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トルコサッカーは「救急治療が必要」、観客の暴挙に非難続出
【4月21日 AFP】トルコ1部リーグ、ベシクタシュ(Besiktas)の指揮を執るシェノル・ギュネシュ(Senol Gunes)監督が、同じイスタンブールに本拠地を置く宿敵フェネルバフチェ(Fenerbahce)との試合で観客席から投げつけられた物体が頭部に直撃し、5針を縫うけがをして病院に搬送されるというおぞましい事件が発生したことを受け、同国のサッカー界は20日、厳しい批判の声にさらされる事態に揺れた。
前日に行われたトルコ杯(The Turkish Cup)準決勝第2戦で、ベシクタシュのギュネシュ監督が敵地ファンから被害に遭った事件は、レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領から容認できないものと非難され、同国のサッカーで観客の問題行動が続いていることを改めて浮き彫りにするものとなった。
日刊紙ヒュリエト(Hurriyet)では「サッカーが死んだ夜」という見出しが躍り、スポーツ紙ファナティーク(Fanatik)ではギュネシュ監督が病院で担架に乗せられている写真の上に、「救急治療が必要なサッカー界」とつけ加えられていた。
エルドアン大統領は今回の事件に憤りを示しており、偶発的な行為というよりも「策略」であるとして、テレビで放送された報道陣へのコメントで、「これは誰かが仕組んだテロ行為だ。自然に起きたものではない。シェノルに起きたことは決して容認できない」と述べた。
■「被害者はトルコのサッカー」
現在65歳のギュネシュ監督はトルコ代表の伝説的GKで、指導者としてはベシクタシュをリーグ連覇に導いているほか、2002年のW杯(World Cup)日韓大会で母国を3位に導いた経歴を持っている。被害を受けた際にはチームの医療スタッフに付き添われながらロッカールームに下がり、その夜は経過観察のために病院で過ごして早朝にようやく帰宅の許可が下りたと地元メディアは伝えている。
ギュネシュ監督は病院を出たところでトルコ紙ミリエト(Milliyet)に対して、「被害者は私ではなく、トルコのサッカーだ。サッカー界の関係者は全員で会議を開き、この問題の早期解決策を探る必要がある」と述べた。
地元テレビ局で流された映像では、ギュネシュ監督がたばこのライターと思われる物体が直撃した痛みで頭を抱え込み、うろたえながら芝に倒れ込む姿が確認された。トルコのビナリ・ユルドゥルム(Binali Yildirim)首相は、今回のような事件は「わが国とわが国のサッカーを傷つけるもの」であると主張し、今回の騒動は「無政府状態の混乱と何ら変わりはない」と批判した。
この試合では前半にも騒動が起きて5分間ほど中断されたほか、同29分にはポルトガル代表のスター選手でベシクタシュのDFペペ(Pepe)が悪意のあるタックルで退場処分となるなど、事件発生前からすでに不穏な雰囲気が漂っていた。
トルコサッカー連盟(TFF)は声明を発表し、後半12分に0-0のまま中止されて2戦合計2-2となっている問題の試合に関して、25日に裁定を下すことを明らかにした。報道によると、試合は不戦勝となるか、無観客で再試合が組まれるかの選択肢も含まれているという。
また今回の事件をめぐっては、ギュネシュ監督に物体を投げつけたと思われるファンを含む30人以上が、警察に身柄を拘束されたと伝えられている。(c)AFP/Stuart WILLIAMS