小説『響け!ユーフォニアム』で登場するみぞれと希美。2人の少女の一瞬を切り取ったアニメーション映画『リズと青い鳥』が4月21日に公開となった。監督は京都アニメーションの山田尚子。第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞となった映画『聲の形』のスタッフが贈る最新作となる。
ニジ★スタでは音楽を担当した牛尾憲輔へインタビューを実施。前編は劇伴作家としてのこれまでの歩みを振り返っていもらい、後編では映画『リズと青い鳥』の音楽について語ってもらった。
ニジ★スタでは音楽を担当した牛尾憲輔へインタビューを実施。前編は劇伴作家としてのこれまでの歩みを振り返っていもらい、後編では映画『リズと青い鳥』の音楽について語ってもらった。
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『響け!ユーフォニアム』は熱いスポ根話
映画『聲の形』からの流れになりますが、そんな山田さんとはなぜ一緒に映画を作ることに?
牛尾 最初は、京都アニメーションさんからお声がけいただいたんです。音楽制作をしていた会社からマネージメントに連絡があって。そもそも僕のソロ作品をずっと聴いていてくださったみたいで。でもめっちゃビックリしましたよ。マネージャーさんからの連絡が神妙な感じでしたから。「うっしー、ちょっと話があるんだけど……」みたいな(笑)。
驚きますよね。でも今作で、また同じ座組でやれるというのは嬉しいのでは?
牛尾 嬉しいですね。映画『聲の形』のとき、制作が始まる前にじっくりとコンセプトワークをしたんですよ。一番最初にやる作品のコンセプトワークって、だいたいが人とのなりのチューニングになるんですけど、山田監督と僕って、10代の頃に聴いていた音楽が一緒だったりするんです。僕たちが10代を過ごした頃って、音楽がまだカルチャーとして強かったから、その話が合うと、会った初日に15年前の話ができる関係性になるので、一緒にバンドを組むみたいな空気だったんですよ。なのでそのときに、この人とは作品が変わろうとも、根源的な部分が一緒だから、できるだろうなっていう気持ちはありました。
では、今回も不安なく入っていけたんですね。ちなみに『響け!ユーフォニアム』の独立映画的な作品でもあるのですが、ユーフォの印象はどういったものがありますか?
牛尾 『響け!ユーフォニアム』は熱いスポ根話で、普通に楽しんでいたのを覚えています。胸が熱くなる泣ける話だなって。
『リズと青い鳥』はだいぶ違う話になりましたよね?
牛尾 そうですね。打って変わって『リズと青い鳥』は全然違う話なので、今回もコンセプトワークを、制作に入る前にさせてもらいました。
山田監督はどういう感じで音楽の発注をするのですか?
牛尾 映画『聲の形』のときからそうなんですけど、山田監督からの発注はないんです。コンセプトワークをして、そこから山田監督のコンテが上がって、音楽に入るんです。コンセプトワークを最初にやると、作品に対してブレのない状態を作ることができるので、そこから僕がコンテに対して、スケッチという形でイメージアルバムを作って、それを山田監督に聴いてもらうんです。で、そこから2人でスタジオに入って、曲を作りながらアレンジしながら、(映像に)当てていく作業をする。
通常、音楽の発注って音響監督さんと監督さんからありますよね?
牛尾 音響監督の鶴岡陽太さんは本当に長く第一線でやられている方なので、助言をいただきながらでした。やり方とかすごく大きなところを見てもらって、細かいところは山田監督とスタジオで詰めていくやり方でしたね。
空間に広がりを持たせる音楽にしたかった