ANAとJALのマイル有効期限を延長する10の方法
マイルを貯めている方なら、誰しもその有効期限は気になるところだと思います。日本の方であれば、やはりANAとJALの2大エアラインのマイレージ・プログラムを利用しているケースが多いでしょうから、今回の記事では、それぞれの有効期限を延ばす手段についてご紹介します。
ところで、一般的にクレジットカードやフライトでマイルを貯めている人と、当ブログでご紹介しているようないわゆる陸マイラーとでは、「マイルの有効期限」が持つ意味がかなり異なります。
前者の場合、長い時間をかけて、数年がかりで数万マイルを積み上げて、目標に届かないまま、失効を迎えるマイルが出てきた、さてどうしよう――このようなケースが少なくないと思います。
対して、陸マイラーの場合は、毎年、20〜30万単位でマイルが増えていきますから、マイルが貯まりすぎて使いきれず、失効する懸念がでてきます。30万マイルといえば、ビジネスクラスでは北米やヨーロッパに3回往復、ファーストクラスでも2回往復できる額です。エコノミーなら実に7往復。それが毎年貯まっていくとしたら、使い切れるでしょうか?
ANAマイルを貯める方法については以下の記事をご覧ください。
ANAマイレージ・クラブ
ANAのマイル・プログラムの名称は「ANAマイレージ・クラブ」。その有効期限は 36ヶ月です(積算された月から3年後の月末に失効となる)。原則として、延長は認められていません。ただ、「原則として」とあるように、有効期限を延長する方法がいくつか存在します。これを順番に見ていきましょう。
1. ANA Skyコインへ交換する
厳密にはマイルの有効期限を延ばす方法ではないのですが、まずはここから見ていきましょう。というのは、本家ANAの公式サイトにおいて、有効期限を迎えて失効寸前のマイルの利用先として、Skyコインへの交換をすすめているからです。
Skyコインとは?
Skyコインとは、ANAが販売する航空券・ツアー・ホテル宿泊等に現金と等価で充当できる電子ポイントです (10 ANA Skyコイン=10円) 。詳しくはこちらの記事に書いたのですが、ANAマイルを最大1.7倍のレートでSkyコイン化することが可能です。
10,000マイルであれば、最大17,000円相当のSkyコインに交換できます。Skyコインは発行から12ヵ月後に失効を迎えるため、期限切れしそうなANAマイルを緊急避難的にコイン化すれば、有効期限を1年間延ばすことが可能です。とはいっても、10 Skyコインよりも10マイルの方がはるかに価値は高いですから、他に打つ手がない場合の最終手段といえるでしょう。
なお、同じような使い方ができる「ANAご利用券」にマイルを交換することも可能ですが、その交換レートは1倍とSkyコインよりはるかに低いため、お勧めはできません。
2.「ミリオンマイラー」ステータスを獲得する
これは正直いって、現実的ではありません(笑)。ANA便に搭乗すると、その度に区間基本マイルがベースとなるライフタイム(LT)マイルを加算できます。「ミリオン」の名のとおり、100万LTマイルを達成すると、保有マイルが永久に失効しないステータスを獲得できます。
▲到達するごとにもらえるタグ。200万LT以上でもらえる特典1はANA SUITEラウンジの永久使用権
ただ、ANAが就航している路線としては最長距離である東京-ニューヨーク間であっても、区間基本マイルは6,737です。東京-ニューヨーク74往復に相当する距離を飛ばなければ、ミリオンマイラーには到達できません。単純計算で1往復10万円としても740万円です。実際には1,000万円にせまる額となるでしょう。仕事でフライトする方でなければまず不可能ですね。
3.「ダイヤモンドサービス(DIA)」ステータスを獲得する
ANAの上級会員であるダイヤモンド(DIA)ステータスを保有している限り、マイルは失効しません。DIAステータスを失うと、そこからさらに3年後が保有マイルの失効月となります。
今、わたしはちょうどSFC修行の最中なのですが、これを完了するとプラチナステイタスを獲得できます。それを上回るのが、ダイヤモンドステイタス、DIAです。これを達成するには、100,000プレミアム・ポイントが必要となります。SFC修行の倍ですから、約100万円の出費が必要となります。これもなかなか現実的とはいえませんね。
