13/35
第13話「消せない傷」
少年レイフォンの話もあり、『フォーティン』改め『神代ひなた』は孤児院ポインセチアで生活することになった。
そんな中、アルエットは唐突に温泉に行こうと提案し……。
生きていた。
ただ空虚なまま生きていた。
自らが自らでないまま、ただ『生きる部品』であるような生き方をしていた。
施設の中で、ふいに視線が向いた赤髪の少女。それが妙に、自らを刺激する。
彼女を見ていると、その『先』に見えるのは、輝かしき瞳。
毎日を他人と過ごし、笑顔に溢れ、優しい時を生きる。
ああ、それは彼女の未来なのだろう。
いつしか、彼女を通して見る『未来』は、己のささやかな楽しみになっていた。
Flamberge逆転凱歌 第13話 「消せない傷」
技術者の集まりによって形成されたエルヴィンという街。
それゆえに、技術者に効率的に研究してもらう目的のため、娯楽には特に力が入っている。
この温泉宿「得備の湯」もその一つ。
荒れ果てた地の中から入浴施設を作り上げたら、実は天然温泉が埋まっていたという奇跡のような事態により、元の計画を全面的に見直して完成したという、なるべくして生まれた温泉宿。
日本の旅館や大規模銭湯をイメージして作られたこの宿は、日本人のみならず、人種を問わず多数の客から贔屓にされ、現在勢いのある娯楽施設のひとつとなっている。
「いやー、何とかあけられてよかったよかった」
大満足の、言いだしっぺのアルエット。開館タイミングギリギリで予約をとれたため、大人数でも何とか部屋数を確保することができた。
元々孤児院のローテーションでもアルエットは休日で、他の人間が担当だったため、子供たちをほったらかしにすることもなかった。
「よかったのはいいんだけどさアルエさん」
「なにかねそーくん」
そーくん、と言われて呆れ果てる総一を対象にドヤ顔をこれでもかと見せつけるアルエット。
「この部屋割りちょっと冒険的すぎね?」
彼の指摘通り、振り分けは思い切った大胆なものだった。
1部屋目、涼・由希子・ナルミ・アルエット。妥当。
2部屋目、俊暁・総一・トーマス・パーシィ。妥当。
これで分かれると、消去法で残りの3部屋目は、ひなたとレイフォンの二人になる。
「何で出会って間もない男女を二人部屋にしますかねえ!?」
「えー、だって邪魔しちゃやーでしょ?」
「だいたいそーゆーのって本人たちより他人が騒ぎ立てるものじゃなくてですねェ」
「まだまだ若いねえ、そーくんは。君もさっさとガールフレンド作ってやることやっちゃいなさいよ。
仲いいコいるんでしょ? ほら、あの幼馴染のあのコとか……」
「だぁぁ、何で真っ先にそいつ出すよド畜生!?」
顔を真っ赤にして反論する年相応の反応をからかうアルエット。
一方で、話の中心になっている当の二人は。
「何を離してるんだ?」
「さあ?」
その中身を全く理解していなかった。
無理もない。ひなたはずっと裏で生きるための戦いに明け暮れ、レイフォンも他人と触れあう事すら稀な環境で過ごし。
この二人にそもそも『恋愛』という確かなカタチのイメージがなかったのだ。
「ほらーやっぱり私達でどうにかしなきゃ」
「アンタの勝手なイメージ押し付けてどーする」
わーきゃー騒いでいる二人と、当人の二人の温度差もそうだが。
「……」
ここにも温度差の違う人間が居た。
「どーした広瀬? 気が進まないか?」
「ですよね。こんなセクハラ刑事と一緒に温泉宿だなんて」
「俺がいつセクハラ働いた!?」
心配して声をかける俊暁の話の骨を折るように、むすーと横から口を出す由希子。
「今朝」
俊暁の反論も、今朝ひなたとやらかした事態により速攻で返されるというのがなおのこと彼の立場を脆くしている。
