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山口達也さん、あなたもロリコン病に堕ちていたのか

2018年4月26日 11時42分

ライター情報:勝部元気

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国民的アイドルグループ「TOKIO」のメンバー山口達也氏が、強制わいせつの疑いで書類送検されていたことが発覚し、インターネット上は近年まれに見るほどの大騒ぎになっています。
 
報道によると、山口氏は出演するNHK・Eテレの情報番組「Rの法則」で知り合った女子高校生を自宅に呼び、飲酒を勧めた上で、無理やりキスをする等のわいせつ行為を及んだ疑いがあるとのことです。許されざる犯罪行為であり、社会的に非難を受けるのは当然のことでしょう。


呼ばれた被害者は何も悪くない!


ところが、財務省福田元事務次官のセクハラ問題でも、被害者であるはずのテレ朝女性記者が、ネットやメディアやあろうことか政治家たちからも叩かれたのと同様に、今回も被害者の女子高校生が山口氏の部屋に行った点を問題視し、「家に行く奴も悪い!」と被害者叩きを繰り広げる人たちが噴出しているようです。
 
ですが、おそらく芸能界に興味を持っているかもしれない子が、30歳も年上の芸能界の大先輩から家に呼ばれたら、通常喜んで行くのではないでしょうか? 「(人として)仲良くなって芸能界のことを色々と教わりたい!」と思うはずです。そこで「相手が男性だから行くな(=男性の先輩から学ぶ機会は放棄せよ)」というのは、「女性は番記者をするな」と同じで単なる女性差別です。
 
逆に、彼女が嫌だと思っていたとしても、相手は番組を司る大物芸能人で、自分の今後の出演に関しても生殺与奪の権利を有しているような存在ですから、逆恨みを恐れて事実上断れないと思います。そこに女子高校生側の自由な自己決定性はかなり弱いと考えるのが妥当です。
 
それに、3倍も年齢が違う、父親と年齢の変わらないような大人がまさか自分のような子供にキスをしてくるなんて、普通は想像もしないでしょう。とりわけ相手はゴロツキではない、社会的地位のある大人で、好感度の高いTOKIOならなおさらです。

「たられば叩き」は机上の空論

 
また、女性による「私なら家に行かない」「私なら断る」のようなマウンティングも起こっているようですが、これもやめて欲しいと思います。被害者は別の人間ですし、そもそも相手は年齢も知名度も社会的権力も腕力も圧倒的に上の存在であり、思うように意思表示出来ないのが普通で、出来る自分という特殊ケースを基準にすべきではありません。
 
「私だっ“たら”誘いを断る」
「家に行かなけ“れば”良かっただけだろ」
 
このような「たられば叩き」は男女ともに広く見られますが、非常に醜く愚かな言動です。たらればと仮定で物事を言えるのは、事件が起こったという事実を既に知っているからです。被害者女子高校生が置かれている状況を何も知らないからです。つまり、机上の空論に過ぎません。
 
仮に、性的な行為をされるかもしれないと頭の片隅にあったとしても、そもそも性暴力は加害者が加害行為を行わなければ成立しないので、被害者に過失(落ち度)は一切ありません。100%加害者が悪いので、被害者を責めるべき理由なんて一つもありません。
 
そして、被害者女子高校生の自衛不足を責めれば責めるほど、女性が「全ての男は性犯罪者予備軍である」という考え抱くことを促進することになりますが、男性たちはそれでも良いのでしょうか? それでいて自分が女性から自衛の対象になったら「Not All Men!」と怒る人は少なくありませんが、完全なる因果応報です。

ハニトラと言い出す人は歪んだミソジニー


また、Twitterで「山口 ハニトラ」と検索すれば、相も変わらず「ハニートラップだ!」というVictim Blaming(被害者叩き)&セカンドレイプがごまんと出てきます。この事件のどこをどう見ればハニートラップだという判断ができるのがまるで分からないですが、彼らはとにかく女性を叩きたくて仕方ないのでしょう。

もちろん彼ら彼女らが被害者叩きをするのは、ミソジニー(女性嫌悪)だからです。女性が悪者だと思っているから、「男性が加害者で女性が被害者」という構図に認知的不協和を覚える。それを解消するために、女性側の粗を探し、事実ではなくとも「ハニトラだろう」と信じ込むわけです。

ちなみに、100%有り得ないですが、仮にハニートラップを仕掛けるのが目当てだった場合でも、子供に誘われて応じてしまう大人が100%おかしいと思います。「(女性による)ハニートラップ」ではなく、「(男性の)ハニー自爆」が正しい言い回しだと思います。

ライター情報: 勝部元気

株式会社リプロエージェント代表取締役社長。社会派コラムニスト。1983年東京都生まれ。早稲田大学社会科学部卒。専門はジェンダー論や現代社会論等。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。著書『恋愛氷河期』(扶桑社)。所有する資格数は66個。

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