転職エージェントは、無料で求人の紹介、面接日程の調整、選考のアドバイスまでサポートしてくれる。
見る限り求職者にとって至れり尽くせりのサービスだが
- 無料につられて申し込んだら痛い目を見るのではないか
- サポートしてくれるのには何か裏があるのではないか
そのように考えている慎重派も少なくないだろう。
だが一方で、転職エージェント、つまり人材紹介会社による転職は近年増加傾向にある。
やや古いデータだが、平成24年でも実に17万7千人が人材紹介を利用して就職し、その利用者の中心は20代から40代後半という結果がある。
まさに働き盛りの転職世代がこのサービスをもっとも利用しているのだ。
※参照:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「入職経路の変化と民営職業紹介業に関する調査」
このことからも利用のポイントを押さえれば頼りになるサービスと言える。
転職エージェントを活用するポイントは「デメリットや特長を知った上で、自分に合っていれば大いに活用する」ことに尽きる。
今回は、採用担当者として転職エージェントの裏側を知る一方で自身も応募者として転職エージェントを利用してきた経験から、そのデメリットや注意点を徹底的に解説しよう。
転職サイト | 転職エージェント | |
---|---|---|
メリット | ・公開されている求人全てを見ることができる・本当に希望する条件にだけ応募しやすい・自分のことばで交渉やアピールができる・タイミングやスケジュールを自分で決められる | ・転職活動の時間や手間を軽くできる・効果的な応募書類を作成することができる・企業側の感触やアドバイスを受けることができる・デリケートな質問や交渉を代わってしてくれる |
デメリット | ・企業探しから面接結果まで時間と手間がかかる・応募書類の作成の仕方から応募企業の情報まですべて自分で調べなければならない・マッチングを自分でするため空振りや書類不採用が起こりやすく応募件数が多くなりがち | ・エージェントの実績のために妥協を求められる・充分マッチングしていなくても売り込まれる・内定が先に出た方を優先されやすく、もしもの時にも辞めにくい・質問やアピールのニュアンスが変わってしまう |
さらに後半では、転職エージェントやサービスの活用方法について紹介していきたい。
これらを知って、より有利に、時間や手間のロスなく転職を成功させて欲しい。
転職エージェントとは何か?知りたい方はこちらもチェック
転職エージェントの4つのデメリット
まず、転職エージェントを使うデメリットは主に次の4つが挙げられる。
- エージェントのノルマのために妥協を求められる
- 自信がなく、希望していない業務内容でも応募に繋がってしまうことがある
- 内定が先に出た企業への就職をプッシュされやすく、もしもの時にも辞めにくい
- エージェントを通すことで質問やアピールのニュアンスが変わってしまう
必ずしもこういったデメリットに当てはまるとは限らない。
しかし転職エージェントと求人企業がビジネスの関係である限り避けられない一面もあるのだ。
詳しく説明していこう。
デメリット(1)エージェントのノルマのために妥協を求められる
第一のデメリットは、転職エージェントのノルマのために妥協を求められることだ、
転職エージェントは、採用が決まって初めて報酬が発生する「成功報酬型」が一般的だ。
つまりエージェントがどんなに仕事をしようとも、採用に繋がらなければ1円の売上にもならない。
そこでより採用数を増やすために、求職者の希望する条件のハードルを下げて、より採用の可能性を上げる。
採用のために妥協させられる事例
例えば比較的妥協させやすいのが通勤エリアだ。
例えばあなたが「通勤時間1時間以内」のエリアで転職先を探していたとしよう。
あなたの希望職種や希望年収にマッチする企業が多くない場合、転職エージェントからは「あと30分通勤時間を延ばせませんか」と妥協を求められる。
妥協した結果、
- 通勤時間によって生活サイクルが変わる
