朝日新聞デジタルに、高齢者の貧困ケースが出ていましたが読んでいて首をかしげました。
「毎月やりくりしても赤字が出ちゃう…」
埼玉県の女性(77)が、通帳とにらめっこしながらため息をついた。10年前には100万円以上あった貯金は、すでに10万円を切っている。40代で会社員の夫と別れ、子連れで住み込みの寮母などをして息子2人を育てた。清掃員をしていた70歳のとき、高齢を理由に仕事を辞めさせられた。その後は探しても職がなく、年金頼みの暮らしになった。
女性は厚生年金の加入期間もあり、もらえる年金は1カ月で9万円ほど。うち半分は、一人で住むアパートの家賃にあてる。電話代や光熱費などで計1万円強。食費を切りつめても、長年かけてためたお金が目減りしていく。息子たちが月2万円ずつ援助してくれると言うが、もらえない月もある。それぞれの生活で大変なことを思うと、催促はできない。
年金収入だけでは、生活保護の基準を下回っている。だが、「保護の申請は気持ちの踏ん切りがつかない」と言う。
「生活保護は本来、障害や病気に悩む人のための制度だと思う。昔から健康に働き、子どもを育ててきたプライドがある。なんとかやり繰りしなければ」
できる限りの節約が続く。テレビは、地上デジタル放送への対応機が必要になったとき見るのをやめた。新聞購読もやめ、近くに住む妹からもらって数日分を読む。老眼鏡のレンズの度が合わなくなったが、がまんしている。2013年秋から、過去の物価下落時に据え置いた分の年金の減額が行われた。「もうこれ以上、どうすればいいの」。女性は、減額分の給付を求める集団訴訟に原告の1人として加わっている。
“もらえる年金は月9万円、その半額を家賃にあてる”という個所が引っかかりました。もらえる年金が9万円なら、その30%以内に家賃を圧縮しなければまずいです。
27000円以下で借りることができる単身者アパートも埼玉県内に探せばあると思うのですが、高齢になると引っ越しが大変なのでしょうか?確かに引っ越しをすると一時的にかなり費用もかかるし、手伝いの人手もいるし、認知症の初期症状がある高齢者だと引っ越すことで症状が重くなることもありえます。
しかしこの朝日デジタルの貧困老女ケースの場合は、典型的な家賃起因貧困であり、家賃を圧縮しないと問題は死ぬまで続くでしょう。
病床で今にも死にそうな体調というのならともかく、原告になってやろうかというくらい元気があるのなら、その前に公営住宅への引っ越しを真剣に考えたほうが生活は豊かになるような…。「老後の年金が9万円の単身老女」はめったにいないから、可処分所得的にはこのおばあさんは“勝ち組”と言えなくもありません。
それはともかく、50代になれば自分の年金額はざっくり把握できそうですから、なるべく可処分所得の30%以下で借りられる住居を見つけましょう。
朝日新聞の記者(朝日の正社員は平均年収1200万円以上)も取材している時間があるのなら、ネットで調べてもっと安いアパートを見つけてあげて、引っ越しまで手伝えばいいんですよ。