▲プラチナステイタスまでならほぼ無料で達成可能です
4. 逆ソラチカルート:メトロポイントへ逆流させる
これも陸マイラーならではの方法です。通常、ソラチカはメトロポイント→ANAマイルへの一方通行しか使いませんが、それを逆流させる、つまりANAマイレージをメトロポイント化することで、最大4~5年間、失効を先延ばしにできます。ソラチカルートとメトロポイントの有効期限についてはこちらの記事に詳しいです。
月に20,000メトロポイントしかANAマイルへ移せないことは皆さんご存知かと思います。いわゆるソラチカルートのボトルネック問題ですね。しかしANAマイル→メトロポイントの場合、このような制限は存在しません。失効しそうなマイルは上限なくソラチカへ移行できます。
ただし、この手法にもデメリットはあります。まず、メトロポイント→マイルへと再マイル化をする際にも0.9がけとなるので、元のマイルから10%目減りしてしまいます。とはいえ3年間延長の手数料として考えれば、納得いく範囲かとは思います。
再マイル化にかかる時間とメトロポイントの有効期限には要注意
もう一点、気をつけなければいけません。ただでさえマイル渋滞を起こしがちなソラチカルートなので、逆流させるタイミングはよく考えた方がよいでしょう。メトロポイントの有効期限は、上の記事で詳しく書きましたが、最長でも2年です。24万メトロポイントを超えると、再マイル化が間に合わず、失効する恐れが出てきます。
それでもダメなときは? 特典航空券を発行してしまう!
海外特典航空券を発券できるだけのマイレージが貯まっている場合は、355日先のチケットを発券してしまうのも手です。ほぼ一年間の猶予がありますから、その間に、休暇等にあわせて、フライトの日付変更を行ないましょう(ただし路線・行き先の変更はできません)。国内便の場合は2ヶ月先までしか予約できないので、日程に関してはより慎重な判断が求められます。
JALマイレージバンク
続いて、JALのマイル、「JALマイレージバンク」について見てみましょう。JALの場合、次の2点が大きくANAと異なります。
- eJALポイントに有効期限が実質的に存在しない
- ソラチカルートが存在しない
1. eJALポイントに有効期限が実質的に存在しない
ANA Skyコインに該当するのがJALのeJALポイントで、JALが販売する航空券や各種ツアーに現金相当で充当できます。
Skyコインとの大きな違いは二点あり、まず、JALマイルからeJALポイントへの交換レートは一律となっています。Skyコインの場合、会員ステータスや保有クレジットカードにより1~1.7倍と交換レートが異なりますが、JALでは一律1.5倍と決められています。その意味では、比較的容易に1.6倍のレートで移行できるANAの方がお得ではあります。
しかしポイントの有効期限に関しては、JALに軍配が上がります。eJALポイントの有効期限は一年間ですが、JALマイルからeJALポイントへ追加交換をすると、保有する全eJALポイントの有効期限が一年間延長されるのです。その意味では有効期限は実質的に存在しないも同然です。
ただし、交換単位が最低10,000マイルとなっているため、それなりにマイルを貯めていないと交換自体ができない点には注意しましょう(*JALカードを保有している場合には3,000マイルから交換可能。後述するClub ESTでは100マイルを100 eJALポイントへ交換可能)。
eJALポイントのデメリット:ソラチカルートが存在しない
これは実に痛いです。JALにソラチカルートが存在するならどれだけの人が歓喜の涙を流すでしょうか。マイルを貯める上で、難易度というか効率が桁違いですからね。
存在しないものは仕方がないので、代替手段を考えてみましたが、やはり現実的には厳しいです。ANAでソラチカへ逆流させる場合、0.9がけで再マイレージ化が可能ですが、JALでは0.5~0.6倍まで目減りしてしまいます。