「ありゃ事故だって! あっちから倒れてきて……」
「でも揉まれたって言ってましたよひなたさん」
「アレ不可抗力! 普通倒れられてすぐ判断できるか!?」
「おまわりさんこいつです」
「ドーモ、おまわりさんです」
わーきゃー騒いでいるのがここにもいる。
「こーゆーの日本じゃ『ゴジュッポ=ヒャッポ』って言うんだっけ?」
「それ出典中国。『どんぐりの背比べ』らしいよ」
「まあ結局変わんないけどね」
そして彼らを話の肴に豪快に笑い立てる二人組。絡みの空気が幾人かに分かれつつあった。
その中で、一人波に乗れないでいるのはナルミ。
「ねーねー、おねーちゃんおねーちゃん」
何回か話を伺おうとしても、当の涼が何故か沈みっぱなしでは話ができない。
そのうち、むー、と膨れて、何としても涼に気が付いてほしいと考える。
「だいたい男は鈍感なんです! 男に触られたら女の子は誰だって驚くんです!」
「そっちが勝手に意識してセクハラってなんだよ! 逆を言ってもどうせセクハラって言うんだろダブスタ!」
言い争いがこじれそうな俊暁と由希子の会話。
……その中身をふいに聞いて、ナルミの子供の頭脳がフル回転した。
「おっさん!!」
「おっさんじゃねえって!!」
まず、禁句を大声で放って反論を誘う。
「てーだして!」
「は? ええ、何を?」
だいたい『おっさん』と呼んだ後の俊暁は、反論しながらも話自体はちゃんと聞く。
先に手を差し出すことで、俊暁が手を出すのを誘う。あとは、その手を取って、子供の加減しない力で引っ張る。
「えいっ!」
「わきゃあああああああ!?」
結果、その差し出された男の手は、ナルミの手により無理やり涼の、プリーツスカート越しに突き出た、締まりながらも肉づいたヒップラインにあてがわれることになった。
俊暁の掌に一瞬訪れた、生地越しの柔肉の感触。その手の感触が好きな男なら天に昇ってもおかしくないくらいの、むっちりとした肉の感触が、柔らかなスカート生地越しに感じられる。
その感想を述べるまもなく、彼は天に昇った。ただし、物理的な意味で。
振り向きざまに蹴り上げたその脚力は、角川俊暁という男に浮遊感を物理的に与え、物理的に昇天させてしまった。
どんがらがっしゃーん。
「ふーっ、ふーっ……な、なな何をいきなり! このセクハラ刑事!!」
「お、俺は悪くねぇ……」
「りょーちゃんりょーちゃん!」
酷い話だが、ここまできてやっと反応らしい反応を返した涼。しかし慌てて静止する由希子に、漸く状況が見えてきた。
現在集団でロビーに居る。
派手に蹴り飛ばしすぎて、周囲に騒ぎを認知させてしまった。
そして何より、現在の広瀬涼はスカート姿である。
「……ッ!! し、失礼しました……!!」
真っ赤になって椅子に座りこみ塞ぎ込む。
反射的にいつものような行動(?)をとってしまい、完全に赤っ恥である。
「なあ、あれ広瀬涼じゃね?」
「ああ、テレビで見た。ってことはまた何か騒ぎでもあるのか?」
「そんな名探偵じゃあるまいし」
「ぱんつみえた」
「これうpしようぜ」
しかし一般客も一般客で言いたい放題である。
下手に名が売れたのもあるが、これでは週刊雑誌のスキャンダルにでも乗りそうな勢いである。
「あーハイハイ荷物置きましょうねー!!」
強引に総一が場を進め、他9人を押し流すように移動させることで何とか場を保つことができた。
「……」
「で、何をまだそんな引きずってンのさ、りょーちゃん」
「いたた」
移動中、別の意味も重なりなおのこと沈んでいた涼の耳を抓りながら反応を求めたのはひなただった。
あれだけ嫌味で放っていた『りょーちゃん』という言葉も、ここまで状況が変われば印象も変わるのだろう。
