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「アイヌ文化の復興等を促進するための『民族共生の象徴となる空間』の整備及び管理運営に関する基本方針」の閣議決定を弾劾する

内閣総理大臣・安倍晋三様
内閣官房長官・菅 義偉様
文部科学大臣・下村博文様
北海道知事・高橋はるみ様
旭川アイヌ協議会
原住、アイヌ民族の権利を取り戻すウコ チャランケの会
東大のアイヌ民族遺骨を返還させる会
京大のアイヌ民族遺骨問題の真相を究明 し責任を追及する会
阪大・人骨問題の真相を究明する会
北大人骨問題の真相を究明する会
ピリカ全国実行委員会
【共同連絡先・札幌市白石区栄通10-5-1 フォーレストフヴィレッヂ栄通301号
ピリカモシリ社 電話 011-375-9711】
2014年7月18日
 
「アイヌ文化の復興等を促進 するための『民族共生の象徴となる空間』の
              整備及び管理運営に関する基本方針」の閣議決定を弾劾する 
はじめに
 政府は6月13日、「アイヌ文化の復興等を促進するための『民族共生の象徴となる空間』の整備及び管理運営に関 する基本方針」(以下、「基本方針」)を閣議決定した。アイヌ政策をめぐる重要政策での閣議決定は、1997年のアイヌ文化振興法以 来である。「基本方針」の主な内容は以下の通りである。「施策の中核となる」「象徴空間は、アイヌ文化の復興等に関するナショナルセ ンターとして、・・・北海道白老町に整備する」。「象徴空間の役割」は、「(1)アイヌ文化の復興」「(2)アイヌの人々の遺骨及び その副葬品の慰霊及び管理」である。そのための施設は「国立のアイヌ文化博物館(仮称)及び国立民族共生公園(仮称)」と「遺骨等の 慰霊及び管理のための施設」(「慰霊・研究施設」)で、
「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に合わせて一般公開する」。なお、「遺骨等の集約につい ては、象徴空間の一般公開に先立ち…できる限り早期に行う」としている。私たちは、またもやアイヌ民族の先住権・民族自決権や民族的 諸権利を無視・抹殺したこの閣議決定を断固弾劾する。
 
「民族共生の象徴となる空間」は「虚構 の空間」
 「基本方針」は第6回アイヌ政策推進 会議(座長・管義偉内閣官房長官 6月2日)の報告を受けたものだが、歴史的には「アイヌ政策の あり方に関する有識者懇談会」(以下、「アイヌ有識者懇談会」)の「報告書」(2009年7月)、それを受けた「アイヌ政策推進会議 『民族共生の象徴となる空間』作業部会」(以下、「象徴空間・作業部会」)の「報告書」(2011年6月)の路線に沿ったものであ る。「アイヌ政策有識者懇談会」の「報告書」は、「明治に入ってからは和人が大規模に北海道へと移住し開拓が進展する。その陰で先住 していたアイヌの人々は、文化に深刻な打撃を受ける」と述べていた。これを受けた「象徴空間・作業部会」の「報告書」は、「象徴空 間」をアイヌ政策の「扇の要」と位置づけたうえで「国の政策の結果としてアイヌ文化に深刻な打撃がもたらされた歴史を踏まえて、国が 主体性を持ってこのプロジェクトを立案し実現する」としたのである。
 この立場は、近代天皇制国家によるア イヌモシリ(北海道)侵略・植民地支配が鮭や鹿の捕獲の禁止、強制移住による餓死などアイヌ民族に対するジェノサイド(「集団的虐殺」) であったことを認めない「開拓史観」そのものであり、侵略無責任の歴史観に貫かれたものである。そして、アイヌ民族への「打撃」を文化に のみ切り縮めたうえでアイヌ政策を文化保存・復興に収斂しようとしている。実際、各報告書も「基本方針」も「アイヌの人々」という呼称を 使い、一貫してアイヌ民族を独自の民族として認めていない。したがって「先住民族の権利に関する国連宣言」(2007年)で認められた先住権・民族自決権や民族的諸権利も完全に否定している。このことは、アイヌ民 族は既に日本国民(皇民)に完全に同化しているとする立場であり、アイヌ文化も民族としてのアイデンティティに裏打ちされた民族文化 としてではなく、単なる異文化程度の意味しか付与されていない。
 「アイヌ政策推進会議」の「北海道外 アイヌの生活実態調査」作業部会は「北海道外アイヌの生活実態調査」などを行い、内閣府は「アイヌ政策に関する世論調査」を実施したが、 第6回アイヌ政策推進会議では各政策の進捗状況が報告されただけで具体的なアイヌ政策は何ひとつ示されていない。道外アイヌ民族の長年の 要求である「生活館」建設も認めていない。まさに「民族共生の象徴となる空間」とはアイヌ民族を日本天皇制国家に包摂するための「空間」 でしかありえない。何故なら日本社会においてアイヌ民族は差別と貧困に苦しめられており、和人との「共生」など現実には存在していないか らだ。
 
