宇宙空間で人間が長期的に滞在し、実験や研究などを行う宇宙ステーション。宇宙滞在中の飛行士による中継映像で度々目にする、あの場所です。その宇宙ステーション『ミール』が苫小牧市科学センターに展示されているのをご存知ですか?
宇宙空間で仕事をするための拠点
ミールは旧ソ連が1986年に打ち上げた長期滞在型宇宙ステーション。打ち上げから15年間使用され、その間、日本人ジャーナリスト秋山豊寛さんなど100名を超える研究者や技術者が滞在し、宇宙開発の扉を開きました。現在は国単位ではなく、国際宇宙ステーション(ISS)という形で様々な国の研究者が集い同じ「地球人」として力を合わせ宇宙開発の夢を追い続けています。
何をするための施設なの?
ミールは、宇宙で「暮らす」ための空間です。実験や研究だけではなく、食べたり飲んだり眠ったり、つまり『家』としての機能も併せ持っています。
作業台としても使われる食卓テーブル、飛行士が読書をしたり睡眠をとるプライベートルーム(個室)、空気で排泄物を吸い取る仕組みのトイレ、ランニングマシーンや洗面装置なども完備。もちろん、操縦室もあります。
操縦室の先には様々な実験を行うためのモジュールを連結させるためのドッキングポートがあります。ドッキングポートは前方、上方、下方、左右の5か所に実験のためのモジュールが連結できるようになっています。ミールは操縦室の先端にある5ヵ所のほか、後方にも1ヵ所のドッキングポートがあります。
実験モジュールは、コアモジュールの役割を果たすミールを打ち上げたあとに順次打ち上げられ、宇宙で連結させて使用するそうです。なるほど、それで、あの複雑な形になっていくのですね!
苫小牧にやってきた宇宙船『ミール』
宇宙船ミールは、打ち上げ失敗や運用中に不具合が発生した時のために、実際には2機作られました。打ち上げに成功しその後も順調に機能していたため、予備機として作られたものが地球上に残されていました。1989年、名古屋で開催された「世界デザイン博覧会」に予備機のミールを展示した旧ソ連は、当時深刻な経済危機状態にありなんと博覧会後にミールをオークションにかけたのだとか。
日本のイベント会社・堀江企画が競り落とし、その後苫小牧の岩倉建設(株)が購入。1998年、苫小牧市の市政50周年を記念して「将来の苫小牧を担う子どもたちのために」と苫小牧市に寄贈しました。
市は苫小牧科学センターに併設する形でミールを展示するための別棟を建て、1999年に「ミール展示館」が完成。実物の宇宙ステーションに直に触れ、多くの人が宇宙に思いをはせる特別な場所となりました。
ミール展示館を含めて見学は全て無料!
科学の「面白い!」を体験しよう
▲宇宙ステーションとはどんな場所か?何をやっているのか?宇宙開発の全てをわかりやすく説明している
苫小牧市科学センターでは、宇宙や天文、航空を中心にさまざまな展示物があります。プラネタリウムもそのひとつ。ドーム径10m約6500個の恒星を投影することができ、北海道の季節ごとの星空観察ができます。
プラネタリウムでは4月28日(土)~5月6日(日)はゴールデンウィーク特別番組「銀河鉄道の夜」が投影されます。時間はホームページをチェックして。
ほかにも、眼や脳の錯覚を利用した展示物や真空の実験コーナーなど大人も子供も楽しめる苫小牧市科学センターは、ミール展示館・プラネタリウムを含めて全て入館無料。苫小牧方面へ行く予定があるなら行かない手はなさそうですね。
取材・文/北海道Likersライター 大宮あゆみ
撮影/吉田公貴
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