- 場合によっては引っ越しを考えなければならない
といった事態も起こりうるのだ。
通勤距離だけでなく、年収額や休日などの労働条件、職種や業界といった面でも妥協を勧められることもある。
こうして1件でも多くの採用を獲得するのが転職エージェントの仕事なのだ。
そもそも自分の希望を一切妥協せずに転職が成功するケースの方が珍しい。
しかし、その妥協によって最終的に後悔しないよう、自分自身でよく考えることが必要だろう。
デメリット(2)自信がなく、希望していない業務内容でも応募に繋がってしまうことがある
あなたが持っているキャリアやスキルのうち、あまり自信がないものであっても転職エージェントが売り込むケースがある。
そのためあなたが元々希望していない業務内容であっても、応募に繋がってしまうことがあるのだ。
転職では「マッチング」がカギとなる
企業側が就いてもらいたい仕事とあなたのキャリアの共通点が多いほど即戦力として期待できる。
そこで企業の依頼を受けた転職エージェントは、求人票の内容と応募者の情報から共通点を探す。
当然、このマッチング度合いが高い方が採用の可能性もぐっと上がる。
エージェントを使った転職ではマッチングがカギなのだ。
共通点があるというだけで売り込まれてしまう事例
自然にマッチングすれば転職は成功と言えるのだが、共通のキーワードだけで売り込まれてしまうことがある。
例えばあなたのメインのキャリアは家電デザインで、職歴5年のうち1年だけ、CADを使った製図の仕事に就いた経験があるとしよう。
求人票のキーワードが「CAD」「製図」だった場合、転職エージェントがあなたを企業に売り込む場合があるのだ。
実は、転職エージェントでも特に大手の人材紹介会社はデータベースからキーワードを使ってマッチングしている。
するとあなたがデザインの仕事がしたいと思っていても、このような「ミスマッチ」が起こるのだ。
ミスマッチのまま応募に繋がってしまう背景
マッチング度合いが厳しい状態でも転職エージェントが企業に売り込むのには次のような背景がある。
- あなたに他にマッチする求人が少ない時はエージェントからすれば売りにしたい
- あなたに内定への焦りがあり「面接だけでも」と考える
- マッチング度合いの高い応募者が少なく、企業が妥協している
この背景を知れば、採用されたとしても、あなたにとって「転職成功」とはなりにくいことが分かるだろう。
転職に多少時間がかかっても、転職すること自体が目的になってしまわないように自分の目的をしっかりと持っておくことが肝心だ。
デメリット(3)内定が先に出た企業への就職をプッシュされやすく、もしもの時にも辞めにくい
内定が先に出た企業へのプッシュをされやすく、またその企業が実は望まない企業であっても辞めにくくなる場合がある。
2社以上から内定が出たとしたら、選ぶのは当然「自分の希望に近い方」だろう。
しかし転職エージェントを使うと場合によっては先に内定が出た方を選ぶことになる場合がある。
転職エージェントから見ればあなたはあくまで「案件」
エージェントから見て、求人と候補者は「案件」として処理しなければならない対象なのだ。
- 募集企業はA社とB社
- 候補者はあなたともう1人
- A社にはあなた、B社にはあなたともう1人に内定が出そう
という状況を例に考えてみると、あなたがA社、もう1人がB社に採用となれば「2つの案件」が片付く。
しかしあなたの第一希望がB社だった場合、転職エージェントとすれば、あなたにA社を選んで欲しいと思うだろう。
そこでA社から先に内定が出た場合、転職エージェントは、あなたがA社を選びやすいような内定承諾の期限を設けることで案件を上手く収めようとするのだ。
内定承諾書の提出期限は交渉できる
内定通知から承諾までは1週間から10日間ほどの回答期限が設けられるのが一般的だ。
あなたがすべきことは、内定が出た企業に、他に選考中の企業があることを伝えて内定承諾の期限を待ってもらうことだ。
こうすれば第一希望からの内定を確実に採用に結びつけることができる。
またこのような提案をしてくれるエージェントならまず「アタリ」だろう。
