もはやクラスが違うなあ――。フォルクスワーゲン グループ ジャパン(VGJ)が2018年3月に発売した新型「ポロ」に乗っての感想である。新型ポロは、日本車でいえばトヨタ自動車「ヴィッツ」、日産自動車の「ノート」、ホンダの「フィット」あたりと同じ「Bセグメント」に属する車種だが、ボディのがっちりした感じといい、内装の質感といい、もはや同列では比較が難しいくらい差がついてしまったと感じる。
読者の皆さんは、このような「やっぱり欧州車はいいよね」的な発言を聞くと「またか」と鼻白む思いがするかもしれない。筆者も、自動車雑誌などでこういう記述を見かけるとそう思うし、例えば、一クラス上のCセグメントならスバル「インプレッサ」やマツダ「アクセラ」、同じCセグメントのSUV(多目的スポーツ車)ならマツダ「CX-5」のように、欧州車と同列で論じられる車種もある。しかし、ことBセグメントのハッチバック車では、彼我の差が大きくついてしまったという印象が否めない。
もちろん、国内メーカーにも言い分はあるだろう。一番の理由は、かけられるコストが違うというものだ。ポロの国内での販売価格は209万8000円~265万円と、国産車の同クラスに比べると60万円~70万円程度は割高に設定されている。ただし、装備の違いも考慮すればこの差は50万円程度に縮まるし、最近の同クラス車ではハイブリッド車が売れ筋になっており、これらと比較すると、価格は似たような水準になる。
国産車のハイブリッド車はポロのJC08モード燃費の19.1km/Lに対して、1.5倍以上の34km/L前後の車種が多いのだから、ここから先は、燃費を選ぶのか、質感を選ぶのかという価値観の問題になるのかもしれない。ただし、後で触れるように、実際に走らせたときの燃費はカタログ燃費の差ほど大きくない。クルマを走らせたときの乗り心地や、内装や外装の質感などを考えたら、この価格差は決して不当ではないと筆者には感じられた。
MQBがBセグにも
新型ポロは、独フォルクスワーゲン(VW)が採用を拡大する新世代モジュラー・プラットフォーム「MQB」を、同ブランドのBセグメント車としては初めて採用する。VWグループ全体でみれば、すでにこのコラムの第91回でも紹介したアウディの小型SUV「Q2」や、スペイン・セアトの新型「イビザ」(日本未導入)に採用されている。
MQBは、鋼板を加熱して水冷した金型で成形することで、いわば鋼板を“焼入れ”することで強度を高めた「ホットプレス鋼板」を車体のフロアトンネルや後席足元の部材など車体の多くの部分に使うことなどで、軽量化を図りつつ車体剛性を確保しているのが特徴だ。MQBの採用によって、上級車種の「ゴルフ」では最大100kgの軽量化を図ったと説明されていたが、新型ポロについては、ベースグレードの「TSIトレンドライン」同士で比較すると、先代の1130kgに対して、新型は1160kgと、30kgではあるが重くなっている。
いただいたコメント
コメントを書く