(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年4月21・22日付)

トランプ米大統領、数字などでいい加減な発言連発

米ホワイトハウスの大統領執務室で、鉄鋼とアルミニウムに輸入関税を課す文書に署名するドナルド・トランプ大統領(2018年3月8日撮影)。(c)AFP/MANDEL NGAN〔AFPBB News

 世界経済は2年間の豊かさを享受する、それもすべてドナルド・トランプ米大統領のおかげだ――。

 これが先に国際通貨基金(IMF)が発表した予想の主旨だ。何しろ予想はもっぱら大統領の減税と、米国の経常赤字の大幅拡大という必然的な結果を取り上げていた。

 貿易赤字を嫌う大統領が、赤字を劇的に膨らませようとしている。世界経済にとっては、その結果をうまく管理することが大きな課題となる。

 IMFは最新の「世界経済見通し」で、2018年、2019年の世界の経済成長が3.9%になると予想している。前回予想から0.2%の上方修正で、実現すれば、2011年以降、最も高い成長率となる。

 上方修正の半分は、トランプ氏の景気刺激策の世界的な効果によるものだ。先行きは本当に明るく見える。アジアの輸出国であれば特にそうだ。

 トランプ氏の刺激策は米国内で力強い成長を生み出すが、米国はすでに完全雇用に極めて近いことから、世界的に大きな効果を持つ。同氏の減税策と支出計画は、米国の財政赤字が国内総生産(GDP)比5%前後に向かっていくことを意味している。

 需要に応える米国人失業者がごく少ないときに追加の需要を大量に生み出すと、当然、輸入品を吸い込む結果になる。

 刺激策を受け、景気の過熱を防ぐために米連邦準備理事会(FRB)が利上げを余儀なくされる可能性もある。そして利上げは、対外債務の利払い増加を意味する。