梅毒とは
1940年代に特効薬であるペニシリンが開発されてから減り続け、日本ではまれな病気となりました。
しかし、全世界では桁違いに流行しており、日本でもここ5年で6倍増と流行しています。
感染しても痛くないのが特徴です。また感染から1ヵ月は検査にも引っかからないので性風俗産業などから感染が拡がりやすい性病です。
進行すると死にいたる病気ですが、現在では早期治療すれば治すことができます。早期発見、早期治療を心がけましょう。
梅毒の感染ルートと潜伏期間
感染者との性行為(男性同士を含む)、オーラルセックスが主な感染ルートであり、梅毒は感染力が非常に強いので、キスでも感染します。感染者との1度の接触で感染する確率が高い性病です。
目に見えない小さなキズからも感染するので、コンドームで防ぐのも困難です。
潜伏期間 3~4週間
梅毒には潜伏期間があり、感染から3~4週間は症状が出ません。また、この期間は検査をしても陰性です。
どんな人がなりやすい?
1回の性行為やオーラルセックスで感染する確率が高いので、誰にでも起こりうる性病といえます。
また、HIVと重複感染していることも多いので、併せて検査することをおすすめします。
どんな症状が出るの?
梅毒の症状は4つの段階で進んでいきます
第1期 感染後3週間~3ヵ月
梅毒の菌が侵入した部位(男性器、口、口の中、足の付け根)に硬いしこりができます。しこりに痛みはなく、すぐに消えます。
また、足の付け根の部分のリンパ節が腫れます。4~6週間を超えると梅毒検査で陽性反応が出るようになります。
第2期 感染後3ヵ月~3年
全身のリンパ節が腫れる他に、発熱、ダルさ、関節痛などの症状が出ます。
バラ疹と呼ばれる特徴的な全身性発疹が現れることがあり、赤い目立つ発疹が手足の裏から全身に広がり、顔面にも現れます。
特に手掌、足底に小さい紅斑が多発します。
治療しなくても1ヵ月で消失しますが、抗生物質で治療しない限り梅毒菌は体内に残っています。
第3期 感染後3~10年
皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)が発生します。神経も侵され始めるので、思考力が落ちます。
第4期 感染後10年以降
多くの臓器に腫瘍が発生します。脳、脊髄、神経を侵されて正常な思考ができなくなり、痴呆になります。身体も麻痺して動けなくなり、死に至る危険性もあります。
放っておくとどうなる?
感染して10年以上経つと、多くの臓器に腫瘍ができるなど、重篤な状態が現われます。
どうすれば治る?
梅毒は、早期に見つけて適切な抗生物質を2~12週間飲めば治療できます。
まずは検査から
受付
問診表のご記入(匿名で記入いただいて大丈夫です)をお願いいたします。
問診
医師法20条により、医師による問診を行います。
その上で、ご本人のご希望を確認の上、適正なSTD検査(性病検査)をご提案します。
検査
採血による検査を行います。検査に使う注射器、注射針、アルコール綿、絆創膏、手袋は毎回新しいものを使い、衛生管理を徹底しています。
以前梅毒にかかったことがある方と即日検査で陽性反応が出た方には精密検査を受けていただきます。
なお、即日検査で陽性反応が出た方には無料で精密検査を行っております。
結果報告
今まで梅毒にかかったことが無い方は即日検査を行うことが出来ます。
精密検査の結果については後日お電話などで確認できます。書面が必要な方は、検査結果をお渡しいたします。
※即日検査を受けて陽性だった方の精密検査費用はかかりません。但し、治療開始後の精密検査は別途費用が発生します。
検査と治療の料金
梅毒の検査料金(自由診療)
当クリニックでは、問診料や再診料は頂いておりません。
患者様のご負担は、検査料金とお薬代のみです。
「TP法」と「RPR法」による梅毒検査
疑われる行為から1ヶ月以上2ヶ月未満の方向け
検査結果 約15分後と検査の翌日
料金 8,000円(税別)
診察料 0円
「TP法」による梅毒検査
疑われる行為から2ヵ月以上経っている方向け
検査結果 約15分後
料金 8,000円(税別)
診察料 0円
感染していた場合、「RPR法」による検査を行ないます。料金は「TP法」とセットです。
結果報告は検査の翌日になります。
なお、即日検査で陽性反応が出た方には、無料で精密検査を行っております。
梅毒の治療料金(自由診療)
治療方法 抗生物質の服用(2〜12週間服用)
※検査結果により、服用期間には個人差があります。
料金 2週間で10,000円(税別)
診察料 0円
梅毒の予防方法
梅毒の病原体である梅毒トレポネーマは、傷口からの浸出液、精液、膣分泌液、血液などの体液に含まれており、非感染者の粘膜や傷口などと直接接触することで感染します。
実際には、感染経路の多くが、性器や肛門、口などの、粘膜を介する性的な接触となっています。
このため、梅毒の感染を防ぐためには、次のようなことに注意してください。
必ずコンドームを使いましょう
コンドームを適切に使って、粘膜の直接の接触を避け。
オーラルセックスやアナルセックスの際もコンドームを必ず付けましょう
梅毒の菌は見えないような傷口からも入り込むので、コンドームを使っても感染を100%防ぐことはできませんが、リスクはできるだけ最小限に抑えることが重要です。
多数と関係を持たず、パートナーは1人に限定しましょう。
多数の相手と性的接触を持つと、それだけ感染する(または感染させる)リスクを高めることになります。パートナーを1人に限ることは、梅毒の拡大予防に有効です。
また、梅毒に感染したことがわかった場合は、パートナーも検査・治療しなければいけません。
梅毒は完治しても免疫/抗体はできないので、何度でも感染します。
梅毒マメ知識
梅毒に感染した有名人
ペニシリンが開発される前の梅毒は、感染したら治らない、まさに「死病」でした。
また、感染しやすい、症状が出たり消えたりするという特徴から、感染が広まりやすく、歴史上の偉人や有名人も多数梅毒で命を落としてきました。
戦国武将に大流行!?
戦国時代は複数人と関係を持つことがステータスで、さらに男性同士が関係を持つことも普通に行われていました。もちろんコンドームもありません。
そんな時代に梅毒が流行するのは当然で、熊本城を作った加藤清正、軍師として名高い黒田官兵衛、徳川家康の子供である結城秀康などが梅毒で死んだといわれています。戦場で死ぬか、梅毒で死ぬか。そんな時代だったのかもしれません。
江戸時代は10人中7~8人が梅毒患者だった!?
『解体新書』の著者で、医者の杉田玄白によると「1,000人の患者のうち、700~800人は梅毒だった」という記述があるとか。
当時は吉原などの遊郭ができた時期とも重なっており、感染が爆発的に拡大したのでしょう。
海外の巨匠も梅毒から逃れられなかった
ドイツの哲学者ニューチェの晩年は、梅毒で脳を侵されて廃人同様になったと記録されており、女性関係が派手だったフランスの画家ポール・ゴーギャンも梅毒に苦しみながら死んでいます。ゴーギャンの友人だったゴッホが発狂したのも梅毒が原因だったというのが有力説。
アメリカのギャングであるアル・カポネは若い頃にかかった梅毒が悪化し、刑務所で痴呆状態になり他の囚人に脅されて毛布を被り泣いていたなどのエピソードも。そのごカポネは民間人で初めて治療のためにペニシリンを投与されますが、病気が進行しすぎていたために効果がありませんでした。