アニメ映画「リズと青い鳥」を鑑賞。
静かにゆっくりと淡々と積み重ねる学園生活を、
繊細な輪郭線で描かれたキャラクターによって描き、
小さな機敏を丹念にすくい上げる柔らかいアニメーション。
アニメーションを壊さないように優しく奏でられる劇伴。
壊れやすいでも極度に洗練された映像がリズと青い鳥にあった。
また絵本「リズと青い鳥」部分のアニメーションは、
できるだけ絵本調の背景に合わせるようにキャラクターが描かれ、
色鉛筆で描かれたような青い鳥のアニメーションは、
「かぐや姫の物語」以降のものという感じ方をした。
さて本作の主題は鎧塚みぞれと傘木希美の関係。
希美に精神的に依存しがちのみぞれ。
みぞれに複雑な感情を抱く希美。
二人はこれまで同じ道を歩みながら、
もう一度これからも同じ道で歩めますか?と問うような話だったように思う。
そんな二人の関係性及びリズと青い鳥の役割を見ながら、
「けいおん!」の平沢唯と真鍋和、
「たまこラブストーリー」のたまことみどりを思い浮かべていた。
「けいおん!」の唯と和の関係。
和の「そうなんだ。じゃあ私生徒会行くね」という言葉に象徴されるように、
和は唯に対する依存度は無いように思える。
(子供の時は和が唯に対して依存があったようではある)
唯も和に引っ張られることもなく、二人は互いの好きな時に集まって
話をして楽しくしている関係である。
リズと青い鳥でいえば、いつでも自由に飛びだって良いと
リズが青い鳥に最初から言っているような自由な関係のように思える。
むしろ、唯への依存心があるように思える梓の関係の方が
リズと青い鳥の比較でいえば有効かもしれない。
次に「たまこラブストーリー」のたまことみどりの関係。
みどりがたまこに片思い的なとても複雑な感情を抱いている。
幼馴染・友人以上、でも恋人ではないみたいな。
一方のたまこはみどりをきっぱり友人・幼馴染として見ている。
みどりがリズで、たまこが青い鳥のように思える。
リズなみどりは青い鳥のたまこに飛びだってほしくないようである。
(この辺りは最初みぞれがリズと青い鳥に抱いていた感情に近い)
結局、たまこが外に飛びだとうとしている(もち蔵との関係が展開する)のを
最初は辛く思いながらも、最後は飛び立つのを後押しする。
「リズと青い鳥」の鎧塚みぞれと傘木希美の関係は、みぞれ自身が言うように
自分がリズと青い鳥の役回りが入れ替わる事を示唆している。
みぞれが希美に依存しているように見えながら、希美もみぞれに引っ張られてる。
それでも二人は変化する状況(進路・吹奏楽部)によって
自分の道はありながらも、二人で寄り添う道がある事を気づいたように思える。
リズと青い鳥の関係ではなかった、唯と和。
みぞれが最初抱いていた感情に近かった、みどりとたまこ。
どちらもリズであり青い鳥だった、みぞれと希美。
「けいおん!」「たまこラブストーリー」「リズと青い鳥」と順に見ていくと
同性への恋愛にも近い感情、
好きなものは閉じ込めていきたい感情とどうやって向き合うのかという問題に
ホップ・ステップ・ジャンプで駆け上がってきたようにも感じてしまった。
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