「慰霊・研究施設」に反対する
 特に問題としなければならないのは、 「象徴空間」に建設されようとしている「遺骨等の慰霊及び管理のための施設」である。第6回アイヌ政策推進会議は「個人が特定されたアイ ヌ遺骨等の返還手続に関するガイドライン」(以下、「ガイドライン」)を発表した。文部科学省によれば全国の12大学が保管しているアイヌ民族遺骨は1636体で、そのうち個人が特定できる遺骨は23体(北大19 体、札幌医科大4体)となっている。これらは、あくまでも各大学が保管状況を報告したものであり「北大医学部アイヌ人骨収蔵経緯に関 する報告書」(2013年3月)を見ても明らかように、とても信用できる代物ではない。北大はアイヌ民族に対してこれまで保管してい る遺骨を1004体としてきたが、「北大医学部アイヌ人骨収蔵経緯に関する報告書」では1500体近い遺骨を保持しているとした。し かもこの数は医学部だけであり、その他の学部は何ら調査もしていない。
 「ガイドライン」では、各大学の「個 人が特定されたアイヌ遺骨及び当該遺骨と一対一で対応する副葬品」を「特定遺骨等」としたうえで、「特定遺骨等を返還する意向がある大学 は、民法及び裁判判例等を考慮し、返還を希望する祭祀承継者に返還するものとする」としている。「特定遺骨等」であっても「祭祀承継者か ら返還請求がなかった場合」や「祭祀承継者を特定できなかった場合」は「象徴空間」に集約するとしている。遺骨の返還について、民法第897条「祭祀に関する権利の承継」を引き合いに出して、「個人が特定された」遺骨に限り「祭祀承継者」 (返還申請者)に返還するとしている。しかし、そもそもアイヌ民族遺骨略奪は、単なる個人の遺骨問題ではなく「純粋アイヌ滅亡論」・ 「アイヌ民族劣等論」に基づく民族差別研究の為に行われた。そのためにアイヌ民族が居住していたコタン(郷里)の共同墓地から遺骨を 盗掘したのだ。墓地破壊・コタン破壊であり、民族総体に対する抹殺行為であった。
天皇を国家の最高の祭主として神々や祖先を祀る(まつる)ことに由来する日 本の「祭祀承継権」を持ち出すこと自体が、アイヌ民族の文化を無視している。それは民族・コタン(郷里)への返還を拒否する口実に過ぎな い。「遺族等への返還の目途が立たないもの」は「象徴空間」へ集約する方針は変わらない。「遺骨等の慰霊及び管理のための施設」とは、 「慰霊」を口実とした人骨研究(DNAなど)施設に他ならない。「象徴空間・作業部会」の「報告書」には、「集約した遺骨については、ア イヌの人々の理解を得つつ、アイヌの歴史を解明するための研究に寄与することを可能とすること」と明記されている。今後は国家的規模でア イヌ差別研究を大々的に行おうとしているのだ。
 政府は遺骨問題を関係大学に任せ、お ざなりでデタラメな遺骨の集約と事実上の返還拒否をもって歴史的なアイヌ民族遺骨略奪の歴史的責任の決着をはかろうとしている。
 
