フィンランドのデータセンターが一時的に停止する事態に…その原因は爆音だった
Image: bfishadow/Flickr

フィンランドのデータセンターが一時的に停止する事態に…その原因は爆音だった

騒音リスクは侮れない。

先日、フィンランドのヘルシンキにあるナスダック・ノルディック証券取引所データセンターが一時的に停止する事態がありました。原因は、消火システムの誤作動

どうして誤作動を引き起こしたかというと、その鍵を握るのは騒音だったようです。

ちなみに、この事態は世界的に初めて起きたこと…というわけでもありません。昨年にはヨーロッパにあるMicrosoft(マイクロソフト)のAzureデータセンターで、また一昨年前にはルーマニアにあるING Bankセンターでも似たような事案が発生しています。コンサルティング会社のStorageIO創設者で技術諮問のGreg Schulzさんは、「誤作動には衝撃波が一因として考えられる」とコメントしています。

そもそもデータセンターの消火設備って、どんなものなのでしょう? システムを保護するためのデータセンターの役割が台無しになってしまうので、水を使って火を消そうとするのはもちろん理に適いません。では、一体何によって大量のハード・ドライブを故障させる事態に陥ったのでしょうか。

ナスダック・ノルディック証券取引所のデータセンターの場合、消化システムとして特殊なガスのようなものが使用されています。一般的には塩素やフッ素などのハロゲン元素に結合した炭素で構成されたガスで、酸素が火に反応して燃え広がるのを防ぐとされています。

ただしSchulzさんは、こうしたガスを噴射する際に衝撃波が発生することを指摘。私たちの脳に大きな音として変換されるのは結局、空気の振動であって、これがデータセンター内で作動するファンやディスク・ドライブといったコンピュータ機械部品に影響を与えたことが考えられます。これについてもっと定数的にみてみると、次のとおりです。

シーメンスが行なった最新の調査によると、110デシベルほどの大きな音の振動が発生するとハードドライブが損傷する可能性があること、また消火設備の噴射は130デシベルほどの音の大きさになり得ると報告されています。

またデシベル(dB)という単位が、センチメートル(cm)や温度といった計測方法とは異なることも指摘できます。デシベルはそもそも合意された聴覚閾値になっていて、たとえば音を10倍にすると10デシベル増加するというように、0デシベルよりもどれだけ激しいかの比率を表すようになっています。つまり消火設備の噴射音である130デシベルとは、通常の音のレベル(60デシベル)より何百万倍も大きいことになり、チェーンソーの音と比べても百倍大きいことになるのです。

今回のケースでは具体的に火災システムのどの部分に不具合が起きたのかはっきりしていません。ただ多くの場合、こうした誤作動は何かしら一連の出来事が積み重なった結果であるとSchulzさんは指摘します。

また一般的には非常事態に直面した際、システムが停止しないようすぐに切り替えられるバックアップセンターがあるはずですが、Datacenter Dynamicsによれば今回そうした手段がとられなかったとのこと。ナスダック・ノルディック証券取引所は現在、遅延の原因を調査しているとのことです。


Image: bfishadow/Flickr
Source: Datacenter Dynamics

Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US[原文
(Rina Fukazu)

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