本日公表の幹部自衛官による暴言事件の調査報告書は、「国民の敵」発言に関する防衛省内の証人等へのヒアリングなどさえも行うことなく、また、当事者である私へのヒアリングも行うことなく、一方的に、幹部自衛官と防衛省の見解を垂れ流したものであり、「国民の敵」発言の組織的隠ぺいのためと考えざるを得ません。
以下、取り急ぎの調査報告に対する私の見解を述べさせて頂きます。
1.総評
・ 防衛省が本日発表した幹部自衛官の供述においては、4月16日の夜に幹部自衛官が私に対して「気持ち悪い」「馬鹿」「国のために働け」「国益を損なう」「国民の命を守ることに逆行している」などの暴言を行ったことを認めており、自衛隊法58条などに違反する事実が明らかになった。
・ しかし、本日の調査報告は、幹部自衛官が私に「国民の敵」という発言を行った事実を組織的に隠ぺいしようとするものであり、誠に遺憾である。あったものをなかったことにすることは許されない。
・ この調査報告は、当事者(被害者)である私に対して調査担当者から何の問い合わせやヒアリングも行わずに、また、既に明らかになっている物証などに基づく調査を一切行わず、一方的に幹部自衛官と防衛省の見解を垂れ流すものである。
なお、私は事前にヒアリングの打診を受け「何時でも受ける」と意思表示していたところである。 ・ 幹部自衛官の供述内容のうち、「国民の敵」という発言に関する事実関係については、不自然に事実の記載がなされていない、あるいは、別の事実にすり替えられるなどしており、あたかも「国民の敵」という発言がなかったことを正当化するような内容となっている。
・ その他の供述内容も、事実と異なる箇所、時系列が事実と反する箇所などが散見される。(総じて書き直しが必要な程度に事実に反するか正確性に欠ける)
■当日の模様は以下のIWJ現場インタビューをご参照
・ また、当日の状況の説明のために作成したとする再現写真も事実と異なる印象を与えるものとなっており、最後の「握手」写真については、当初は、私がポケットに手を突っ込んで握手に応じているかのようなシーンの写真が使われていたものを私の抗議を受けてマスコミ公表前に差し替えるなど、まさに「印象操作」のためのものと疑わざるを得ない。
・ 調査報告には、幹部自衛官が既に認めている暴言がシビリアンコントロールを否定するものであるか等について、幹部自衛官の見解も防衛省の見解も何ら示されていない。
自衛隊の存立に関わる歴史的大事件を、小野寺大臣の4月17日コメントにあるように「社会人のマナー」の問題に矮小化しようとしているものと考える。 ・ 折しも、4月22日(日)放送のテレビ朝日サンデーステーションにおいて、この度の暴言事件について「防衛省幹部」なる者が「そんなに騒ぐこと? だって言葉の通りでしょ もちろん本人に言うのはバカなことだが」と発言したと報道されており、防衛省のシビリアンコントロールの崩壊は行き着くところまで行っていると大きな危機感を抱いている。(当発言については、24日に防衛大臣への調査要請を行っている)
2.防衛省の調査が組織的隠ぺいであること
・ 私は「国民の敵」などの暴言を受けて数分後に、「国民の敵という発言を撤回しないなら防衛省の人事当局にこの場で電話通報をする」との意思表示を幹部自衛官に行った。しかし、撤回を拒否され、防衛省の豊田事務次官に「自衛隊員を名乗る者から国民の敵などと暴言を受けている」と通報している。豊田事務次官はこの電話で私が「国民の敵」という趣旨の言葉を発したと明確に認めている。
・ また、武田人事教育局長は同様に(局長の上司に報告するために事件の詳細を教えて欲しいとの)事件直後の私との電話で、私が「国民の敵と暴言を受けた」と話したことについて、「国民の敵」という言葉をメモに残している。(なお、武田局長には事件現場でも「国民の敵」発言を電話で伝えている)
・ しかし、防衛省の調査担当者はこれら当事者たる防衛省幹部に対して文書による報告を求めたのみで一切直接のヒアリングを行っておらず今後も行わない方針とのことであり(驚くべきことに、「本日の調査報告書の発表の段階でも、正式の文書報告が調査担当者に提出されていない」ことを確認している)、そもそも、「国民の敵」発言の事実を真剣に調査するつもりすらないものと考えざるを得ない。
