない。高貴な香りというんですかね、とにかくずっと舌の上で転がしていたくなる美味しさなのです。
一口めからガッツリ衝撃を受けてしまいました。お酒に限らず、今までの人生でこんなの飲んだことないよ……!
実はこのウーロンハイ、正式名称は「銀河系いち美味い 凍頂ウーロンハイ」なんです。
普通のウーロン茶ではなく、台湾の凍頂烏龍茶を使っているんですね。だから色も薄いし、渋みなんかは一切なく、華やかな香りだけがある……というわけです。
お店で茶葉から煮出しているそう。店長の伊達さんは「もう市販のウーロン茶は飲めない」といいます(わかる)。
▲箸置きの殻つきピーナッツは普通に割って食べられます。良い。
いや、でも、それにしたって、このウーロンハイは美味すぎる。
凍頂烏龍茶の良い茶葉を買って自宅で淹れたって、こんなに美味しくならないと思うんですよ。そう確信できるくらい、このウーロンハイの飲み口は革命的。
その秘密は焼酎にあるそうです。
伊達さんがこのウーロンハイを完成させたのは16年前。このMeWeはオープン当初から、このウーロンハイありきのお店だったそうで、レシピはずーっと変わっていません。「銀河系一」というネーミングはここ5年くらいのことらしい。
もちろんウーロン茶にも相当こだわっていますが、一番時間がかかったのが、この焼酎を決める作業だったそう。
「何を使っているかは明かせないですね」と伊達さん。
元バーテンダーでもある伊達さんが、とあるお店に通い詰めてようやく教えてもらったとのこと。その焼酎だからこそ、このまろやかで軽やかな飲み口が成立するわけです。
▲この日のお通しはブロッコリーのナムル、もやしのカレー炒め(3人でお邪魔しました)。毎日お弁当にこれ入れてほしい。余談ですけど、ブロッコリーの茎って美味しいですよね。
いやね、飲んでて思ったんですよ、酒くささみたいなものが一切ないなと……!
お茶ハイ系って良くも悪くも、「いまお酒飲んでます」って感じの酒っぽさがガッツーンくる瞬間があるじゃないですか。このウーロンハイはその「ガッツーン」が全くない。
ただ、最後に一瞬、ほのかにお酒の余韻みたいなものが通るのです。だから「お酒を飲んでいる」という満足感もきちんと得られる。あまりに飲みやすくて美味しいから、気づくとベロンベロンになりそうな気もしますが!
ちなみに、一番よく出た日は150杯くらいだったそうです(ウーロン茶は14リットルくらい仕込んだらしい)。こんなにウーロンハイばっかり注文されるお店は他にないんじゃないだろうか……。
ウーロンハイはどの料理にも合う、合いすぎる
銀河系一のウーロンハイはそれだけで飲んでも美味しいのですが、香りが強すぎないので食事も邪魔しません。そしてビックリするほど何にでも合う!!!
さらに、MeWeは思わず頭を抱えちゃうくらい魅力的なメニューばっかりなんです。どれも食べたい……。
▲お邪魔した日の黒板メニュー。「豆苗と大根と茗荷の山椒ちりめんサラダ」とか「カブのナンプラー炒め」とか、「うわ~絶対うまいやつ~~~!」って叫びそうになりました。どうしてこんな天才的な組み合わせを思いつくの……。
▲定番メニューも絶対にうまいやつらが並んでいます。悩ましすぎて本当に頭を抱えてしまう……!
ここから、怒涛のお料理紹介まいります。本当にどれもハズレがなくて、みごとに期待を裏切ってもらえますよ(良い意味で)。
【カキのくんせいオイル漬け】(600円)
燻製の香りとウーロンハイがどんなふうにマッチするのか気になって注文してみました。牡蠣でっかいしプリップリ……!
とても丁寧に燻されている感じで、燻製の香りもまろやかで程良いです。牡蠣の嫌なところとか一切なくて、まさに旨味の塊。食感もプニッというか、むにっというか。これ、どうやって調理しているんだろう。
ウーロンハイは牡蠣を邪魔せず、香りを添えることで引き立ててくれています。
この小さな球体には春が詰まっておりました。天ぷらよりフリットに近い感じ?