「エージェントの都合」に注意しなければならないケース
さらに要注意なのは入社した企業がブラック企業だった場合などだ。
あなたには何がなんでも早く脱出して欲しいのだが、エージェントの都合から見ると一定期間は辞めて欲しくない。
企業と転職エージェントの契約の中には、例えば「3か月以内で退職したら支払った紹介手数料の一部を返金する」といった項目があるからだ。
望まない企業であったことを転職エージェントに伝えても対応が鈍りがちになるのは当然のことだろう。
転職エージェントを使う時は、エージェントが営業マン、あなたが商品という関係を肝に銘じておく必要があるのだ。
デメリット(4)エージェントを通すことで質問やアピールのニュアンスが変わってしまう
地味に採用に響くのが、エージェントを通すことで質問やアピールのニュアンスが変わってしまうというデメリットだ。
転職エージェントは確かに転職をサポートするプロではある。
しかし全てのエージェントが間違いのない交渉力を備えているとは限らない。
デリケートな交渉や質問は自分でした方がいい場合もある
デリケートな話ならばエージェントに一言断って、自分自身でした方がいい場合もあると考えておこう。
あなたより若く、社会人経験が浅い転職エージェントであっても、時には慎重な場面を任せることになる。
デリケートな交渉や質問には次のようなものがある。
- 給与交渉
- 有給休暇が取りやすいか、残業は断れるか
- 出張の多さや期間の長さ、など
どれも聞き方を間違えると、業務より自分の都合を優先する、意欲に欠ける、などと思われかねない。
実際私が採用担当になったばかりの頃、転職エージェントから聞いたささいな待遇条件の確認から、本人と話した印象が大きく変わってしまった経験がある。
転職エージェントの人選が出来ない分、自身でも交渉や質問が出来るように準備しておこう。
デメリットを回避するための対策ポイント
そんな転職エージェントのデメリットだが、回避する方法がないわけではない。
筆者が考える効果的な対策を3つ紹介しよう。
- 2社以上のサービスを使う
- 転職にあたって何が重要で妥協できないか、ラインを決める
- 分からないことや不安なことはとにかくエージェントに聞いてみる
(1)2社以上のサービスを使う
デメリットを回避するためのポイントのひとつは2社以上のサービスを使うことだ。
先に紹介したように紹介会社それぞれに強みがある。
また、1社のみ利用して、たまたま未熟な担当者にあたってしまうと思うような結果は出ないだろう。
転職エージェントごとの強い点と弱い点、担当者の当たり外れといったリスクを分散するのに複数登録は有効だ。
ただし、あまり多すぎると紹介された案件を吟味するのも大変で、しかも採用が決まった際などはそのエージェント全てに連絡しなければならない。
1社のみ登録で決まるのが理想だが、保険としてもう1~2社登録しておく、くらいのリスク回避で充分だ。
(2) 転職にあたって何が重要で妥協できないか、ラインを決める
転職するにあたって、あなたにとって何が重要で、妥協できないことは何か、というラインを決めておこう。
面接の場でも、職種なのか労働環境なのか年収なのか、転職によって何を良くしたいのか、実現したいのかがよく分からない応募者を見かける。
少々悪い言い方をすれば、エージェントにとって都合のいい条件で企業に紹介されることになる。
まずは優先順位で、何がゆずれないことなのか、どんなことならば妥協しても良いのかを自分で決めておこう。
次に金額や通勤距離など、具体的に数字で表せるようなものは数字で分かるようにしておくことだ。
どちらの場合も、ここまでは歩み寄ることが出来るけれど、これ以上は辞退する、としておいた方が良い。
(3) 分からないことや不安なことはとにかくエージェントに聞いてみる
分からないことや不安なことはとにかくエージェントに聞いてみることだ。
目的は違ってもエージェントもあなたが採用になることを望んでいる。
一度登録を決めたらとことん、サービスを使い尽くすつもりでエージェントに聞いてほしい。
