
このエクスプロイトは、Tegra X1のUSBリカバリモード内にある脆弱性を利用。USB制御に不適切な引数を送信することでbootROM内のDMAバッファをオーバーフローさせ、本来は働くはずのロックアウト(不正操作の締め出し)を回避。ハッカーはスイッチ上で任意のコードを実行できるしくみとのこと。
スイッチのハード改造については、本体の分解は必要なく、右側のJoy-Conコネクタの特定のピンをショートさせるだけ。failOverflowチームは、このショート作業を簡単に実現できるmodチップ的なデバイス「SwitchX Pro」の写真をツイート。さらには「待ちきれない人には簡易バージョンもあるよ」とばかりに電線の写真をアップしていました。
海外メディアArsTechnicaの問い合わせに対して、任天堂とNVIDIAは今のところ回答していないとのこと。
とはいえ、任天堂はこの事態に対して全く何もできないわけではない、とArsTechnicaは追記。もし仮に改造ハードが広まったとしても、任天堂サーバーにアクセスした際に「ハッキングされた」システムを検出した上で、オンライン機能を使用不可にできるという可能性も指摘しています。
事実、3DSの『ポケットモンスター サン・ムーン』の海賊版を遊んでいたプレイヤーがオンラインサービスからBANされたこともありました。
今のところ「概念証明」以外のコード実行法は明かされていませんが、、Temkin氏はFAQで、将来的にスイッチのSDカードからデータをロードできるようになることを示唆。暗に一般ユーザーがゲームの違法コピーなどを実行できる危険性を述べています。
Temkin氏は「これらの脆弱性を独力で発見した当事者によっては、悪いことがたくさん起こる可能性がある」という理由で明らかにしたとのこと。実際に脆弱性を利用したmodchip的ツールの販売を計画しているチームがあると指摘し、「少数の人に情報を伝えることで利益を得ようとしている」ハッカーがいるため、これに反対する意図だとしています。
「泥棒が合鍵を作ってるから、合鍵の作り方を広く知らせて警告しておくよ」という姿勢には「だったら任天堂だけに通報すればいいのでは」と思わずにはいられませんが、草の根の指摘から公式に対策が取られれば何よりのこと。
著作権やゲームを開発・販売する企業の利益が守られることは、ひいてはユーザーが将来に渡って末永くゲームを遊べる基礎となるはず。ハッキングへの適切な対応が望まれるところです。