「アタシのはもう話したぞ。どうせいつかバレんなら、さっさとゲロっちまいな」
「……そう?」
「どうせその名前だって、『元々のじゃねェ』んだろ? お前が日本人にしちゃちょっと変わってるし。
いろいろ世話んなったが、それでもここだけはアタシは先に進んだ。ここは混浴らしいし、いい機会なんじゃない?」
それだけ言って、荷物を置きに奥の部屋に行ったひなた。
後には、今まで一人でずっと悩んでいた一人の人間が残されていた。
「いーい湯ーだーな」
「HAHAHA」
「なんかちげえ」
準備を整え、貸切の露天風呂。人種も込みで様々な人間が利用する以上、いらぬ衝突を避ける意味合いもあり、露天風呂でも大浴場と、個室を借りる客限定の貸切風呂に分かれている。
妙に日本文化に慣れている白人二人の隣で、つい口を挟んでしまうのは総一だった。
男性陣は皆タオルを腰に巻き、女性陣は胸元から大きいタオルを巻く形に。
「ねーニーサンたち、おんせんってなーに? おふろとちがうの?」
痺れを切らし、話を聞いてくれそうな男性陣の集まりにナルミが混ざりにきた。
「やあレディ。温泉ってのはな、日ごろの疲れを洗い流して……」
「待て一から話するのやめろ、のぼせる」
ついつい語りたがるトーマスを総一が静止する間に、横で俊暁が語り始める。
「温泉っつーのはその名の通り、地下から湧き出る熱い水のことでな。
転じてそれを風呂に使うことで、地下水故の成分の含まれた温泉の湯が身体にいい影響を与えるのが今言われている温泉だ」
「へーおっさんものしり」
「23です」
素直に褒める言葉にもいちいちおっさん呼ばわりがつくせいで悲しみを背負う。
「で、ナルミちゃんはどうしてこっちに?」
縁に座るナルミに対し、湯船に本格的に浸かりながら視線を合わせるパーシィ。
ナルミは返事代わりに、むすっと一定方向を指差した。
「それって義手だったの!? すげえ!?」
「ま、アタシは機械も身体だから大体中身っつーか……」
先の涼への宣言もあってか、遠慮抜きで打ち明けることに決めたせいか、ひなたの身体に関して、レイフォンとの話題は尽きなかった。
浴槽の縁に座り、足を湯に泳がせる形で、昼前の陽光に照らされる街を一望できるそこで、二人隣り合いながら。
「でも、大変だったんだろ? 左腕失うって……でもその割に身体、他の場所に傷ついてないな」
「そりゃアタシだって必死だったから。並の強さじゃ生きていけないし」
戦闘も仕事も変わらない。熟練していけば、よほどの案件でもない限り、身が汚れる機会も減るもの。
そう言い張れるくらいには、『フォーティン』は強かった。
「でも肌もきれいでよかった」
「ちょっとあんま見んなよぉ?」
それを少し離れて見ていた女性陣は、二人の様子にやきもきしていた。
「ああんもうっ、じれったい。そこぎゅって肩抱いてでしょ!?」
「というかあの二人、そもそも付き合うって概念を知らないんじゃ……」
平均値の高いバストサイズの中でも少し控えめな女性陣二人が、湯船に浸かりながらひなたとレイフォンの光景をウォッチングしていた。
いつもの丸眼鏡をコンタクトに変えた由希子の推理に、アルエットははっとした。
「知らない。成程、確かに二人の出自を考えれば納得いく結果ね。
こうなれば次なる手を……ちゃーんと用意してますよー、ふーふーふー」
「アルエットー?」
何か企んでいるとしか思えない彼女に、さしもの由希子も少し引かざるを得なかった。
「ね?」
「確かに。ありゃ入る隙間ねーわな」
頬を膨らますナルミに対して、呆れ果てたように続くのは総一だった。
「いやまあ、分かるよ。あの二人見てて飽きないもん」