これらのことを聞いて疑問や不安を解決する目的はもちろんだが、エージェントとの関係も強くなる。
ビジネスの関係とはいえエージェントも人間だ。
教えてください、これで大丈夫ですか、など熱心なユーザーに対してはつい熱心に応えたくなるものだ。
それで採用が決まればもちろんビジネスの面でも成果となる。
だからまずあなたの自己PRは転職エージェントにすべきなのだ。
それが上手くいけば転職エージェントは採用担当者に積極的に売り込んでくれる。
また、エージェントとのやり取りを多くすることでミスマッチを防ぎやすくすることが出来るのは言うまでもないだろう。
転職エージェントの4つのメリット
ここまで、業界人しか知らない裏事情を踏まえて転職エージェントのデメリットや回避方法を紹介してきた。
ここからは転職エージェントのメリットについても紹介していこう。
主な転職エージェントのメリットは次の通りだ。
- 転職先を探すことや面接の日程調整などに時間や手間を取られない
- 初めての転職でも間違いのない応募書類を作成することができる
- 企業側の感触を知り、アドバイスを受けることができる
- デリケートな質問や交渉を代わってしてくれる
うまくデメリットを回避できれば、このような恩恵を受けることができる。
次の章で詳しく見ていこう。
メリット(1)転職先を探すことや面接の日程調整などに時間や手間を取られない
転職エージェントの最大のメリットは、転職先を探すことや面接の日程調整などに時間や手間を取られないことである。
多くの転職希望者は働きながら転職先を探しているだろう。
しかし就業時間中に求人票を眺めたり、転職先企業の情報を調べたりする訳にはいかない。
まして転職面接の日程調整を、現在勤務している職場でするのはさすがに非常識だろう。
しかし転職エージェントを使えば、あなたが仕事をしているその時にこのような作業を代わってくれる。
あなたは転職エージェントが絞り込んだ中から応募する企業を選択し、面接可能な日程を伝えるだけでよい。
これが転職エージェントを利用する最大のメリットと言えるだろう。
メリット(2)初めての転職でも間違いのない応募書類を作成することができる
転職経験のない人にとって「職務経歴書」をはじめとする応募書類の作成はそれだけで難題だろう。
さらに効果的な応募書類、あなたを最もよく見せる応募書類がひとりで作成できる人はまれだ。
その点、転職エージェントはそのノウハウを持っている。
さらには所定のフォームを埋めていけば自然とベターな応募書類が出来るようになっていることが多い。
その業界や業種に合わせることもできる。
あなたにとって初めての転職であってもエージェントにしてみれば数百、数千の転職シーンを踏まえた応募書類なのだ。
書類選考を通過しなければその先の面接にたどり着くこともできない。
あなたの分身ともいえる応募書類を比較的簡単に作成することができるのも転職エージェントならではと言えるだろう。
メリット(3)企業側の感触を知り、アドバイスを受けることができる
企業側の感触を知り、その上でアドバイスを受けることができるのも、転職エージェントの大きなメリットだ。
面接の後、面接官にアピールが充分に伝わっているか、どう思われているかをあなたは知りたいはずだ。
転職エージェントの多くは面接後に採用担当者に連絡し、感触を確かめる。
採用の可能性があるかを確認するためでもあるのだが、それをあなたに伝え、次の選考のアドバイスをするためでもある。
聞き方は様々だが、主に、評価できる点、気になった点などを企業側からヒアリングしている。
それをもとに候補者であるあなたに、アピールが足りているか、企業側がどこに注目しているかなどを教えてくれるのだ。
また、他に採用に近い候補者がいるかどうかなども確認してくれる。
あなたにとって次の手が打ちやすく、有利な状況で選考を進められることがメリットになるだろう。
メリット(4)デリケートな質問や交渉を代わってしてくれる
給与交渉などのデリケートな質問や交渉を代わってしてくれることもエージェントを使うメリットのひとつだ。
