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【経済】NTT海賊版サイト遮断 「通信の秘密」侵害懸念も政府が漫画の海賊版サイトへの接続を遮断するようインターネット接続事業者(プロバイダー)に自主規制を求めたことを受け、業界最大手のNTTグループは二十三日、準備が整い次第、遮断すると発表した。グループ企業が運営するプロバイダー「OCN」と「ぷらら」のほか、携帯電話「ドコモ」の契約者を含めた延べ六千万人超が対象となる。 遮断にはプロバイダーが利用者の通信をチェックする必要があり、学識者らからは憲法が定める「通信の秘密」を侵害する恐れが指摘されている。NTTの広報担当者は「そうした見解は承知しているが、海賊版サイトへの対策が必要だという考え方に異論は出ていない」と説明。「政府の決定を受けて決めた」としている。 OCNの契約件数は約七百六十万で業界最大手。NTTぷららの三百十万件も影響を受ける。ドコモは約七千六百万の契約を抱える携帯電話業界の最大手で、このうちインターネットに接続するための「spモード」や「iモード」などを契約している五千万件超が対象になる。 海賊版サイトは漫画や雑誌のコピーを無料で公開。出版社の損失は数千億円とも推計される。政府は今月十三日に対策をまとめ「漫画村」など三つのサイトを指定し「プロバイダーの自主的な取り組みで遮断することが適当」とした。憲法に抵触する懸念が指摘されているため、今後、接続の遮断を合法化するための法律を定める方針。NTTも「法制度が整備されるまでの短期的な緊急措置」としている。 一方、KDDIの広報担当者は「技術、運用、法制面を含めて検討中」と話している。ソフトバンクは「通信の秘密を侵害する懸念もあり、慎重な議論が必要」として「さまざまな観点から実行可能な方策を検討していきたい」とのコメントを発表した。(吉田通夫)
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