サクッカリッとした衣の中から、ほっくり甘い芽キャベツが現れます。えぐみとか一切ナシ。もともと芽キャベツ大好き人間なのですが、揚げるとホクホクするというのは良い発見でした。軽くて何個でも食べられそう。
【自家製ししゃもの燻製】(600円)
写真だとわかりにくいのですが、これもっとテリッテリなんです。つやつやでぷっくりしていて、本当に美しい。
これまでの人生で、ししゃもでテンションが上がったことはなかったのですが、もしこれが家にあったら寄り道なんてせず、毎日絶対に早く帰ると思います。ししゃもの脂、うまい……。
【鴨ネギレタス】(650円)
大変。これは世紀の発明レベル。
鴨のベーコン?と細切りのレタスが混ざり合って、とんでもない化学変化を引き起こしています。鴨の独特な旨味が野菜たちに染みわたっている……箸が止まらなくなる系の味です。箸どころかスプーンでわしわしと食べたい。控えめながら大葉の香りもとっても良いのです。
さっきから書いていますが、MeWeには「こんな最高な組み合わせ、どうやって発見したの?」というお料理が多いんですよね。とりあえず、この鴨ネギレタスはメニューにあったら絶対に頼んでほしいです。
【牛すじ豆腐】(500円)
甘くない煮込みを求めている人は渋谷に来ましょう。
こっくりしているのにさっぱり、脂の甘みはあるのに全くしつこくない、そんな絶妙なバランスの煮込みです。生姜が入っていて、たまに主張してくるのも良い!さらに、卓上の黒七味をかけると、キュッと味が締まってガラリと表情が変わります。
個人的に、ウーロンハイに一番合うと思ったお料理はこの牛すじ豆腐でした。思わずため息をついちゃうほど美味しかったです。
お肉はホロホロ、お豆腐は染み染み……良い煮込みに出会えました。
【山芋唐揚げ】(550円)
山芋って不思議な野菜ですよね。生で食べるとシャクシャク、すりおろすとトロトロ、火を通すとホクホク。これはお酒が進んで仕方ないつまみです。きっとどんなお酒でも合う間違いのないやつ。
アッツアツで、中は少しとろんとしてホクホク。青のりがめっちゃ良いです。衣にも味がついていて旨いのですが、抹茶塩をつけていただくと香りも複雑になって違う美味しさ。なお、冷めてもうまいです。
【ハムカツ】(650円)
定番のつまみなはずなのに、なんか違う……!
ウスターソースひたひたで、ウエッティなはずなのに、衣はしっかりとザクザク感をキープ。ハムは“むにんっ”とした食感です。酒、酒をください……!
ソースは若干酸味があって全体の味が締まります。熱々なハムカツに冷たいキャベツがまた良いんですよね。
ハムカツなんて、これまでの人生でたくさん食べてきたはずのに、なぜか「こんなん初めて食べる……!」ってなりました。美味しい。
【夜のナポリタン】(ハーフ500円/レギュラー800円)
またもやネーミングが素晴らしいお料理。「夜のナポリタン」って、確実に美味しいですよね……?
「夜の」とついているのは、「酒のつまみになるから」という理由みたいです。
見た目は普通のナポリタンのように見えますが、ケチャップ感はなく、甘くて濃いめの味付けです。煮物のような照り照り感?がありまして、たしかに酒が…進む……。麺に噛みごたえがあるのも非常にお酒に合います。
で、ナポリタンにはこいつが入っていました。
ホタルイカ……!?(皿が汚くてすみません)
いやいやいやいや、ナポリタンにホタルイカって想像できますか?意味わかんないよ!(褒めています)
「なんか旨味成分めっちゃ強いよね」「魚介っぽい」「箸が進みすぎる」みたいな会話を同行者と繰り広げていたのですが、まさかホタルイカが入っているなんて予想できないじゃないですか。
MeWeは、こういう予想外の出会いがあるお店です。
そしてウーロンハイはみごとに全ての料理に合いました。本当に合わせる食事を選ばない。包容力しか感じません。付き合ってくれ。一方で、単体でちびちび飲んでも満足できるのがスゴい。
理想的な「濃い緑茶ハイ」もある
もちろんウーロンハイは絶対に飲んでほしいのですが、そのうえで、「緑茶ハイ」(500円)も美味しかったので紹介させてください。
濃い!!!
向こう側が見えない、理想的なビジュアルです。最高では?
店長の伊達さんに「ウーロンハイ以外でオススメって何ですか?」と伺ったところ、「緑茶ハイですかね。うちのはとにかく濃いのが特徴。お寿司屋さんとかでも使う粉茶を使っているんで、お茶の味もしつつ酒の味もちゃんと楽しめるんですよ」とすすめていただきました。
伊達さんのおっしゃるとおり、お茶の味もお酒の味もしっかり楽しめます。ウーロンハイに比べると、お茶が濃いぶん「ガツンと」感はありますが、後半にちびちび飲むのが良いかも。
そのほかの飲み物メニューはこんな感じ。
▲飲み物メニュー1。写真を見て気づいたけど「オレンジビールハイボール」とか何それ美味しそう。あと右ページの焼酎ラインナップがイケてるし安い!
▲飲み物メニュー2。ブラジルのお酒なんかもあります。すごく種類が豊富&個性的なものが多くて、眺めているだけで楽しい。このほかに、自家製の薬膳酒を使ったカクテルもありました。
▲キンミヤかと思ったらMeWeボトル。麦焼酎だそうです。その上に並んでいるのが自家製の薬膳酒であります。
我々がお邪魔したのは19時半頃。その頃にはカウンターで飲んでいるお客さんが1組いらっしゃるくらいだったのですが、20時半あたりから一気にほぼ満席に。
駅からこちら方面に来るにはけっこう歩きますし、通りを1本入ったところなので本当に“隠れ家”のようなお店なのですが、それでもこの人気ぶり。唯一無二のウーロンハイ、数々の美味しすぎるお料理を味わってしまうと、納得しかありません。
「銀河系一 美味いウーロンハイ」に始まり、食べ物も飲み物も本当に素晴らしすぎました。ウーロンハイが好きな人もそうでない人も、ぜひ一度飲んでみてほしいです!
紹介したお店
- ジャンル:ホームパーティー居酒屋
- 住所: 〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町28-3 恒和渋谷ビル2F
- エリア: 渋谷
- このお店を含むブログを見る | 渋谷の居酒屋をぐるなびで見る
公式HP:http://www.mewe-shibuya.com/
貸切営業の日もあるようので、公式Twitterをチェックすると良いかもしれません。