コードレス掃除機といえば?
そうだね、マキタだね。と、コードレス掃除機を求める際に必ず候補に入ってくるであろう、コードレス掃除機の代名詞。少なくとも僕の中ではそんなイメージがあるマキタのコードレス掃除機「CL182FDRFW」を使ってみました。
結論からいうと、かなり長所・短所がはっきりとしています。
まず外観ですが、ご覧のとおり、昔ながらのコードレス掃除機的なデザイン。質感は極めてプラスティッキーです。見せる家電とは対極にある存在で、リビングに常時置いておくのはやや抵抗がありますね。
ノズル部を取り外すとかなりコンパクトになるので、定位置はきっと収納になるかも。
ヘッド部に回転ブラシはなく、軽く、簡単。構造は2,980円くらいの、どこのメーカーかわからん小型掃除機と違いがわかりませんでした。どことなく昭和臭。機構としてもシンプル。吸引口の下にラバーが備わっていて、「集めて、パワーで吸う」です。
なんともわかりやすいアプローチで、フローリングなどの平らな床にひろがったゴミには確かに強い! 吸引力はコードレスクリーナーとしては十分ですね。しかし、「かきだす」という現代の掃除機ではある意味必須のアプローチがないため、床以外にはからっきし。カーペットや絨毯に入り込んだ小さなゴミをかきだすとかは、あまり期待できません。
LOWで十分。頼れる吸引力と構造上の弱点
吸引力はHIGHとLOWの2パターン。フローリングをかけるぶんにはLOWで十分でした。ダストパック式なのでゴミが詰まってくるとどうしても吸引力が落ちますけど、一般的には長時間かけられるLOWでの運用でいいですね。充電の頻度も少なくなるので、僕はLOW推しです。
しかし、掃除するときの負荷が高めに感じました。
バッテリーを含んだ本体重量は約1.5kgとそこまでヘビーではありませんけど、ノズル部が短いために掃除中は前かがみになりがち。ヘッド部が軽く、ノズルが短く、本体の重心が後ろにあり、かつ自走しないため、本体を常に片手で持ち、引く押す曲げるといったすべての動作を補助なしに腕の力で行なうことになります。
カーペットの滑りはイマイチ。スムーズに進まずに引っかかることもたびたびあり、持ちあげて、浮かせて、またかけるを繰り返すため、腕への疲労が蓄積していきます。
リビング・和室・キッチン・エントランス部分をかけ終わる頃には、ゴミとともにギュンギュンと握力が吸われていきました。これ、毎日掃除するとしたら、もれなく上腕二頭筋、腕撓骨筋が鍛えられるという副効果も期待できマッスル。
掃除機ではおなじみの重曹ベンチの結果はこんな感じ。動作モードはHIGH。やっぱりカーペット(マット)は苦手です。
電動工具と共用できる脱着型バッテリー
バッテリーはマキタの業務用機器で使われているもの。お尻にカチャっと装着し、充電時には取り外して専用チャージャーで充電するという構造です。本体とバッテリーが分離できる構造は、グリプス戦役時代のエネルギーパック式ビームライフルみたいでカッコイイ。
稼働時間はHIGHでも約20分、LOWだと約40分かけられて、コードレスなりにスタミナ性は十分ですね。一般家庭でこれだけの時間使えれば、日々の掃除で困ることはないでしょう。
なお、バッテリーが少なくなると赤色のLEDでお知らせされますけど、吸引力の低下はその前から顕著に表れ始めます。つまり赤LEDは「もう無理!死ぬ!止まる!」というギリギリの限界ラインなので、吸引口が落ちてきたかな?といったタイミングで充電したほうがいいかも。欲を言えば、もう少し前からお知らせしてほしいです。
こちらがバッテリーチャージャーです。リビングに業務用充電器があるという絵ヅラは、なかなかにシュールで、置き場所に悩むところ。充電中はフォーンといった音でファンが周ります。ワンルームだとちょっと耳に触るかもしれませんね。
でも、さすがの業務用パワー。充電時間は短くて済みます。ギュンギュン充電されていって、25分前後で満充電に。バッテリーパックがふたつあればサイクル運用もできて、延々と掃除し続けられますね! ただし腕の力が持てば…ですが。
コードレスの手軽さはやっぱり便利!
リビング、洗面所、トイレ、階段など、どこにでも持っていける機動力はやっぱり便利。この掃除機だけの話ではありませんが、コードレスの手軽さを一度味わってしまうと、もうコード式掃除機には戻れませんね。
ノズルを取り外せばハンディタイプになり、車内掃除にも活躍。ヘッド部の構造的にシートやマットの掃除は苦手なので、車内掃除のメイン武器は付属品のスキマノズルになると思います。
ゴミパックへのアクセスは上部をパカっと開くだけ。
繰り返し使える「高機能ダストバッグ」と、紙パックの両方が利用できます。運用の手軽さから個人的には使い捨てな紙パックがおすすめ。ゴミが溜まってきたらポイッと捨てるだけでOKですしね。また、公式の周辺機器として、「サイクロンアタッチメント」を装着すると、なんとサイクロン式に変化するそうですよ。この拡張性は斬新で感動しました。
家庭での利用も可能な「THE業務用」
マキタのコードレス掃除機「CL182FDRFW」は、昔ながらの掃除機のスタイルはそのままに、手軽かつ長時間利用できるといったコードレスの利点も伸ばしています。この見慣れたデザインは、まるで実家のような安心感を感じる方もいるでしょう。
しかし、同時に昔ながらのコードレス掃除機の悪いところまで引きずっちゃっているイメージも受けました。たしかに業務用としてはこれでいいのかもしれませんが、一般家庭用とするならば、特にヘッド部の構造はもう一捻り欲しいところです。
では家庭にはオススメできないか?というとそんなことはありません。
長時間利用できて、吸引力も問題なし。バッテリーだけ充電でき、紙パックの交換以外ほぼノーメンテでOKといった運用面の手軽さといった業務用イズムは、利用シーンによっては十分武器となります。また、僕の利用したフィーリングを歯に衣着せずにいうと、多少雑に扱っても大丈夫そう!
現在市場にでているどんな掃除機にも、得手不得手があります。ここで紹介したこの子の「個性」を理解できているのであれば、選択肢のひとつとして検討してみましょう。
ただ何度も言いますけど…長時間つかうと腕はプルプルしてきます。