希望、民進両党は24日、国会内で党幹部による新党協議会を開き、新党名を「国民民主党」にすると決めた。党綱領や基本政策も決め、週内の正式合意をめざし党内手続きを進める。新党は5月にも発足する見通しだ。両党執行部は多くの議員に参加を呼びかけるが、希望の党の結党メンバーや民進党の衆院議員に慎重派が多く、新党の規模は見通せない。
希望の党の玉木雄一郎代表は国会内で記者団に「国民が第一の政治を目指すため、ゼロからスタートする」と述べた。民進党の大塚耕平代表は「国民主権、国民生活、国民経済を守り、発展させていく」と強調した。新党名は「国民党」とする案が浮上したが、両党内で民進党の前身である民主党の「民主」を取り入れるべきだとの声が出たことに配慮した。
「国民」を冠した政党は、近年では2005年に郵政民営化に反対した綿貫民輔元衆院議長が立ち上げた国民新党がある。09年に民主党との連立政権に参画したが、党内の路線対立が表面化し、13年に解散した。
新党は党綱領で党の理念について「穏健保守からリベラルまでを包摂する国民が主役の中道改革政党を創る」と主張。民進党から分裂した立憲民主党を意識し、他の野党にも参加を呼びかけやすくした。
基本政策は民進党への回帰がにじむ内容になった。集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法について「違憲と指摘される部分を白紙撤回する」と記した。憲法改正への姿勢に関しては「自衛権を行使できる限界を曖昧にしたまま、9条に自衛隊を明記することは認めない」と指摘。安倍晋三首相が意欲を示す憲法9条に自衛隊を明記する案をけん制した。
原発ゼロに関しても「実現時期を明示すべきだ」との声を反映し「2030年代原発ゼロに向け、あらゆる政策資源を投入する」と強調した。
新党協議会の合意を受けて、両党はそれぞれの党で所属議員から承認を得る手続きを進める。希望の党の玉木代表は24日、都内で小池百合子前代表(東京都知事)と会談し、新党結成を報告した。玉木氏によると、小池氏は「改革を引き続き進めてもらいたい」と応じた。
希望の党の細野豪志元環境相は新党への不参加を表明したほか、民進党も衆院会派「無所属の会」を率いる岡田克也常任顧問らが参加するか明らかにしていない。衆院で野党第1党である立憲民主党を上回る勢力を確保するのは難しいとの見方がある。