2018年4月20日 19:30
「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」の続編となる新作「機動戦士ガンダム NT(ナラティブ)」が2018年11月に劇場公開される。UCのストーリーを担当した福井晴敏が、自ら脚本を手がける宇宙世紀サーガの最新作となる。
1979年にTV放送が開始され、来年で40周年を迎える「機動戦士ガンダム」。同作品から続く世界観“宇宙世紀”に紐づく物語であり、Blu-ray & DVDの累計出荷数180万枚(全7巻)を突破したヒットシリーズ「機動戦士ガンダムUC」。その続編となる劇場用アニメが「機動戦士ガンダム NT」。制作はサンライズの第1スタジオが担当する。
アムロとシャアの戦いから始まり「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」、「機動戦士ガンダムUC」へと連なる宇宙世紀サーガ。今後、そこからさらに新たな宇宙世紀100年の歴史を描く新作タイトルが「UC NexT 0100」シリーズとして展開されていく。
これは、“宇宙世紀”をアニメからだけではなく、ゲームやコミック・小説などのマルチメディアプラットフォームなどからも発信し、新領域まで開拓・拡大するプロジェクトになるという。「機動戦士ガンダム NT」は、その先駆けと位置付けられている。
「機動戦士ガンダム NT」あらすじ
U.C.0097。『ラプラスの箱』が開かれて一年。
ニュータイプの存在とその権利に言及した『宇宙世紀憲章』の存在が明かされても、世界の枠組みが大きく変化することはなかった。
のちに『ラプラス事変』と呼ばれる争乱は、ネオ・ジオン残党軍『袖付き』の瓦解で終結したかに見えた。
その最後の戦闘で、2機のフル・サイコフレーム仕様のモビルスーツが、人知を超えた力を示す。
白き一角獣と黒き獅子、2機の脅威は、封印されることで人々の意識から遠ざけられ、忘れ去られるはずだった……。
しかし、2年前に消息不明となっていたRX-0 ユニコーンガンダム3号機が、地球圏に再びその姿を見せ始めた。
金色の“不死鳥”……その名は、フェネクス。
監督は吉沢俊一氏。脚本は福井晴敏氏。メインキャラクター原案は高橋久美子氏。キャラクターデザインは金世俊氏。メカニカルデザインはカトキハジメ氏、小松英司氏。音楽は澤野弘之氏が担当する。
キャラクターと登場するモビルスーツ
ヨナ・バシュタは25歳。地球連邦宇宙軍所属。階級は少尉。『不死鳥狩り』作戦の増援として送り込まれたナラティブガンダムのパイロット。ミシェルとリタの幼なじみ。少年期にオーストラリアで被災した過去を持つ。
ミシェル・ルオ。25歳。ルオ商会特別顧問。略筮法での占いに長け、政財界から絶大な信頼を得る。『不死鳥狩り』作戦を展開するクラップ級宇宙巡洋艦ダマスカスに、増援のナラティブガンダムを伴って乗り込んでくる。
リタ・ベルナル。25歳。地球連邦宇宙軍所属。階級は少尉。消息不明となったユニコーンガンダム3号機 フェネクスのパイロット。少女期にオーストラリアで被災し、奇蹟の子供達と呼ばれた過去を持つ。
ナラティブガンダムは、主人公ヨナ・バシュタが搭乗するアナハイム・エレクトロニクス社製MS。RX-93 νガンダムの試験機として開発され、各部の形状がνガンダムと同様のパーツ構成となっている。試験機としてデータ取得が主な目的だった為、機体各所に装甲が装着されておらず、フレーム構造がむき出しになっている。素体自体に、武装は頭部バルカンのみで、『不死鳥狩り』作戦にはルオ商会の力を借り、複数の武装を換装して運用する。
シナンジュ・スタインは、『UC計画』においてサイコフレームの強度・追従性のテスト機として開発された試作MS。開発コードはスタイン01。U.C.0094、地球連邦宇宙軍所属のクラップ級巡洋艦ウンカイで輸送中に強奪されたとされている。
ユニコーンガンダム3号機フェネクス。試験用に先行納入されたフル・サイコフレームの素体をもとに、白い1号機と黒い2号機の建造データを反映して組み上げた金色のユニコーンガンダム3号機。U.C.0095、暴走事故を起こし、行方不明となっている。
今後、「ガンダムNT」劇場公開に合わせ、ガンプラも発売される。2018年6月に、「HGUC 1/144 ユニコーンガンダム3号機フェネクス(デストロイモード)(ナラティブVer.)」の発売が決定。以降も続々商品展開予定だという。
20日に開催された発表会には、ガンダムUCのストーリーを担当する作家の福井晴敏氏、サンライズの宮河恭夫社長、ガンダムシリーズの小形尚弘プロデューサーが登壇。さらに、スペシャルゲストとして、ガンダムシリーズの世界観にはまり続ける“ガンダム好き芸人”よゐこの濱口優氏、「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」アル役など、多くのガンダム作品に出演している声優・浪川大輔氏も登場した。
サンライズの宮河恭夫社長は、今後のガンダム作品において、ゲームとの密接な連動展開を実施していく事を説明。「ゲームを最初の発信作品としたり、公式サイドストーリーを展開するといった事もある。ゲームからスタートし、キャラクターをサンライズが制作し、その後映像作品に発展させるような展開もあり、バンダイナムコエンターテインメントとより強力なタッグを組んでやっていきたい。今回のナラティブはもちろんのこと、これまでの作品とも連動していく」とした。
福井氏は新作について、「ガンダムNTのNTには、ニュータイプという意味と、ナレーション、語る、編纂する、編集するというような意味合いがある。宇宙世紀で語られてきた、ユニコーンでもクローズアップされたこのニュータイプ神話に対して、句読点をガンと打たれる作品として、作れたらいいなと思っている」とコメント。
登場するガンダムについては「素体としてのガンダムは少し頼りなく見えるかもしれないけれど、今回のテーマは“着せ替えガンダム”」と語り、素体が様々な装備を纏っていくコンセプトを語った。
なお、「ユニコーンガンダム3号機フェネクス」については、福井氏による小説などにも登場するが、「あれは0096のユニコーンの物語と同時進行の話。今回はその翌年で、共有する部分もあるが、まったく別の物語」になるという。
さらに、小形プロデューサー、福井氏、濱口優氏、浪川氏によるトークセッション実施。ユニコーンの副音声で、ガンダムトークに花を咲かせたメンバーだけあり、息の合ったトークで場内を沸かせた。
小形プロデューサーは、「サンライズが責任を持って、今後も宇宙世紀のガンダムを沢山作っていきます。私が生きているうちに全部終わるかわかりませんが、皆さんに提供できるようがんばります。そして、それらは皆さんの応援があっての事なので、これからもよろしくおねがいします」とコメント。
福井氏も「ナラティブを皮切りに、宇宙世紀ものを作っていくとのことですので、あれも? これも? と気を持たせる話になっていくと思います」と語る。
「呼んでもらえたので、てっきりナラティブに出させてもらえると思っていた」と笑う浪川氏は、残念ながら今回のナラティブには出演しないとのこと。しかし、「応援隊にまわり、盛り上げていきたい」と語る。
濱口氏は、「ユニコーンの副音声の最後に、“これでニュータイプの話に終止符が打たれ、終わりが見えてきましたね”という事を言ったのですが、その時に“いや、まだ話は続いていくんだよ”と言われました。それが今現実となってきたので、ワクワクしかないですね。はやく作品が見たいです」と期待を語った。