「町内会」の担い手がますます減りそうな理由

行政の仕事や責任が安上がりに「下請け」に

担い手不足の悪循環はさらに加速するかもしれません(写真:Graphs / PIXTA)

町内会の仕事が多すぎる

年度の終わりは、団体や組織の役員の交代のシーズン。町内会も例外ではありません。

拙著『どこまでやるか、町内会』でも紹介していますが、この「役員の仕事が回ってくる」というのが、「町内会に入りたくない!」という人にとって最大の理由の1つでしょう。もちろん、町内会にはある程度参加・協力するという人でも、町内会が抱えている仕事の多さに、気がめいっている人は少なくありません。

町内会が抱える仕事が多すぎる → 仕事が多すぎるために、役員を敬遠される → 役員の引き受け手がいなくなることで、ますます過重負担になっていく――。

こんな悪循環が繰り返されていないでしょうか。町内会が抱えている仕事をリストラして、必要最小限のスリムな組織にしたい! と常々悩んでいる町内会は少なくないはずです。

ところが、行政から回される仕事がますます増えるのではないか……と心配になる動きがあります。

「住民主体の課題解決力」?

「地域力強化検討会」というちょっと奇妙なネーミングの会議が国にあります。正式名称は「地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制の在り方に関する検討会」といって、厚生労働省によって立ち上げられた有識者の集まりです。

この会議が、昨年(2016年)12月26日に「中間とりまとめ」という報告を出しました。

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  • NO NAME95cb697dac6c
    地域活性化には、個々のライフスタイルに柔軟に対応しやすく転入、転出しやすくする取り組みが必要だと思う。
    転入、転出をしやすくするということは、生活に最低限必要な環境は、町内会や自治会なく行政でフォローできる地域ということだと思う。

    私の住んでいる地域では、ゴミ集積所の掃除や市の広報誌の配布などが自治会に託されているが、自治会に加入してなかったり、存在すら知らずに転入、転出してしまう人も多い。
    税金を上げてでも、生活に最低限必要なサービスは、行政でフォローし、更なる親交を望む人の場としての町内会が理想なのでは無いか。
    up197
    down1
    2017/2/19 15:42
  • NO NAME3b5f320d6060
    仕事で地域福祉を担当しててやってますが、
    「町内会の役員だからやって」みたいなやり方すると絶対うまくいかないんですよね。
    地域の課題を感じてる人に中心になってもらって、町内会には「理解だけして回覧を握りつぶさないだけでいいです」ってスタンスで説明します。
    大体の場合、役員してる方も数人は参加してくれますが。
    町内会に「仕事して」って言うと反対する人が絶対出てくるので、そんなの説得してたら全然始まらないですよ

    あと、町内会は男性社会(世帯主中心)ですが、助け合いは女性中心の方がうまくいきますね

    まあこの記事は、行政がやりがちな失敗する方法を先読みした記事ですね。やってる現場としては「失敗するからやらないよ」ってやり方です。
    up146
    down1
    2017/2/19 10:00
  • NO NAME885afffd6c5f
    東京23区賃貸独身から近県持ち家既婚になった途端に降りかかってきた問題。昔からの住人がほとんどの地域で順番に回している(年ごとに隣世帯に回す班長など)役ものについたことがある。「いつもこうだから、皆わかるからそのまま回して。」って言われた。何もマニュアルがない状態をまず改善してほしい。マニュアルがあっても、事前の引き継ぎ等がなく当日直前に渡されるノートに全部書いてあって、嫌がらせとしか思えない。直前に渡されて即読んで実行しろって、どんだけよ…。

    自分も新参者だが、同時期の新参者でとても非協力的な世帯があるのも事実。なるべくやりたくないのはわかるけど、嘘をついてまで逃れようとする態度は信用を失うと思う。
    up129
    down4
    2017/2/19 15:16
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