1本で酔える!「高アルコール飲料」の吸引力

サントリー「ストロングゼロ」誕生の舞台裏

都内のコンビニに並ぶ「ストロングゼロ」。果実味を売りにするものから「甘くない」をうたうものまでさまざまな種類がそろう(編集部撮影)

アルコール度数の高い「高アルコール飲料」が最近のアルコール市場のトレンドの1つだ。

ビール類は2018年4月からビールの定義改正を背景に、各社が新商品を発売。2017年7月にサントリーが発売したアルコール7%の新ジャンル飲料「頂」をはじめ、アサヒやキリンビールなども、「グランマイルド」(アサヒ)、「のどごしストロング」(キリン)などが市場に並ぶ。なお、サントリーの「頂」は度数を8%にアップして2月22日にリニューアル発売後、2月末には出荷数1億本を超えた。

「安く酔える」「コスパがよい」

このところの高アルコールトレンドの一因として、2017年の酒税法改正に端を発する、アルコールの値上がりが挙げられている。「安く酔える」「コスパがよい」として高アルコールの飲料に人気が高まっている、という見方がされているのだ。

そしてチューハイ・カクテル類というジャンルにおいて、高アルコールトレンドを先導してきたのが、実はサントリーの「-(マイナス)196℃ストロングゼロ」(以下、ストロングゼロ)。2009年発売というロングセラーで、「発売時から10年目を迎えたが、販売数が毎年伸び続けている」(同社広報)商品なだけに、高アルコールチューハイの代表格と見られている節もある。SNSで一時流行した虚無的・退廃的な「ストロングゼロ文学」などと相まって、「高アルコール」という面が強調され騒がれたのもそのためだろう。

ただ、かくも消費者の嗜好も商品も多様化している今、「アルコール度数が高くて安い」という理由だけでは、1つの商品が売れ続けることはあるまい。「ストロングゼロ」が売れる理由はどこにあるのだろうか。

1つの答えとして、まずは“一定のイメージが定着している”ことがある。アルコール度数が高いことに加え、甘みを抑えているので、料理との相性がよいという点だ。「ストロング」「ゼロ」というキーワードもわかりやすい。サントリーでストロングゼロを含む-196℃シリーズを担当するRTD部課長の井島隆信氏は「変えずに訴求し続けてきたのが、『食事に合う』というイメージです」と語る。

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  • NO NAME516643e33ed9
    >『ビール以外は料理に合わない』というイメージはまだまだ根強いと考えています。
    ってことを初めて知りました。私は料理には日本酒やワインの方が合うと思ってました。むしろ、ビールはお腹も膨れるし濃い味の料理にしか合わないので敬遠してます。お酒の嗜み方ってのは人それぞれなんですね。
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    2018/4/20 16:08
  • NO NAMEb9774511b776
    居酒屋メニューとしては、あまり強すぎると売上が下がりますね。。
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    2018/4/20 16:42
  • 山田a73491923cac
    これ、500ccとか350ccを2本飲むところが1本で済むので、夜中にトイレに起きなくて良い!ということが、中高年に何よりも嬉しいです。
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    2018/4/20 15:55
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