やみくもな「分散投資」がかえって損する理由

ローリスクなのにハイリターン投資は可能か

普通の銀行や証券会社で言われるままに分散投資をすると、思わぬ大損になることも(写真:ふじよ/ PIXTA)

投資をする際、「卵を1つのカゴに盛るな」とよくいいます。なぜなら、1つのカゴに卵をたくさん盛り、そのカゴを落としてしまったら、ほとんどの卵がダメになってしまうからです。数ある卵をいくつかのカゴに分けて盛っておけば、1つのカゴを落としても損失は一部で済みます。投資においてこの言葉は、1つの商品に資金を集中させるのではなく「いろいろなものに分散する」ことを意味します。

はたして、これは本当に正しいのでしょうか。

「分散」とは、数多くの商品に投資することではない

投資信託を売る銀行や証券会社のセールスマンも、「分散投資をしましょう」とよく言いますが、本来の分散投資と彼らが意図する分散投資は、中身がまったく異なるのです。

私のところに運用の相談に来られる中橋アイ(仮名)さんは、なんと30種類以上の投資信託や外貨建ての債券などに「分散投資」をしていました。初めてお会いしたときに、中橋さんはこう言いました。「セールスマンに勧められると、つい買ってしまうんです。でもこうやって『分散投資』をしていれば安心ですよね」。

しかし、中橋さんには大きな問題があります。やみくもに「分散投資」をすると、逆に思わぬリスクを抱えることになるからです。実は、分散の方法にはルールがあるのです。

世の中には、「投資はハイリスク・ハイリターンなもの」と敬遠している人がたくさんいます。しかし、「ローリスク・ハイリターン」な投資法は、実際に存在するのです。

それには、適切なポートフォリオ(複数の資産の組み合わせ)を組む必要があります。この方法は、ノーベル経済学賞を受賞したハリー・マーコウィッツ氏の「現代ポートフォリオ理論」の基礎となった理論を用いることで可能になります。この理論は、機関投資家と呼ばれるプロの投資家にとって、基本中の基本の手法です。

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  • リスクテイカー01a9f521a4a5
     ポートフォリオセレクションの理論は昔からあって、逆相関係数やポワソン分布に偏微分を駆使してと・・・ついて行けなかった。
     株式投資を長くやってると確かに輸出に強い製造業と国内ディフェンシブ銘柄では逆の動きをしやすい傾向はわかるが、確率分布は仮想空間って感じだ。特に下落するときは全部が下がるので逆相関とは言いがたい。一方で上がる時はばらばらで、分散投資していると一部の銘柄が上がるだけでメリットが得られにくい。
     よって、あまり分散せず、熟知している銘柄10社程度に絞って、注意深く市場動向を見ているようにしている。
    up11
    down1
    2018/4/24 10:29
  • NO NAME2468508d8d1e
    FPの立場でローリスク・ハイリターンって、これまた危険な。
    up9
    down1
    2018/4/24 10:36
  • NO NAME7b2c1dc09e8f
    言葉の定義が一般的ではないですね。
    掲載されている「ローリスク・ハイリターン投資法」は
    ローリスク化手法で、結果はもちろん、ローリターンと書くのが普通かと。

    up8
    down3
    2018/4/24 10:31
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