転職エージェントは、専門家としてデータや裏付けをもとに、企業との信頼関係を築いているからだ。
例えばあなたは自分の年収について、自身のキャリアの市場価値や相場観を知って給与交渉が出来るだろうか。
これらを正しく把握して面接官に「私の市場価値は」という話をすることはまず難しい。
何より本人が自身の価値について話すというのは信頼度に欠けるだろう。
転職によって年収アップを狙いたい場合などは転職エージェントを使う効果が高いといえるだろう。
転職サイトとエージェントはどう違う?メリット・デメリットで比較
前出の「入職経路の変化と民営職業紹介業に関する調査」で、転職エージェント以上に利用者が多いのが転職サイトだ。
また、大手の求人広告会社は転職サイトと転職エージェントのサービス両方を展開している。
そこで転職サイトと転職エージェントではどのような違いがあるのか、メリット・デメリットを比較してみた。
転職サイト | 転職エージェント | |
---|---|---|
メリット | ・公開されている求人全てを見ることができる・本当に希望する条件にだけ応募しやすい・自分のことばで交渉やアピールができる・タイミングやスケジュールを自分で決められる | ・転職活動の時間や手間を軽くできる・効果的な応募書類を作成することができる・企業側の感触やアドバイスを受けることができる・デリケートな質問や交渉を代わってしてくれる |
デメリット | ・企業探しから面接結果まで時間と手間がかかる・応募書類の作成の仕方から応募企業の情報まですべて自分で調べなければならない・マッチングを自分でするため空振りや書類不採用が起こりやすく応募件数が多くなりがち | ・エージェントの実績のために妥協を求められる・充分マッチングしていなくても売り込まれる・内定が先に出た方を優先されやすく、もしもの時にも辞めにくい・質問やアピールのニュアンスが変わってしまう |
また、企業側が支払う料金にも差がある。
転職エージェントが「想定年収額の30%前後の成功報酬」というのに対し、転職サイトは広告掲載料になる。
料金プランは様々だが、4週間掲載で40万円~50万円など、上手く採用できればコストは安く済む。
また、同じ求人で採用人数が3名、4名と多くなれば企業はそのコスト面から求人広告を選びやすい。
こういった企業の裏事情も併せて押さえておけば、使い分けることもできるだろう。
そこで転職エージェントに向いているタイプ、向いていないタイプについても見てみよう。
ここまで読んでもらった「転職エージェントのデメリット・メリット」と合わせて、エージェントを使うかどうかの参考になるはずだ。
転職エージェントに向いている4つのタイプ
転職エージェントの利用に向いているタイプには次のような人がいる。
- 現在の仕事が忙しく、効率よく転職を進めたい
- 現在までの経験や知識を活かすことの出来る転職先を探している
- 初めての転職で色々アドバイスが欲しい
- 同業種同業界などへの転職で確実に年収アップしたい
現在あなたが持っているスキルや経験を武器にして同様の業務内容を狙うなら転職エージェントの利用が向いている。
エージェントから見てもマッチングしやすく、売り込みやすいからだ。
またこうしたケースならば積極的に年収アップを狙うことも可能だ。
こうした交渉にも、あなたの経験やスキルから、経験年数と相場を踏まえた金額が分かるエージェントの方が向いているだろう。
また、一部のサービスにあるようなキャリア求人など、企業の採用予定数が1名で役職者のポストを求めるものはエージェントが扱っていることが多い。
ある特定の経験やマネジメント経験をアピールできるなら転職エージェントに向いているタイプといえるだろう。
転職エージェントに向いていないタイプ
一方、転職エージェントに向いていないタイプは次の通りだ。
- 現在持っている経験やスキルと希望する転職先が全く違う
- ある程度の期間をかけて、マイペースに転職活動を進めたい
- 年収や待遇より通勤エリアやフレックスタイム制など働き方にこだわりたい
