平成２２年度 　脳科学入門

担当教官　 藤田一郎 （生命機能研究科・認知脳科学研究室）
　　　　　　　 Ichiro Fujita (Lab for Cognitive Neuroscience)

対象年次　 ２年生

連絡先　　　藤田：基礎工学部J棟２１２室　（内線　６５１０）
　　　　　　　 fujitaアットfbs.osaka-u.ac.jp

リンク　　　　基礎工学部システム科学科生物工学コース

　　　　　　　 認知脳科学研究室
　　　　　　　
　　　　　　　 CREST藤田プロジェクト

何を学ぶか　　この授業は、脳科学・神経科学の中でも、システム脳科学、認知脳科学と呼ばれる分野に力点を置きます。神経細胞（ニューロン）の中で何が起きているかではなく、ニューロンの活動や連絡がどのように、私たちや動物の行動や知覚などに結びついていくのかを探る学問です。大阪大学基礎工学部生物工学コースには、多くの神経科学関連の授業が準備されていますが、その１番手として提供される授業です。普通のカリキュラムですと、まずは、ニューロン一つの中で起きるできごと（静止膜電位や活動電位）、ニューロン２つの間での情報のやりとり（シナプス伝達）などを先に学ぶのでしょうが、本コースでは、君たちにまず脳科学に強い興味を持ってもらおうというねらいから、あえて、システム脳科学的話題を最初に提供します。とは言っても、本講義を理解するために必要なニューロンに関する基本事項を、１回目の授業において、概観する機会を持ちます。

参考書は、

　　　１．岩波講座認知科学３「視覚・聴覚」（川人光男編）岩波書店
　　　２．「見る」とはどういうことかー脳と心の関係をさぐる」（藤田一郎）化学同人社　DOJIN選書007
　　　３．「脳ブームの迷信」（藤田一郎）飛鳥新社
　　　４． 「Essentials of Neural Science and Behavior」(Kandel ER, Schwartz JH, Jessel TM）Appleton & Lange社、和訳本なし
　　　５．「Neuroscience: Exploring the Brain」（Bear MF, Connors BW, Paradiso MA) Lippincott Williams & Wilkins社、和訳本なし

です。この研究分野は私たち自身の専門分野ですので、これらの本は参考程度にして、私たちの色づけ、私たちの考えで構成した授業にしていきます。

この授業の基本方針、目標は下記の通りです。

（１）　システム神経科学・認知脳科学における重要な基本概念を身につける。
（２）　理論、行動、生理、構造の４つの側面からの総合的アプローチの重要性を認識する。
（３）　これら研究分野の現在進行中の様子を知る。
（４）　実物やビデオなどを見る。
（５）　脳科学に関する基本英単語（３００語）を覚える。
（６）　学生が授業を受身で聞くのではなく、質問、議論、課題実行を通して自分で勉強する。

どう学ぶか　　人脳標本を皆さんに見せることもあります。錯視図形の作成とその発表、２回のレポート、数回の小テスト、１回の期末テストを行います。しっかり自習しないと単位が取れない授業、受講者が勉強する授業にしたいと考えています。ひやかしや単位数欲しさだけでの受講、学ぶ真剣さのない人の受講はできません。

約束　　この授業を受けるにあたっては、以下の約束を守ってください。（１）授業に遅刻しない、（２）机につっぷして眠らない、（３）積極的に質問する。

成績評価　　成績評価は、小テスト、期末テスト、宿題レポートにより行います。レポート提出は期限厳守。期末テストを受験するにはすべてのレポートを提出する必要があります。