・ この度の供述内容等にも、これら豊田事務次官や武田局長の証言や物証を幹部自衛官に示した上で「国民の敵」発言の有無について調査を行ったことは(そもそも、そうした調査は一切行っていないので)一切記載されていない。
※ なお、当日に私が現場を離脱するタクシーの中で電話した知り合いの弁護士は、私が事件のせいで遅参となった理由として「国民の敵という暴言を受け、その撤回を求めていたこと」と説明したことを明確に記憶し、求めに応じて証言すると言ってくれている。
・ 防衛省による報告文書の「3」には、『麹町警察署から「対応に当たった警察官は、本件取扱い時において、両当事者間でなされた文言のやりとりを聞いていない。」との回答があった。』としているが、これは、「小西議員と幹部自衛官の二人だけの時のやりとりは警察官は誰も現場にいなかったので(当然に)知らない」との意味とのことであり、当たり前で書く必要もないことの記載による誤魔化し(隠ぺい)行為そのものと解せざるを得ない。
なお、防衛省は当時現場にいた警察官に直接ヒアリングは行っていないとのことである。 3.供述内容について事実に反する点 ※幹部自衛官の供述内容には事実に反する点が多々あるが、特に、「国民の敵」発言を否定するためと解される重要事項のみについて記述する。
○供述内容「9」「10」「11」について
・ 私は「国民の敵」などの暴言を受けた直後から、「一般市民なら許されるが、自衛隊員であるなら服務、法令に反し許されない」などと撤回を求めた。しかし、大柄で鍛え上げた体格で「国会議員に意見をして何が悪いんだ」などと強圧的な態度で迫ってくる幹部自衛官に有効に対峙し、発言撤回をさせるために、国会議事堂を警備中の警察官を呼び寄せた。 ・ そして、その後に、幹部自衛官に対し「撤回しないなら防衛省の人事当局にこの場で電話通報する」と意思表示(警告)を行ったが、発言撤回が拒絶されたためやむなく豊田事務次官に電話をした。以上の事実関係については、当時の警察官も時系列の流れを認めている。 ・ ところが、供述においては、こうした私の意思表示(警告)が記載されず、かつ、事務次官に電話を行った時系列が違っている。
・ なお、私が官僚トップの事務次官にまで電話をしたのは、国会議事堂の前で自衛隊員を名乗る者からシビリアンコントロールの崩壊を意味する「国民の敵」という発言を受けたからである。「気持ち悪い」などでは事務次官までは電話はしない。
・ この点、供述では私が事務次官に対して「罵倒したり、冒涜するような発言をしている者がいる」と通話したとしているが、事務次官が明確に認めている「国民の敵」という趣旨の発言(さらには「気持ち悪い」発言)を幹部自衛官が聞き取っていないのは不自然である。
○供述内容「13」について
・ ここで私が携帯電話で話している相手は、武田人事教育局長である。 武田局長との通話を保持しながら私は携帯を耳に当てたまま、目の前に居る幹部自衛官と電話越しの武田局長の双方に聞こえるように、「今、この電話が繋がっている相手は、防衛省の人事の最高責任者である武田人事局長だ。武田局長の名前は防衛省のHPでインターネットで確認できる。もし、このまま国民の敵などの発言を撤回しないなら、あなたの所属と氏名を局長に通報する。あなたは処分されることになるがそれでもいいか。撤回するべきではないか。」との旨を発言した。
・ こうした私の発言があったことは、武田局長も現場にいた警察官も認めているが、幹部自衛官の供述ではこうした私の発言を真っ正面から受けていたにも関わらず「会話の内容は、聞き取れませんでした。」となっており、明らかに不自然である。
・ また、「国会議員に意見をして何が悪いのか」などと強圧的な態度であった幹部自衛官はこの武田局長と私の通信を受けてようやく態度を変え始めたのであり、この点からも、「会話の内容は、聞き取れませんでした。」との供述は明らかに不合理である。 ○供述内容「17」について ・ 幹部自衛官の「勉強になりました」という言葉は、事件の発生から30分弱ほど経った事件の最後に、私が幹部自衛官からの撤回・謝罪するとの意思表示を受けて、私からそれを表す発言を求めた際に幹部自衛官が発したものである。 これが撤回・謝罪の発言としては余りにも不適切なものであるため、周囲の警察官も呆れた態度を取り(一部失笑が漏れるなどした)、再度私から幹部自衛官に撤回発言のやり直しを促し、「すみませんでした」といった発言があったものであり、これらの事実関係は現場にいた警察官も認めている。