アイヌ民族同化・抹殺の戸籍制度と「血 族・血縁」思想を弾劾する
 さらに「ガイドライン」では、「返還 に向けた事前準備」として「祭祀承継者等の同意に基づくDNA鑑定等による確認の実施」をするとしている。しかも「関係大学に対する返還 申請」する場合は、「自己が祭祀承継者であることを示す書類(家系図、戸籍、除籍謄本等)」の提出を条件にしている。「祭祀承継者である こと」を日本の戸籍制度とそれからたどる「家系図」によって証明せよ、と言うのは許し難いアイヌ民族差別である。そもそも戸籍制度は1871年の戸籍法制定以来、大地略奪や民族名剥奪をもって、アイヌ民族の民族としての存在を否定する同 化・抹殺の一大装置である。しかも戸籍制度は「血統・血縁」思想を制度化し、民族差別などあらゆる差別を再生産する温床となってき た。「アイヌ政策推進会議」は、一貫して「誰がアイヌ民族か?」を議論してきたが、それはアイヌ民族の民族自決権に属する事柄であっ て、日本国家が云々する問題では一切ない。
 「返還」にあたって、かかる戸籍制度 とその「血統・血縁」思想を持ち込むことは、アイヌ民族に対するさらなる抑圧管理であり、断じて許すことはできない。
 もはや「アイヌ政策推進会議」が言う 「遺骨返還」などは、まったくのまやかしでしかない。「特定遺骨等」は1636体中たった23体 であり、しかも「返還」には遺族が自ら「祭祀承継者」であることを証明し、DNA鑑定までしなければならない。盗人猛々しいとはこの ことだ。事実この間アイヌ民族は各大学に遺骨と副葬品返還を求めて申し入れ行動を行ったが、すべての大学が「門前払い」であり一切話 し合いを拒んでいる。
 本来、「慰霊」と「研究」は相矛盾す る。アイヌ民族は、1980年代から北大医学部に対する遺骨返還要求の闘いや、この20年間北大 文学部人骨事件糾弾など闘いぬいてきた。真の「慰霊」とは、真相究明、謝罪と賠償の上で略奪してきたコタン(郷里)の墓地に埋葬する ことでしかありえない。
 私たちは、アイヌ民族の「同化完了」 宣言に等しい「基本方針」の閣議決定を断固として弾劾し、白紙撤回を求める。
                              以   上
 

北大糾弾ニュース・45号  2014年7月16日

集治監と囚人労働
ピリカ全国実・関西 加藤智久  
 
  北大文学部標本庫に杜撰に放置していた6体の人骨の内、現在大乗寺に仮安置されている2体の遺骨の内一体は「日本男子20才」と張り紙があった。その遺骨はおそらく獄死したものだといわれている。実際、北大は網走刑務所などと連携して多くの人骨を収集し研究材料にしている。
 北海道における集治監(刑務所)はかつて自由民権運動で弾圧された政治犯などが多く収容されている。ロシア皇太子ニコライを襲撃した津田三蔵も北海道で獄死している。
 では北海道に送られた囚人はどのように処遇されたか。1885年、伊藤博文がその知恵袋の一人である金子堅太郎を31局時代の北海道に派遣して、北海道植民地化の実情を視察させた。その報告書『北海道三県巡視復命書』がある。金子はそのなかで将来の殖民地開発に関して7項目を提言している。
 そのなかに「道路開鑿(さく)ノ議」という項目がある。殖民と開拓、生産、物流を積極的にするには道路の開削が喫緊に必要だと強調している。まずは札幌・根室間の道路開発である。ではその労働力をどのように確保するか。それは囚人を労働力として使役するというのだ。金子に囚人労働を提案したのが樺戸集治監の典獄 (所長)だった月形潔だ。「(道路開発の)困難な労務に普通の労働者を使うと、一つはその労働に耐えられないこと、もう一つは賃銭(賃金)の割合が非常に高くなる情況にあるため、札幌および根室県にある集治監の囚人を使役することだ。彼らは、もとより暴戻(悪逆非道)な悪徒だから、その苦役に耐えられず斃死しても……囚人が減れば、監獄費支出が困難である今日において、満やむを得ない政策である」。しかも普通の労働者の賃金の半額以下ですむから「これ実に一挙両全の策というべきだ」という。道路開発費用の大幅な削減も期待できると言っている。このように国策として、両足を鉄鎖で縛られた囚人は道路開削や鉄道建設に酷使され、大量の屍を山林原野にさらしたのだ。北大の人権を無視したアイヌ人骨略奪と通底する。
北大はアイヌ民族の遺骨をコタンに返せ!
 
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ピリカ全国実に加入しよう! 糾弾ニュースにカンパをお願いします。
 年会費:5000円 半年:2500円  定期購読年間4回:1600
 会員には会報『ピリカモシリ』、各種案内を送ります
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★北大文学部人骨事件20年糾弾!札幌集会
 7月 25 日(金)午後6時20分〜8時40
 エル・プラザ / 工芸室(JR札幌駅北口)
 基調報告:ピリカ全国実・札幌圏
 講演:三木ひかるさん(史的唯物論研究所)
       「重大局面にあるアイヌ民族遺骨返還問題
            ―民族自決権獲得のために」
 アイヌ民族などから発言
 
★大乗寺イチャルパ
 7月 26日(土)午前10時〜11
 札幌市豊平区平岸
 主催:ピリカ全国実行委員会 
 協力:北大人骨問題の真相を究明する会
 

●会報『ピリカモシリ』67号を発売中!

