アフガニスタン有権者登録所で自爆攻撃、57人死亡 ISが犯行声明
アフガニスタンの首都カブールにある有権者登録のための施設近くで22日、自爆攻撃があり、少なくとも57人が死亡した。過激派組織の「イスラム国」(IS)が犯行声明を出している。
当局によると、カブール西部のダシュテ・バルチ地区で有権者登録のため並んでいた人々が攻撃の標的となり、犠牲者の中には女性21人と子供5人が含まれる。このほか119人が負傷した。
今年10月に予定される下院選のため、今月から有権者登録が始まっていた。
IS傘下のアマク通信によると、爆発ベルトを巻いた戦闘員が登録所を攻撃したと述べた。
22日に何が起きたのか
ダシュテ・バルチ地区には、イスラム教シーア派の信徒が多く住む。アフガニスタンではシーア派は少数派で、過去にもISの攻撃を受けている。
爆発が起きたのは22日朝で、有権者登録のため並んでいた人々は子供たちも一緒に連れてきていた。
自爆犯がどのように起爆したのか詳細は現時点で分かっていないが、周囲にあった自動車も破壊された。
負傷して病院で手当てを受けていたラスリさん(26)はAFP通信に対し、「自分が血まみれになっているのに気がついた。周りには女性や子供が死んでいた」と語った。「みんな投票がしたかった」。
現場では、散乱したガラス破片や血の海の中に、証明用写真や書類がいたるところに散らばっていた。
地元テレビ局アリアナは、別の負傷男性が病院ベッドの上で泣きながら、「娘たちがどこにいるのか分からない。攻撃してきたやつらは地獄に落ちろ!」と話す様子を伝えた。
ロイター通信によると、アリアナは攻撃に抗議する人々が「政府に死を!」と叫ぶ姿を報じた。ISの犯行声明が出る前には、「(アフガニスタンの反政府武装勢力)タリバンに死を!」と叫ぶ人々もいたという。
カブールに駐在するBBCプロデューサー、マハフズ・ズバイデはツイッターに、建物の写真と共に「きょうカブールで起きた攻撃。ここが攻撃された場所で、目撃者たちは100人以上が死んだと話している」と投稿した。
なぜ有権者が攻撃対象に
1週間前に有権者登録が開始されてから、登録所への攻撃は少なくとも4回起きている。今年10月に下院選が予定されているほか、2019年には大統領選が行われる。
BBCが今年行った調査からは、アフガニスタン政府が完全に支配できているのは国内のわずか30%余りで、残りはタリバンや、影響力は限定的ながらISが支配している状況が明らかになっている。
アフガニスタンのワイス・バルマク内相は今年、BBCに対して、ISとタリバンの両方が市民を標的にして、政府に敵対させようと挑発し、混乱を起こそうとしていると語った。
今回の攻撃による犠牲者数は、今年1月にカブールの公官庁や大使館が集中する地域で起きた爆発攻撃で100人以上が死亡した事件以来の規模となった。
アフガニスタンで最近起きた主な攻撃
1月20日 - 銃で武装したタリバン戦闘員たちがカブールのホテルを襲撃し、少なくとも22人が死亡
1月27日 - タリバンの戦闘員が爆発物を積んだ救急車でカブールの警備された地区を攻撃し、少なくとも100人が死亡
3月10日 - 西部ファラハ州で起きたタリバンによる攻撃で兵士24人が死亡
3月21日 - カブールに近い宗教施設で起きたISによる自爆攻撃で、イラン暦の新年を祝う人たちのうち、少なくとも31人が死亡
3月23日 - 南部ヘルマンド州で自動車爆弾が爆発し、レスリングの試合を見ていた観客のうち少なくとも13人が死亡
(英語記事 Afghanistan: Kabul voter centre suicide attack kills 57)