・ そして、そもそも、幹部自衛官が供述している5.15事件や2.26事件の下りは、私が「国民の敵」という発言を撤回しない幹部自衛官に対して、国会議事堂を指差しながら「今から、70年以上前、まさにこの場所で軍人が政治家を国民の敵と叫んで総理などを暗殺していった。だから、こうした歴史の教訓の上にある自衛隊はシビリアンコントロールは守られなければならないのだ」という旨の話をして、彼になぜ「国民の敵」発言が許されないのかを「国民の敵」発言の史実を示しながら諭していたものである。
・以上、撤回・謝罪に値しない発言を行い、複数警察官の前で再度の発言を要求された事実について幹部自衛官が記憶にとどめていないとは余りにも不自然であり、そして、この記憶しているはずの「勉強になりました」との発言を、私が彼に「国民の敵」発言がなぜ許されないのかを史実をもとに言い聞かせた反応の言葉として供述しているのは意図的かつ便宜的なものを考えざるを得ない。
・ なお、この私の史実の言い聞かせによる撤回の要求は、例えば、「13」の武田人事教育局長との電話よりも時系列的には前のものであり、そのことは現場にいた警察官も認めている。
【参考】 ・ 供述「8」に『「戦死」を身近に感じている私にとっては、小西議員の「戦死」という言葉の言い方が非常に軽く感じ・・・」とあるが、私は執務室に何十冊もの第二次世界大戦での日本軍兵士や日本国民の悲惨な戦死に関する書籍を置き、常にそれを読み返しながら、私自身が国会で証明した集団的自衛権行使の解釈変更の絶対違憲などを追及し、その際には以下に示すように、何度も「自衛隊員をこのような違憲の武力行使で殺してはいけない」等、安倍総理らに追及している。
・ また、こうした信念に立つ私からすれば、供述「17」で私が幹部自衛官に言い聞かせたように「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえる」との服務の宣誓の意味を国会で何度問われても答えられなかった小野寺大臣こそ自衛隊員の戦死についてこの上なく軽く考えている者と解せざるを得ない。
なお、幹部自衛官の供述にはないが、当日、私は服務の宣誓のこのフレーズを丸ごと朗唱している。その時の握手は仲直りのためのものではなく、彼に自らの過ちと私の国会議員としての信念を伝えるためのものである。 ・ 全自衛隊員は憲法尊重擁護義務を負う。当該幹部自衛官は私の違憲の証明(それは、国会論戦や元最高裁判事らによって陳述され、民主・民進党の党見解となり、全国紙の社説にもなっているものである)を学びもせず、偏狭な視野に囚われ違法な暴言に至った者であり、部下の生命を預かる幹部自衛官(指揮官)として失格であると言わざるを得ない。
・ 17日に謝罪に訪れた河野統合幕僚長に直接伝えたが、自衛隊の全指揮官は、安倍総理の集団的自衛権行使の解釈変更が法論理ですらない不正行為による絶対の違憲であり、このようなもので自らや部下達が戦地に送られようとしていることを学ぶ必要がある。https://www.youtube.com/watch?v=4vYRpz5sYYo&t=852s
■186-参-決算委員会-7号 平成26年05月12日 ○小西洋之君 笑っている人がいらっしゃいますけれども、私は、集団的自衛権の行使の下で、国民投票を行わない戦争によって自衛隊員の皆さんの体が砕け散って、真っ黒焦げに焼けただれて死んでいく、そうしたことをやっていいのか。 ■189-参-予算委員会-10号 平成27年03月20日
○小西洋之君 集団的自衛権の行使は、これまで日本国憲法の上に存在しなかった戦争です。集団的自衛権の行使を発動すれば、安倍総理は安全な機雷掃海などと言っておりますけれども、集団的自衛権の行使を発動すれば、自衛隊員は必ず戦死します。これをごまかしてはいけない。自衛隊員の体が砕け散って、真っ黒に焼けただれて死んでいくことになります。 |
この記事に
- >
- Yahoo!サービス
- >
- Yahoo!ブログ
- >
- 練習用