トップ > 岐阜 > 4月20日の記事一覧 > 記事

ここから本文

岐阜

長良川のアユ発信 世界農業遺産、ローマで知事講演

イタリア・ローマの国連食糧農業機関(FAO)で19日、清流長良川を守り生かす取り組みを紹介する古田知事=竹田佳彦撮影

写真

 【ローマ=竹田佳彦】古田肇知事は十九日、国連食糧農業機関(FAO)本部があるイタリア・ローマで開催された、世界農業遺産(GIAHS)フォーラムで基調講演し、二〇一五年に同遺産に認定された「清流長良川の鮎(あゆ)」を守り生かす県の取り組みを紹介した。県は今年、日本国内の認定地域関係者が一堂に会する「全国GIAHSの集いinぎふ」を主催するが、講演後に「タイミングや事情が許せば、世界大会も開きたい」と意欲を見せた。

 世界農業遺産は、伝統的な農林漁業や関連文化を保全し、将来世代に受け継ぐことを目的に、FAOが認定している。先進的な事例を紹介する五地域の一つとして、昨年五月に来県したグラジアノ・ダ・シルバ事務局長から講演を依頼された。

 古田知事は「清流」「交流」「協働」「貢献」をキーワードに講演した。長良川が、上流から下流までの住民八十六万人をつなぐ絆であり、「県民のアイデンティティー」だと強調。「GIAHS鮎の日」の七月の第四日曜日には、アユのつかみ取りや放流をするなど、住民がアユを身近に感じる試みをしていることも取り上げた。

 アユなどの漁業資源は、世界的に重要性が増している。古田知事は、県内水面漁業研修センターで二年間に、開発途上国など二十三カ国の漁業研修生ら計九十四人を受け入れ、国際貢献をしていることも紹介した。

 フォーラムに参加したバングラデシュ大使館のマナシュ・ミトラさんは「人口が急増しているわが国にとって、食料は大きな問題。認定地域が養殖技術などを海外に伝える取り組みは、非常に意義がある」と話した。

 古田知事は講演後、FAO本部内に設けた、県の取り組みを紹介するブースも視察。取材に「認定で終わりではなく、いかにフォロー(継続)していくかが重要だ。参加各国に岐阜の取り組みをアピールできたのではないか」と語った。

 世界農業遺産は、この日のフォーラムで認定証を授与された静岡県のワサビ栽培や、宮城県大崎地域の農業など、国内十一カ所が認定を受けている。

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内