魚アラを魚粉に、愛知の処理公社が自主解散

稲葉明穂氏[魚アラ処理公社専務理事]

2018年3月29日(木)

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鮮魚の50%は魚アラに

 魚アラとは、あまり聞き慣れない言葉でしょうが、スーパーマーケットや鮮魚業者から出る魚の内臓などです。魚のうち5割が魚アラになります。我々は愛知県内で出る魚アラを回収し、魚粉を作ってきました。

 当初は養鶏場の餌として配合されてきましたが、いまは養殖魚向けが9割を超えています。とりわけ知多半島はマグロの養殖が盛んで我々の魚粉を使っていただいています。少しでも良質な魚粉にできるように、排出される方々には冷凍保存していただくなど品質向上にも取り組んできました。

 南米や東南アジアからの輸入も増えていますが、国産の魚粉は栄養分が高く人気が高いのです。

 公社を設立するきっかけは、当時事業を担っていた民間企業の経営難でした。およそ40年前、工程中に出る悪臭のために周辺住民からの苦情で、操業停止へ追い込まれました。

 そこで県が中心になって魚アラの適正な処理方法を検討した結果「尾張水産加工事業協同組合」を設立しました。愛知県と名古屋市が合計10億円の補助金を出し、稼働したのは1989年です。その組合も93年に経営が厳しくなり、公社に事業が引き継がれました。

 こうした歴史から分かるように簡単なビジネスではありません。

 魚粉は魚アラを煮て乾燥させれば出来上がります。問題は廃水処理と脱臭施設です。公害を引き起こしてはいけませんので環境負荷を下げるための設備をたくさん使っています。名古屋港へ直接排水しますので、下水処理施設と同じ水準にまで浄化しています。臭気をなくすために、活性炭に吸着させて脱臭炉を通じて分解処理しています。こうした設備に多額の費用がかかってしまいます。

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