(内容)1.7.2526、北大文学部人骨事件20年を糾弾する闘いに結集を
    2.5.15沖縄行動報告
    3.5.15沖縄行動参加して
    4.聞き書き 新谷勝也さん(2)
    5.新宿・戸山フィールドワークに参加して
    6.インカルシペ・ヌプリカムイノミを開催
    7.遺骨返還訴訟 傍聴記
    8.『旭川アイヌ語字典を読もう』(16)
    9.本の紹介 瀧口夕美著『民族衣装を着なかったアイヌ』
    10.報道クリップ
        11.事務局日誌
(頒価)300円(送料80円)
(注文は011-375-9711、ピリカモシリ社までFAXで)
 
●『ピリカモシリ』の合本(1号~50号)  5000円(送料400円)
●『ピリカモシリ』の合本(51号~65号)  2600円(送料240円)
●ピリカ全国実・全国集会報告集(95年~2013年) 3000円(送料240円)
●ピリカ全国実・関西集会報告集(93年~2013年) 2400円(送料240円)
各大学のそれぞれの会による遺骨問題の冊子も販売しています。一読を。
・「阪大によるアイヌ民族人骨の略奪を追及する」
・「東大によるアイヌ民族遺骨・副葬品略奪と差別研究を糾弾する」
・「京大はアイヌ民族の遺骨を郷土(コタン)に返せ」
(頒価)300円(送料80円)
(注文は011-375-9711、ピリカモシリ社までFAXで)
 
 
 
 

7.25-26 北大文学部人骨事件20年を糾弾する闘いに結集を!


            ピリカ全国実行委員会        
     011(375)9711 郵便振込口座 02740-4-1679 ピリカモシリ社
 
行動スケジュール
●7月25()午後6時20分~8時40
                         エル・プラザ(JR札幌駅北口)の工芸室 
北大文学部人骨事件20年糾弾!札幌集会
基調報告(札幌圏)/講演・三木ひかるさん(ピリカ全国実、史的唯物論研究所)
    「重大局面にあるアイヌ民族遺骨返還問題-民族自決権獲得のために」
アイヌ民族などから発言// 参加費(資料代)500
●7月26()午前10(厳守)11
      大乗寺イチャルパ(札幌市豊平区平岸)
【主催・ピリカ全国実行委員会  協力・北大人骨問題の真相を究明する会】
 
「民族共生・象徴空間」建設の閣議決定を弾劾する!
「慰霊・研究施設」の建設を阻止せよ!すべての遺骨・副葬品を
     郷里(コタン)に返還せよ!
北大は「医学部調査報告書」を謝罪し撤回せよ!
     生体計測・写真データを破棄せよ!
        山口北大総長、白木沢文学部長は、話し合いを行え!
 
今、アイヌ民族遺骨問題は重大な局面を迎えています。ピリカ全国実行委員会は、北大医学部のアイヌ民族遺骨問題と文学部人骨事件はひとつながりの問題としてとらえ、標記3項目のスローガンを掲げて闘っていきます。私たちは、「北大人骨問題の真相を究明する会」の協力を得て、20年目となる北大文学部人骨事件を糾弾する連続行動を準備しています。アイヌ民族、全国の仲間の皆さんの賛同と参加を訴えます。
 
「民族共生の象徴となる空間」(白老)構想を弾劾しよう
 
  闘いの第一は、安倍政権-アイヌ政策推進会議-北海道知事-北大らを貫いて、「民族共生の象徴となる空間」(白老)の建設決定(613)を弾劾することです。安倍内閣はアイヌ政策推進会議からの報告書を受けて、「民族共生」の「象徴空間」として「国立アイヌ文化博物館」、「民族共生公園」を東京オリンピック開催(2020)にあわせて建設すると決定しました。
さらに「象徴空間」に「慰霊・研究施設」を建設することも北海道知事の要請を受けて2年程前倒しするとしています。この「慰霊・研究施設」は全国の大学・研究機関が略奪し、研究材料としてきたアイヌ民族の遺骨を一括集約し、引き続きミトコンドリアDNA・遺伝子研究などをつづけるものです。これはアイヌ民族が裁判に訴えるなどして遺骨の郷里(コタン)への返還を求めてきたことを完全に無視し、その要求を否定するものです。
  この「民族共生・象徴空間」構想は、アイヌ民族が要求してきた「国連先住民族権利宣言」(2007)に真っ向から敵対しています。「国連権利宣言」は、遺骨や副葬品の返還、言語の復権など社会的文化的な権利はもとより、奪われた土地などの返還、自治権や民族独立の政治的諸権利も認める内容です。日本政府は「国連権利宣言」にもとづき、歴史的なアイヌモシリ侵略・植民地支配、同化政策を反省し、アイヌ民族の諸権利を認めることが求められているのです。
  しかしこの「象徴空間」構想は、アイヌ民族の先住権・民族自決権・集団的諸権利について何ひとつ認めず、〃アイヌ文化振興法〃を少し手直しした代物にすぎません。「文化博物館」、「民族共生公園」と命名しているように、アイヌ民族の諸権利を認めず、日本の政治・経済・社会諸関係における差別をそのままに温存しておいて、文化や自然に限定した「民族共生の空間」をつくるというものです。これは日本政府のアイヌ民族「同化完了」宣言を意味します。同時に「アイヌ民族は滅び、日本()に同化している」という今日の日本の人類学者の視点(思想)の反映です。
 
