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 NTTグループが海賊版サイトへのアクセスを遮断する「サイトブロッキング」の実施を2018年4月23日に発表したことに対し、反発が広がっている。司法の判断や法律に基づかず、ユーザーの同意もないサイトブロッキングは、通信の中身を見て特定の通信を遮断する点で、通信の秘密の侵害につながる可能性があるためだ。

 主婦連合会および全国地域婦人団体連絡協議会は4月25日に「実際にブロッキングを行った場合には、刑事告発を行うことも辞さない」とする意見書を公開した。4月26日には戸田総合法律事務所の中澤佑一弁護士が、ブロッキングは通信の秘密の侵害に当たるとしてNTTコミュニケーションズを東京地方裁判所に提訴した。

 NTTグループはどのような判断でブロッキングの実施を決定し、どのような運用で臨むのか。NTT持ち株会社に聞いた(同社広報との文章ベースでの質問と回答に基づく。文末表現など一部編集した)。

現段階でブロッキングをいつ実施する予定か。実施した際に対外発表する予定は。

 速やかに実施すべく準備している。時期の目安については、現在準備している段階であり、回答できない。現時点では、開始時の報道発表などによるアナウンスは検討中だ。

ブロッキングの運用について聞きたい。ブロック対象サイトのリストは、どのような指針で、どれくらいの頻度で更新するのか。ブロッキングの解除はどう判断するのか。

 NTTの判断でリストを更新することはない。政府等から新たに指定されるなど、しかるべき手続きを経て特定されたサイトに対して速やかにブロッキングを実施する考えだ。ブロッキングの解除についてもリストの更新と同様の考えだ。

ブロッキングの法的根拠について、NTTとしてどう判断したのか。

 これまでも形式的に通信の秘密の侵害に該当するおそれのある行為のうち、児童ポルノ閲覧を防止するためのブロッキングや、サイバー攻撃対策としてのブロッキングなど、社会的要請等から対応を迫られる事業者の行為に関しては、主務官庁である総務省の判断や解釈にのっとった対応をしてきたところだ。

 今般の政府決定では、特に悪質な海賊版サイトのブロッキングについては、緊急避難の要件を満たす場合、違法性が阻却されると示したうえで、法制度整備が行われるまでの間の臨時的かつ緊急的な措置として3サイトのブロッキングは適当としている。その政府決定に基づき、3サイトへのブロッキングを判断したものだ。

 よって、法的判断については、弊社から申し上げることはない。我々としては、政府や総務省から新たな見解が示されれば、それに従う考えだ。