唯一ネットマイルとnimocaポイントのキャンペーンを利用すれば0.75倍での再マイル化が可能ですが、九州にあるリアル端末でないと移行できない(!)という鬼仕様であり、そもそも期間限定のキャンペーンなので、現実的ではありません(2016年は、8月一ヶ月間のみのキャンペーンでした)。
nimocaへ逆流させるJAL再マイル化
10,000 JALマイル→10,000 JQカードポイント→10,000 Gポイント→10,000 セシールポイント→10,000ネットマイルポイント→15,000 nimocaポイント→7,500 JALマイル
しかも、JAL→JQカードへの移行が年間20,000マイルまでという上限があります。nimocaルート以外にたとえばdポイントも交換レートが25%上昇するキャンペーンがありますが期間限定ですし、残念ながらANAと比較すると、JALはとにかく制約が多いです。
JAL ミリオンマイラー「JGC Five Star」
ここからご紹介するのは正攻法で、公式にマイレージの有効期限を延長する方法です。残念ながら、かなりハードルは高くなってしまいます。まずはJALのミリオンマイラーです。
JALグループ利用により1,000,000マイルを達成するとマイルの有効期限がなくなる「JGC Five Star」ステータスを獲得できます。実はこのステータスの特典は非公開となっているのですが、ANAとの違いで言えば、自分が所有するマイレージを家族に譲渡できる点や、家族をJGC本会員として招待できる点があげられます。とはいえこちらも目指してなれるものではありません。ANA同様、1,000万円にせまる費用が必要となります。
JMBダイヤモンド会員・JGCプレミア会員
加入条件にあるFOPとはFly On Pointの略で、JMBマイル積算対象運賃でのJALグループ便ならびにワンワールドアライアンス加盟航空会社便への搭乗でたまるポイントです(ANAで言うプレミアム・ポイント)。
一年間で一定のポイント数に達するごとに、ステータスがランクアップします。80,000FOポイント以上を稼いでダイヤモンド/プレミア・ステータスを維持している限り、マイレージは失効しません。言うまでもなくこの資格を手に入れるのも容易なことではありませんが、いわゆる修行によってギリギリ手が届く範囲かとは思います。個人的にはとても手を出そうとは思いませんが(笑)。
JALカード特典でマイル有効期限を延長する
JALの場合、クレジットカードの特典としてマイルの期限延長を提供しているのが面白い点かと思います。ANAでは、マイル化する前であれば、期限なしのポイントとしてクレジットカードに貯めておく技はあるのですが、カードの特典としてマイル自体の有効期限を延ばすようなものはありません。
ただし、入会条件が年齢で区切られているので、誰しもが使えるわけではなく、しかもボリュームゾーンの大きい30-40代の方は対象外です。うまいこと設定されていますよね……。マイレージの有効期限を延長するというのは、それだけエアライン側からすると負担が大きいのでしょうね。
とくにCLUB ESTなどは有効期限以外の特典も充実しているので、JAL便をよく利用する20代の方であれば十分検討に値すると思います。ただし、JALカードの年会費に加えてCLUB ESTの年会費(5,400円)がかかることにも留意してください。搭乗回数が少ない場合は宝の持ち腐れになってしまいます。
特典航空券を手配してしまう
ANAの場合とほぼ同じ説明ですが、国際線では一年間、国内線なら90日先までのチケットを発行可能です。とくに国際線の場合、とりあえず発券しておいて、予定や休暇にあわせてフライト日時を変更することで、一年間の猶予が生まれます。
まとめ
こうして見ると、正攻法で上級会員になることを除けば、いずれの手法も「苦肉の策」といった感がぬぐえません。基本的には失効が迫っている際の応急措置ですから、仕方がないのですが。
とくに、どんどんマイルが貯まっていく陸マイラーの場合は、マイル獲得にあたってのコストと、利用する際のマイル単価を念頭において、マイレージの出口戦略についても常に意識しておくことが大事かと思います。せっかく貯めたマイル。失効することがないよう、打てる手は打っておきましょう。