「北大医学部調査報告書」を批判し、
遺骨・副葬品は郷里(コタン)に、生体測定データなどは破棄させよう
 
  闘いの第二は、これまで進めてきた北大、東大、京大、阪大を糾弾する活動をさらに広げ、「慰霊・研究施設」建設阻止の闘いを全国的につくりだしていくことです。そのためには「北大医学部調査報告書」の全面的な批判の活動を強化し大衆化することです。
  今も北大の文学部、農学部、博物館などにアイヌ民族の遺骨や副葬品を管理しています。にもかかわらず北大はこれら部局を調査対象からあらかじめ除外し、医学部だけに限定しました。しかも遺骨略奪の原本である『野帳(フイールド・ノート)』、『発掘人骨台帳』の「所在は不詳」とぬけぬけと言い放っています。
  また遺骨数を正確に述べていません。しかし北大が文科省に提出した調査表(2012124日現在)によると�個体毎に特定できたもの1027体、�遺骨がバラバラ状態で個体数が特定できなかったもの484()と記しています。かって海馬沢博さんたちアイヌ民族が指摘していた1500体に近い数です。また文科省調査報告には遺骨とともに埋葬品を記載しているのに「北大調査報告書」にはこれらは一切記載していません。
  そのうえ、山崎春雄や児玉作左衛門などの墓地破壊、強奪などを否定し「了解を得ていた」とか「アイヌ民族からも協力があった」などと書いて何の反省もしていません。そして旭川、釧路、門別に遺骨を返還したが、「別個体のアイヌ人骨」であったなどと書いています。これについて北大は未だに謝罪も、遺骨の再返還もしていません。
  さらに人権侵害、民族差別の研究材料として生体計測や写真撮影のデータなども多数保存しています。これらは彼らにとってこれからも「貴重な研究材料」となるからです。
  北大は戦後も医学部を中心に戦前同様の民族生物学的調査を行い、アイヌ民族の古都・日高で共同墓地を含む大地の略奪と破壊を大規模に推進しました。これは今後究明すべき重大問題です。
 
話し合い拒否を続ける北大を許すな
 
  闘いの第三は、北大総長、文学部長の話し合い拒否を弾劾していかなくてはなりません。文学部は「北大文学部人骨事件の真相を究明する会」(現在の共同代表・山本一昭、林炳澤、川村シンリツ エオリパック アイヌ、石井ポンペ、森山軍治郎)との間で「真相の調査と話し合いを続ける」と文書で約束しておきながら8年前から話し合い要求に返事もしてきません。「毎年7月26日に大乗寺でイチャルパ(供養)を行う」という約束も反故にしてきました。幕引きは絶対に阻止しなければなりません。
  他方、北大総長(理事会)は「アイヌ協会本部としか話し合いはしない」などとアイヌ協会を盾にして、私たちピリカ全国実、「北大究明する会」との話し合いを拒否しています。旭川アイヌ協議会からの再三の遺骨返還等に関する話し合いも拒否しています。
  ここまでして北大が話し合いを拒否するのは、「慰霊・研究施設」に遺骨を集約することによって真相究明の責任から逃れ、謝罪と自己批判要求から逃亡し、
さらなる「研究」を継続するためです。この北大の無責任、無反省、居直りを絶対に認めることはできません。
  以上述べてきた3項目の闘いはひとつの事として前進させなくてはなりません。そのためには日本労働者人民自身がアイヌ民族抹殺・差別の歴史観、侵略・
開拓史観の克服が不可欠です。多くの仲間の参加をよびかけます。
2014615
 
 
 