- 工場や建設現場で製造や建築などの仕事がしたい
転職エージェントはマッチング、つまり職種などの絞り込みを得意としている一面があるため、自由度の高い転職には向いていないといえる。
言い換えれば、最も効率よく採用に結びつくようなケースを得意としているのだ。
そのため、あなたの経験をそのまま使うことが難しい、まったく新しいジャンルへのチャレンジなどは扱いづらい。
また、通勤エリアや就業時間の融通がきく、残業が少ない、などの条件をあなたの希望に沿うように探していく転職活動には時間がかかる。
採用を決め、成功報酬を得られる以外は無料となっているエージェントにとってはやはり合っていないといえるだろう。
さらに工場や建設現場で、どちらかといえば職人として働いていきたいという人も転職エージェントの利用に向いていない。
こういった求職者は転職エージェントの利用ユーザーとして登録が少ないため、企業側もエージェントに発注することがあまりないのだ。
こういったケースでは、製造業や建設業に特化した転職サイトの利用をオススメする。
転職エージェントを使わない場合のおすすめ転職活動
転職エージェントを使わず、他の方法で転職活動を進めていこうということもあるだろう。
まず、転職エージェントをやめる時には正直な理由を伝え、サービスの利用をやめることを伝える。
無視や放置するケースも残念ながらあるのだが、社会人として絶対にしないようにして欲しい。
また、転職エージェントをやめる時にはその理由を自身で整理することをオススメする。
転職活動を続けるにあたって、次に最適な方法を選ぶためだ。
- 転職サイト
- ハローワーク
- 企業ホームページの求人
など、エージェントを使わない場合は概ね自分自身で応募することになる。
転職エージェントと自身が合っていなかったのはどこなのか。
そのことをきちんと振り返って転職活動に役立てて欲しい。
応募書類についてはエージェントと作成したものが後々まで使えるはずだ。
効率の良い転職活動がエージェントの強みなのでこういった部分は最大限利用しよう。
転職エージェントを120%活用したい人のための必須知識
転職エージェントについて、必ず押さえておいて欲しいのは以下の4つだ。
- 転職エージェントの種類
- おすすめのエージェント
- エージェントの選び方
- デメリットを回避するためのポイント
ポイントを押さえて、単なる「採用」ではなく「より理想に近い転職」のために転職エージェントを活用して欲しい。
転職エージェントの種類
まず、転職エージェントの種類について紹介する。
転職エージェントの種類は大きく分けて4つある。
- ユーザー登録無料の一般的な転職エージェント
- 利用は無料だがある職種に特化した転職エージェント
- 有料会員制の転職エージェント
- ヘッドハンターによるスカウト
多くの場合、一般的な転職エージェントを使うことになるだろう。
ある職種に特化したエージェントとは、例えば看護師をはじめ医療業界向けの人材紹介をしている業者などだ。
派遣事業をメインに職業紹介もしているといったケースも多い。
当然ニッチなビジネスになるので、紹介会社の規模自体が中小企業であることも少なくない。
有料会員制の転職エージェント、またはヘッドハンターによるスカウトは、高い経験やマネジメントスキルを持ったキャリア採用に向いている。
部長クラス、年収1000万円以上、といった転職ならば有料会員制の転職エージェントに登録するか、受け身にはなるがスカウトを受けるというのがエージェントの使い方となる。
おすすめの転職エージェント
最後におすすめの転職エージェントとその主な理由を挙げていこう。
なお、筆者の主観が強くなりすぎないよう、オリコン顧客満足度ランキングを選出の参考にした。
さらに採用担当者側から見たランキングを併せて紹介するので、並べた上で解説したい。
ユーザー側から見た満足度ランキング | 採用担当者から見たランキング | |
---|---|---|