「ああいうのはあの場じゃ珍しいからね。あれだけの年齢で完全に恋愛のれの字も知らない初々しい反応見せてくれるなんて」
女性陣の擁護にまわったパーシィに同調するように頷くトーマス。
話題に入っていけないせいで完全にへそ曲がりである。
「……まあまあ、こういうのは温泉にでも浸かってさっぱりいこうじゃないか」
「水に流そうってね」
「お湯だろ」
わざとなのかそうなのか、パーシィの引用する言葉に総一チェックが入る。
しかし、この混浴という場の中で割とはしゃぎそうな俊暁は割と静かだった。
「おっさんしゃべんないね」
「そりゃあこっちはまだお子様だし、あっちは彼氏持ちだし、そっちは湯船深く浸かってて……あ、でも谷間いいかも」
まったく懲りない悪びれない。
あくまで合法的な範囲で楽しみを見出すのが角川俊暁のモットーである。
そう和気藹々とした雰囲気の中で、欠けていたものを思い浮かべた瞬間。
更衣室のドアが静かに開いた。
「……」
ためらいがちに、タオルを体に巻いて現れた広瀬涼。
熟した身体はタオルの上からでも隠しきれない明確な起伏のラインを作り、女性らしさを強調するが。
それよりも目を引いたのは、彼女が左肩の下あたりを右手で抑えていたところだった。
「怪我でもした?」
トーマスの声には、静かに首を横に振って。
「……これから見ること、他の人には言わないでほしい」
「え、それって……りょーちゃん?」
由希子の言葉に答えを返すかのように、そっと右手から手を離して。
そこには、白磁の肌に刻まれた黒の刻印。
『R1-11』。広瀬涼の背負っていた、消せない傷。
「……これ自体は、見ている人間もいると思う。だけど、遅かれ早かれ、みんなは知るようになると思う。だから、先に話す。
私の昔の名前はコレの通り、『R1-11』。広瀬涼の名前は、孤児院で暮らすようになった時に名乗った名前」
彼女の脳裏をよぎる、拾われる前の記憶。日々を生きるのも精一杯で、半ば風化した記憶も多いが、ただただ辛く、すぐ近くの暗い未来しか見えなかった時の話。
「元々の名前なんて分からない。今のひなたと一緒の施設で、何かの訓練を受けて育てられて、ただ死んだように生きて。
……だけど、ポインセチアに拾われて。由希子と、皆と出会えて。『広瀬涼』でいて、『人間』になれて、私はよかったと思う」
周囲を見回す。
「……りょーちゃん」
自分を引き上げ、『人間』になるきっかけをくれた由希子。
「もう。みんなとっくに仲間よ、涼」
ともに育ち、ともに学んできたアルエット。
「今更育ちがどうとか、気にする奴は此処にはいねえよ」
同じ人間の死を乗り越え、未来を歩むことを共に決めた俊暁。
「そうそう。人は人の上に人を作らずってね」
「人の下にじゃない? まあ俺達守秘義務には自信あるし、大船乗ったつもりでさ」
道を決めてから、共に並び立ち戦ったトーマスやパーシィ。
「むしろそんな大事なコト、打ち明けてくれてホッとしたっスよ」
孤児院の後輩である総一も、自身に渡った力を信じてくれた。
「やっぱ打ち明けてなかったか。イレヴン呼びもしっくりきてたんだけどなァ」
「やめたげなよ」
自らの後に続くように、陽のあたる道を歩み始めたひなたと、そのきっかけになったレイフォン。
広瀬涼の進む先に、これだけの人がついてきてくれた。
「おねーちゃん」
そして、世界の広がるきっかけを作ってくれた不思議な少女が笑いかける。
「あいされてるね」
世界は広がった。
広がって、自身と関わりを持ってくれる人がこんなに増えた。
だからこそ、己の抱えたすべてを打ち明けると決めた。
この消えない傷、自らが名を棄てさせられ、『モノ』として刻まれた烙印。人とは違う存在であることを自覚させられる。