北大糾弾ニュース 44号   2014年5月21日

 アイヌ民族の遺骨はコタン(郷里)へ 
                ピリカ札幌圏・黒田秀之



  政府の アイヌ政策推進会議の作業部会で、遺骨 返還ガイドライン案が委員に示された(5月15 日報道)。その内容は同会議の議事録がホームペー ジにもまだなく不明だが、報道によれば返還の対 象は23体と。2013年の文科省の報告で明らかにされたのは、全国の大学にあるアイヌの遺骨で 「個体ごとに特定されたのは1636体」。そのうち、 骨箱に同封されていた資料などから特定される個 人の遺骨は23体。返 還というのは、それについてのものだ。2010年 に設けられた政策推進会議 は初年度に2回開催 されその後は年に一回づつこれまでに5回開か れている。これまでの開催状況からすると、6回目の今年の会議も秋までには開 かれる のだろうけれど、そこでこのガイドライン案が提示され、具体的な返還が始まるということ のよう だ。1636体のうち北大にあるのは1027体。 個人が特定される23体は北大に19体、札 幌医 大に4体で全て「北海道」にある。この「返還」 が終わ ると、その他の1613体の遺骨と、個体と して 特定することもできない無造作な扱われ方を している515箱の遺 骨とともに「象徴空間」に移 され、以後は「研究材料」とされるのだろうか。  その 「返還」について「謝罪」や「補償」がど のようになされるのか、もちろん目を離すわけに はいか ないが、同時に「返還」の対象とされない「遺 骨」を「象徴空間」に移させてはならない。移すという ことは、「遺骨」を持つ全国12の大学にとって は「厄介払い」でしかない。それぞれの大学は、 遺骨の「研究」ではなく「返還」の途を探り続け ること をしなければならない。それができるまで、 各大学は「コタン」に代わってイチャルパをし、 丁寧に 「預かり」続けるしかない。それが、「学 問のため」にと称し、墓を暴き遺骨を奪取してき たもの の責任の取り方だ。勿論、そのためには話 し合いを求めるアイヌ、返還を求めるアイヌとそれぞれの大学とが直に向きあい話し合わなければ ならない。話し合いを拒否するなどもってのほかだ。こ うして、全国12か所で、イチャルパが実 施されるようになれば、「アイヌ政策のあり方に 関する 有識者懇談会」の報告がその最後で引用し ている違星北斗の「アイヌと云ふ新しくよい概念を内地の人に与えたく思ふ」という思いに応える ことにもなるではないか。

 

北大糾弾ニュース 43号

墓地破壊・遺骨略奪に居直る
      「慰霊・研究施設」の建設を許すな!
      木下 豊 (ピリカ全国実関東グループ)


 1900年代初頭からほとんどの大学は、日本帝国主義の侵略政策を正当化する学問に傾倒し、「優生」思想をはじめとするファシズム学 問を推進 してきた。とりわけ、日本帝国主義の侵略政策の軸を成してきた「植民政策」や「北方諸民族抹殺政策」の研究のために旧帝大をはじめとする多く の大学はアイ ヌ民族の墓地を破壊し遺体・遺骨や副葬品の略奪をしてきた。
 北大・阪大・京大・東大などに対する遺骨・副葬品のコタンへの返還を求める取り組み が推し進められているが、日本政府-アイヌ政策推進会議は、アイヌ民族の「コタンに返せ」という当然の要求を無視し、アイヌ民族の遺骨・副葬 品を盗掘して きた事実を隠蔽し居直り、全国の大学が隠し持っているアイヌ民族の遺骨などを「研究材料」と し続けるための「慰霊・研究施設」を北海道白老町に建設しようとしている。
 私は、以前この「北大糾弾ニュース」に、1935年に栃木刑務支所で 獄死をした共産党員であった伯母のことを書いたが、今回あらためて残された資料を読みかえしてみた。当時、栃木刑務支所に収監されていた党員 から、伯母は 非転向であったため一切まともな治療も受けられずに、独居房で死亡したことが明らかにされていた。
 伯母は、1935年12月18日(24歳の誕 生日の翌日)の朝5時に死亡したのだが、栃木刑務支所はその2週間前の12月5日には「死体引取方ノ件照会」「右之者重症ニ陥リ治療中ナルモ 万一死亡ノ際 ハ遺骨送付方依頼・・・死亡セシ場合ハ学術研究ノ為千葉医科大学ヘ送付スルモ異存無之候哉」と父親に通知した 。翌年4月には千葉医科大学庶務課から「遺体ハ学術研究ノ為客年12月栃木刑務支所ヨリ御回送相成候、研究ノ為メニハ相当長期間ヲ要シ候ニ付 本年11月末 日迄ニハ研究ヲ終ハリ火葬ヲ営ミ御遺骨送付可致候」と通知してきた。
 伯母の遺体がどのように扱われたか一切明らかではない。脳や臓器が標本にされ残されているかもしれない。日本帝国主義打倒をめざして闘いぬ いた伯母の遺体が、侵略思想を正当化する学問に傾倒していった大学の研究に利用されたと思うと怒りがこみ上げてくる。
 アイヌ民族の遺骨などを「研究材料」とし続けるための「慰霊・研究施設」の建設を絶対に許さず、全国の大学が隠し持っているアイヌ民族の遺 骨・副葬品のコタンへの返還を求める闘いを共に進めて行きた い。
 

●会報『ピリカモシリ』66号を発売中!