1 | Spring転職エージェント(アデコ/外資系)・ヒアリングの丁寧さが評判・デスクワーク系に強い | リクルートエージェント・ユーザー側と企業側で別の担当が付く・業界大手で案件数が多い |
2 | JACリクルートメント・外資、ハイクラス求人にも強い・ユーザーと企業で同じ担当者が付く | パソナキャリア |
3 | type転職エージェント・IT系求人に強い・オファーメールなどオプションが充実 | Spring転職エージェント |
4 | パソナキャリア(母体は派遣会社)・技術系、ものづくり系にも力を入れている | マイナビエージェント・ITや医療など広い職種にも対応している・ITや医療など広い職種にも対応している |
5 | ランスタッド(外資系)・派遣、製造業からハイクラスまで幅が広い | パーソルキャリア(DODA)・企業からのオファーがあるシステムを採用 |
ユーザー側は、丁寧なヒアリングや親切なアドバイスがランキングに大きく影響している。
一方で企業側は紹介(採用)案件数の多さやマッチング度合いの高さが高評価になりやすい。
最終的なエージェントの選び方
前出の一覧表を見ながら、最終的なエージェントの選び方のポイントを押さえておこう。
- 紹介してもらえる案件数の多さで選ぶなら採用担当者側のランキングを参考にする
- ユーザーライクなサービスを求めるならば満足度ランキングを参考にする
- 採用担当者側のランキング上位で、ユーザー側のランキングが低い場合は妥協やミスマッチが多い可能性がある
転職のケースによって利用のポイントも異なるはずだ。
- 転職が初めてでアドバイスが欲しい
- 2回以上の転職でスピード重視
- 経験を活かして確実に年収アップしたい
など自身の強みと、年収や職種などの希望を整理してから転職エージェントを選ぶことが重要だ。
まとめ
ここまで転職エージェントのデメリットを中心に、そのリスクを回避し、さらに上手に利用するコツを紹介してきた。
ここでもう一度、すぐに実践できるようにポイントを振り返ってまとめたい。
転職エージェントの4つのデメリット
転職エージェントを使うデメリットは主に次の4つだ。
- エージェントの実績のために妥協を求められる
- 自信がなく、希望していない業務内容でも応募に繋がってしまうことがある
- 内定が先に出た企業への就職をプッシュされやすく、もしもの時にも辞めにくい
- エージェントを通すことで質問やアピールのニュアンスが変わってしまう
転職エージェントのメリット
主な転職エージェントのメリットは次の通りだ。
- 転職先を探すことや面接の日程調整などに時間や手間を取られない
- 初めての転職でも間違いのない応募書類を作成することができる
- 企業側の感触を知り、アドバイスを受けることができる
- デリケートな質問や交渉を代わってしてくれる
転職エージェントに向いているタイプ、向いていないタイプ
転職エージェントの利用に向いているタイプ、向いていないタイプは次の通りだ。
向いているタイプ | 向いていないタイプ |
---|---|
・現在の仕事が忙しく、効率よく転職を進めたい・経験や知識を活かすことの出来る転職先を探している・初めての転職で色々アドバイスが欲しい・同業種同業界などへの転職で確実に年収アップしたい | ・現在持っている経験やスキルと希望する転職先が全く違う・ある程度期間をかけて、マイペースに転職活動を進めたい・通勤エリアやフレックスタイムなど働き方にこだわりたい・工場や建設現場で製造や建築などの仕事がしたい |
転職エージェントの活用方法
転職エージェントを利用するにあたり、その活用方法のポイントを押さえておこう。
転職エージェントのデメリットを回避するためのポイント3つ。
- 2社以上のサービスを使う
- 転職にあたって何が重要で妥協できないか、ラインを決める
- 分からないことや不安なことはとにかくエージェントに聞いてみる
転職エージェントは必ず使わないと転職できないわけではない。
だが確実に近年その利用者が増えているのだ。
登録者が増えれば当然企業も積極的に利用する。他の方法とも比較した上でポイントを押さえ、大いに利用して欲しい。