それでも、変わらず『R1-11』は、否、『広瀬涼』は人間だった。
『あなた、名前は?』
『……な、まえ?』
『私は由希子。岩村由希子。あなたは?』
正直言えば、名を聞かれた時、『R1-11』の『1-1』を『H』にこじつけ、イニシャルとして適当に答えたのが『広瀬涼』だった。
しかし、その名は最早『彼女』の名として刻まれている。誰もがそれを彼女の名として、受け入れ、呼んでくれている。
「……ありがとう」
それが、何よりの救いだった。
「さて、じゃあ私も」
「りょーちゃん身体洗ってない!」
「あ、いけない」
湿っぽい雰囲気を自分から払拭するように、露天風呂に歩みを進めたところで、まだ身体を洗っていないことに気づいた涼は回れ右をしようとする。
が、慣れない場ということもあり、足を踏み外してしまう。
悲鳴を上げる間もなく、もがいたが故に胸元からタオルがはだけ。
むに、という感触が生で直撃したのは……誰もがその瞬間予感し、的中した。角川俊暁が顔面と、支えようとした両手で、思いきり触れていた。
「―――」
「……なんかこれ覚えあるぞ。どこだったか……」
「~~~~ッ!?!?」
呑気しながら逃げようともがく俊暁。色々と限界に達した涼は、そのまま首を掴んでギリギリと締め上げる行動に出た。
「わすれろーわすれろー!」
「ギブギブギブ!?」
「りょーちゃんタオルタオル!!」
わーきゃーと由希子も混ざって騒ぎ立てる光景。誰が最初か、噴き出したのをきっかけに、周囲に笑みが伝播していった。
スキだらけで大恥かいた涼と、色々な意味で危うく窒息寸前だった俊暁を除いて、だったが。
―――――
―――
――
「……これで、二人か」
月夜も僅かにしか差さない、薄暗い廃ビルの中、銀髪が光を捉え煌めく。
淡く見える中性的な顔立ち、男性とも女性ともつかないそれがつぶやいた。
「よかったね。君の同類が、また人間になれた」
それと鏡写しのもう一人、声が反対側から響く。
同じような顔つき、同じような髪。背丈はあちらの方が高いか。
まるで挑発か、あるいは愚弄したかのような口調に、もう片側の表情がゆがむ。
「それはどうも。で、僕たちの話にずけずけと割り入ってどうするつもりだ」
「どうするも何も。これから忙しくなるじゃない?
例の土建会社は壊滅的。あの戦闘で、広瀬涼に敵対する人間がどうなるか、世間は思い知っただろう」
似通った見た目ながら、話し方、抑揚、微妙に差異がある。まるで鏡と対話をしているような空間。
「世界は彼女を中心に二分化する。ここから世界が大きく動いて、彼女を呑みこもうとするだろう。
どうやったって、君が『見た』運命を変えることはできない」
「どうかな」
嘲るように並べた言葉を、4文字で短く切って捨てる。
空間に、再び静寂が訪れた。
「『カストロ』にかけて、名乗ったコードネームが『バロックス』。
カストルとポルックスにかけたつもりか」
「兄弟星。どう足掻いても、お前は僕から逃げることはできないのさ」
空間に繰り返し投げつけられる、片や嘲り、片や蔑み。
似通う二人に交わされる視線は、険悪なそれでしかなかった。
「調子に乗るなよ、贋物風情が」
「侮るなよ、旧作ごときが」
―――静寂のまましばらく、再び気配はひとつになる。
虚空を見上げ、呟くカストロ。
「……未来を変えられるのは、君だけだね」
遠い目で呟く。空はどこまでも深い漆黒に染まり、伸ばす手は何を掴むこともなかった。
あの星が、遠い。
Flamberge逆転凱歌 第13話 「消せない傷」
つづく。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。