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好調の仙台は過去2シーズンと何が違う?
仕込みが功を奏し、開幕ダッシュに成功

指揮官が選手に呼びかける「三原則」

J1第8節を終えて、4勝3分け1敗の2位と好スタートを切った仙台
J1第8節を終えて、4勝3分け1敗の2位と好スタートを切った仙台【(C)J.LEAGUE】

 2018シーズンのJ1リーグ第8節を終えて、4勝3分け1敗の2位。ベガルタ仙台は、好スタートを切った。2年連続で12位に終わったチームは、今季こそ目標である“トップ5”を達成できるか。


 14年4月からチームを率いる渡邉晋監督は「あまり去年との比較はしたくない」(J1第8節・川崎フロンターレ戦後の会見)と話すが、去年との比較をしてみると、成長を見せている部分がそこかしこに見られる。そしてその成長は、別に突然変異や急激な化学反応が起こったわけではなく、長期的な取り組みで培ってきたものがあったからこそだ。


 まず、現在の仙台の特徴を語るときには、そのシステムに目がいく方も多いだろう。昨季から採用している3−4−2−1を基本フォーメーションとして、ボールを保持しているときは長短の効果的なパス交換を行い、相手のボール保持時には高い位置での即時奪回と、その次善策として守備ブロックの構築を行う。


 それぞれを実行する場合、スコアや時間帯、相手の動き方といった試合の状況に合わせて複数人の選手が適切なスペースに走り込み、攻守共に連係が可能となる多角形を形成する。渡邉監督は「いい“立ち位置”を取る」という言葉で、選手たちに日頃のトレーニングにおいて、その多角形の作り方とその後にすべきことを落とし込んでいる。


 もちろん、その戦術を実践するには個々の選手がそれを食い止めようとする相手との1対1に勝たなければならないし、攻守が入れ替わり刻々と変化する状況に対応する必要もある。組織力だけでなく、個の単位でも「走力」「球際(での強さ)」「切り替え(の速さ)」で相手を上回る、という三原則を指揮官は選手に呼び掛けている。

システムの“仕込み”と改良を続けた昨シーズン

渡邉監督は17シーズンに向けて、システムの“仕込み”と改良に取り組んだ
渡邉監督は17シーズンに向けて、システムの“仕込み”と改良に取り組んだ【(C)J.LEAGUE】

 実は16シーズンまで採用していた4−4−2のフォーメーション下でも、これらの原則は同じだった。16シーズンのリーグ戦終了後、仙台はチャンピオンシップとは無関係だったために、11月4日から翌シーズンの開幕まで、公式戦がない大きな空白期間があった。


 そこで渡邉監督は来たる17シーズンに向けて“仕込み”をする中で、より自分たちの持ち味を出したり、相手に対応しやすくなるシステムを模索した。4−4−2から試合中に変化する形の中で、3−4−2−1に変化する時間が長かったことなどを考慮し、普段から研究している欧州のさまざまなチームのやり方にもヒントを得て、3−4−2−1の本格採用を決めた。


 16年12月には、ドイツとイングランドに渡り、チェルシーやドルトムントなど多くの欧州クラブを視察。当時、似たようなシステムを採用していたクラブからは仙台に合いそうな要素を学び、翌年のキャンプからそれらを加えて“仙台式”を練り上げるべく、練習でチームに落とし込んだ。


 17シーズンまでの間には、このような地道な“仕込み”と、それを発展させるための改良があった。そして昨季の仙台は3−4−2−1を基本フォーメーションとし、攻守に流動性の高い戦い方を実践。序盤戦は連係不備に起因する大敗を喫するなど不安定だったが、徐々に内容が改善されるようになった。攻撃は円滑になり、守備もシーズン途中に高い位置での即時奪回を図る選手と後方で構える選手のバランスが整備され、大崩れはしなくなった。

昨シーズンはルヴァン杯ではクラブ史上初のベスト4という結果を出したものの、リーグ戦では結果を出せず
昨シーズンはルヴァン杯ではクラブ史上初のベスト4という結果を出したものの、リーグ戦では結果を出せず【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 細かいパスワークで相手を動かし、フリーになったウイングバックにチャンスメークを託す。クロスが上がったときには、それまでパスワークで相手を崩していた選手たちが、それに合わせるポジションやこぼれ球を拾うポジション、そして後ろのカウンターに対処するポジションと、分担された配置を取る。これは一例にすぎず、サイドが抑えられたとなれば、中央と大外の間でシャドーの選手が空くし、相手がそのシャドーも抑えようとして開き気味になれば、1トップやその後ろのボランチが中央で多重攻撃を仕掛ける。


 攻撃の選択肢は増え、ボールを奪われても守備網を作れるようなポジションを取る選手が後ろに準備することも早くなった。「相手が外を警戒したら中、次は中と見せかけて外とか、そういう使い分けができるようになってきた」と梁勇基が話すように、選手たちも手応えをつかんでいた。梁は04年以来チームを支え続けるベテランだが、彼であっても先発をつかむことが難しくなるほど、チーム内の競争も激化。戦い方が形になるにつれ、戦力で仙台を大きく上回るチームに対しても、互角以上に渡り合えるようになった。


 それでもまだこの時点では、結果がついてこないことも少なくなかった。YBCルヴァンカップでは若手も戦術を実践して、クラブ史上初のベスト4という結果を出したものの、リーグ戦では前年と変わらず12位。自分たちが主導権を握っているときの戦い方に幅は増えたものの、相手への対応という点では柔軟性が足りなかったことなど、勝負を制する上では、まだまだ甘さがあった。基本的な戦い方のベースは引き続き固めながら、結果を手にするためのアップデートを施す必要があった。

板垣晴朗
1974年1月8日生まれ。仙台を中心に、全国各地のスタジアムと喫茶店を回るJリーグ登録フリーランスライター。なでしこリーグやJFLなどのカテゴリーも取材する。大学院時代の研究テーマとのつながりから、ドイツ・ブンデスリーガ取材にも赴く。仙台のマスコット・ベガッ太さんと『いたずらっ子 ベガッ太参上』(実業之日本社)を執筆するなど、フットボール関連の書籍執筆・構成にも関わる。

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