(内容)1.連載、日本とサハリン・クリル諸島(41)
    2.ピリカ全国実・第19回総会報告
    3.第20回札幌全国集会に参加しての感想
    4.東京、大阪、沖縄での「北方領土の日」反対集会の報告
    5.聞き書き 新谷勝也さん
    6.旭川アイヌ協議会の北大への申し入れ
    7.北大医学部報告書批判(2)
    8.『旭川アイヌ語辞典を読もう』(15)
    9.本の紹介 貝澤正著『アイヌ わが人生』
   10.報道クリップ
   11.事務局日誌

(定価)300円(送料80円)
(注文は011-375-9711、ピリカモシリ社までFAXで)

●『ピリカモシリ』の合本(1~50号) 5000円(送料400円)
●『ピリカモシリ』の合本(51~65号) 2600円(送料240円)
●ピリカ全国実・全国集会報告集(95年~2013年)3000円(送料240円)
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北大糾弾ニュース 42号    2014 年 2月10日

 
旭川アイヌ協議会が北大に話し合いを申し入れ
               白 川ただし(北大人骨問題の真相を究明する会)
 
 2月1日、川村シンリツエオリ パック アイヌさんが会長を務める旭川アイヌ協議会は北大(総長・山口佳三、医学部 長・笠原正典、総務企画部部長)に対して話し合いを行うよう文書で申し入れた。回答期 限は2月15日としているので、北大が話し合いに応じるかどうかは現在は不明である。
 協議会が固い決意をもって話し合 いを求める目的は、以下に紹介する6点の要求項目が端的に示している。
�北大は、旭川、釧路、門別のアイ ヌ民族にたいして、返還すべき遺骨を返還していなかったことなどを謝罪し、何ゆえにそのようなニセの返還を行ったのか、その真相を明らかにす ること。
�北大は、返還されていなかった2 体の遺骨を旭川の共同墓地にただちに返還すること。
�北大は謝罪のうえ、人権侵害の身 体測定の記録、および写真とフィルムをアイヌ民族に閲覧し、すべての記録を返還すること。
�北海道大学はズサン、デタラメな 『北大医学部アイヌ人骨収蔵経緯に関する調査報告書』を撤回し、謝罪すること。
�北大は謝罪と賠償のうえ、遺骨と 副葬品を郷土(コタン)に返還 すること。
�政府(文部科学省)-アイヌ政策推進会議- 北大は、全国の大学からアイヌ民族の遺骨を白老に集中させる「慰霊・研究施設」の建設計画を直ちに中止すること。
 この要求項目はアイヌ民族全体の 意志でもあるが、協議会独自の事として昨年7月27日に『北大調査報告書』を検討する 機会を設け、この『調査報告書』に「医学部収蔵アイヌ人骨の照合調査(2010年~2012年度)で、古人骨中に、返還し たはずの『旭川1』(頭蓋)、 『旭川2』(頭蓋・四肢骨)… が存在していることが判明した」と記載されていることを知り、85年の遺骨返還はニセ の返還であったことへの怒りがあると述べている。さらに『殉郷殿』(アイヌ民族共同墓 地)に 安置されている5体の遺骨の内「旭川2」は頭骨ではなく「小骨」であり、「返還された5体は火葬にして…納骨した。」と書かれているが、火葬 などしていな かった。ニセの返還を行い、デタラメな『北大調査報告書』を発表したことがアイヌ民族を侮辱しているとして話し合いを要求した経緯だと述べて いる。
 なおこの話し 合いには、川村さん自身が共同代表であり、旭川アイヌ協議会の活動を長年に渡って協力し合っている「北大人骨問題の真相を究明する会」が同席 することも要求している。
 

北大糾弾ニュース 2013 年 11月11日 40号

         東京大学のアイヌ遺骨・副葬品の返還を求める申し入れ行動を行なう
                             ピリカ全国実・関東グループ(大盛 力)
 
 10月18日午後、川村シンリツ・エオリパック・アイヌさんと宇梶静江さん(首都圏在住)の2人のアイヌ民族と共に、「東大のアイヌ民族遺骨を返還させる会」(以下、「東大・返還させる会」)の仲間達が、東大に対するチャランケ(話し合い)を求めて本郷キャンパスに結集した。
 東京大学当局(総合企画室総務課)は、事前の申入れに対して、アイヌ民族遺骨は「適切に保管している」等と理由にならない理由で、話し合いを拒否してきた。本部棟の正面玄関には警備員と職員が立ちふさがり、一切私たちの質問に応え無いばかりか、パトカー2台と10数人の制服警官が駆けつけ申入れ行動を監視・威圧してきた(写真・裏面)。私たちは、「遺骨と副葬品をアイヌ民族に返還せよ」とシュプレヒコールを叩きつけ、東大赤門前で情宣活動を行ない、夕方からの「東大のアイヌ民族遺骨を返還させよう10/18集会」(共同主催・「東大・返還させる会」/ピリカ全国実・関東グループ)に合流した。
  「10/18集会」は、主催者あいさつとして以下、述べられた。
〈東京大学は、「慰霊・研究施設」建設のために文部科学省が調査した「回答」(「調査票)で、「個体ごとに特定できたもの」の合計198体、「個体が特定できなかったもの」合計6体と記載している。そのほとんどを採集したのが小金井良精医学部教授である(「個体」182体、「特定できないもの」6体)。小金井は、1888〜1889年にかけて北海道や北方諸島でアイヌ民族の墓を暴き頭骨や副葬品を略奪した。彼はアイヌ民族を「無気力の人種」「頽廃人種」と決めつけ、「何れ〔いずれ〕滅亡するであろう」などと「滅びゆく民族論」を唱えた。これこそ「優勝劣敗」の社会ダーウィニズム(社会進化論)である。
 また東大は、アイヌ民族の血液を「二度と再び採血できぬ貴重なもの」と自慢し、保管している(「東京大学学内標本資料の概要」1976年発行)。
 東大は、創立以来、一貫して全国の大学の頂点として君臨し指導・領導してきた。国家政策のためのアイヌ差別研究も同様である。私たちは今日の闘いを第一歩として、アイヌ民族の遺骨と副葬品の返還をかちとるために東大に対する闘いをひろげげよう。〉
 川村さんは、北海道大学医学部が、今年3月に発表した「報告書」について、怒りを込めて弾劾した。1985年、北大から川村さんたち旭川に5体が「返還」された。しかし「報告書」は、現在も北大には「返還済み」と同じ地域と識別番号が記載している遺骨2体(全体では釧路2体、門別1の合計5体)が存在しているというズサンきわまりないものだ。川村さんは、北大、東大、京大、阪大に対する闘いを強化して、2018年に完成予定の「慰霊・研究施設」建設に反対しようと提起した。宇梶さんは、「遺骨は、大地に返すべきだ」と訴えた。集会は、今後の闘いにむけ質疑討論を行ない終了した。 
 
 

北大糾弾ニュース 2014年 1月10日 41号

                    各大学の姿勢に現れる研究至上主義
                                          木村 敬(ピリカ全国実・関西)
 「慰霊・研究施設」の計画が具体化されていくにあたり、このままでは、日本は世界の潮流とは逆の方向へ向かおうとしていることに危惧を覚えずにはいられない。
 先住民族の運動の高まりの中で成立した国連の先住民族権利宣言は、先住民族から奪ってきた遺骨返還につながっている。2011年3月にはロンドン自然史博物館から、オーストラリアのアボリジニの遺骨(ちなみに集めたのは、英国海軍や宣教師である)138柱を返還するにいたり、最近でも2013年8月には145人のハワイ先住民族の祖先の遺骨が故郷の島に返る等、多くの成果につながっている。(なお、川村さんが、ロンドン自然史博物館にアイヌ民族の遺骨返還を求めた旨、話されていたことも忘れてはならない)
 それどころか1990年に、アメリカでは、『アメリカ先住民墓地保護・返還法』が定められ、当該「部族」や遺族に返還するように義務付けられている。
 一方で日本では、調査したが分からない場合、「慰霊・研究施設」に入り、「研究」し続けられると言うのだ。これでは、泥棒に「盗んだ品物を責任を持って返しなさい。無理なら自分の懐に入れて良いですよ」というようなものだ。実際、その調査のずさんさは次々に明らかになっている。それどころか、最初から「移管」ありきで、調査すらしていない大学もあるようである。
 しかm、こういった潮流を作り上げている中に、人権を売りにしている学者がまぎれている。彼らは、世界のこのような事実を知らないはずがない。自分たちの人権感覚を問われた時に、まったく耳を傾けることなく、黙して語らず、時には批判する人を容赦なく攻撃してくる。私はアイヌ民族を侵略した恩恵を受けてきた者として、恥ずかしく思うが、彼らにはそのような自尊心すらないのだろうか?
 結局は、学問の正当性などではなく、自らの地位に執着しているようにしか見えない。このようなものにみかけの正当性を持たせているのが、日本の学問体系である。このようなものが、世界で通じる学問になりえるはずがない。

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