前回記事 1 スタジアム問題 中国新聞の記事より 11 
前回記事 2 
スタジアム問題 別の視点から 2

 最近まで闘病記ネタに困っていて、広島ネタはそれなりにあったのだが、今月に入り逆になってきた。元々闘病記なので、バランスが取れて悪くはない。スタジアム問題も多少の動きらしきものがあったので、仕方なく取り上げる。今日は、中央公園自由・芝生広場に隣接する公営住宅の観点から、このスタジアム問題を考える。2では市議会の動きも取り上げたい。
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中央公園隣接の基町住宅中層棟
「耐用年限まで活用」 17号棟は建て替え表明



画像1 9月29日中国新聞25面より 拡大図(要拡大)

 広島市中心部へのサッカースタジアム建設問題で中央公園自由・芝生広場(広島市中区)が候補地に挙がる中、市は23日の市議会建設委員会で、隣接する市営基町住宅のうち中層の1~16号棟を10~18年残る耐用年限まで活用する方針を示した。同じく中層の17号棟(下記画像4参照)の建て替え方針も明らかにした。同広場の北側一帯に広がる1~16号棟は1956~1964年に順次建設され,耐用年限(70年)まであと10~18年あるという。建設委で、委員がスタジアム建設に絡めて今後の活用方針を正したに対し、市住宅部は「耐用年限まで最大限活用する」と答弁した。その上で「その後は市営住宅をの再編・集約化を中央公園の在り方を踏まえながら検討したい」と述べた。
 
 併せて、同広場がスタジアム建設の候補地に決まった場合の基町住宅全体の住環境対策を問われ、「(スタジアム建設)具体化すれば、どのような対応が必要なのか検討したい」とも応じた。またその日の建設部では、市営住宅の維持管理計画の概要を公表した。1階部分に商店などが入居する17号棟は、築51~53年ながら耐震性が不足しているとして、2025年度までに建て替える方針を盛り込んでいる。一体の市営住宅の再編・集約時転居先となっており、住宅部は「スタジアム建設論議とは関係なく進める」としている。
 
関連記事 市営住宅993戸建て替え 9月28日中国新聞25面より

画像2 9月28日中国新聞25面より
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1 基町市営住宅17号棟建て替えが与える影響


画像3 第4回コミュニティ及び活性化部会資料画面撮影 縦横に整然と並んだ区域が市営住宅中層棟(1~17号棟)、17号棟は高層棟と隣接した右端の連結した建物。背後は県営住宅中層棟(2017年廃止)、への字型に配列されているのは市営住宅高層棟である。画像では見えないが、その背後に県営・公団長寿園高層アパートと分譲高層住宅が白島界隈(城北通り)まで続く。


画像4 画像3の市営基町住宅中層棟17号棟拡大画像 2025年度までに建て替えられ、1~16号棟入居者移転の受け皿になる予定(グーグルマップ画像撮影図より)

 さて、このニュースを平たく言うと、基町地区住宅の中層棟は県営・市営共に2034年頃には、2025年度までに建て替えが決まった17号棟(画像3・4参照)以外は全て廃止され、更地になる。そして高層化されて建て替えられる17号棟は、1~16号棟住民の転居の受け皿になる、である。跡地利用については、県営基町中層住宅跡地(2.0㌶ 2017年度末廃止)、市営基町中層住宅跡地(2.7㌶ 2034年頃廃止)の計4.7㌶を中央公園の組み入れ広場として整備する構想がある。 ~旧市民球場跡地活用方策~(広島市HP) この土地一帯は、国有地なので売却などは出来ない。で、跡地を中央公園に組み入れる理由は、元々現在の平和記念公園、中央公園、市・県営の中・高層住宅群の場所は1949年公布・施行された「広島平和記念都市建設法」、その後行われたコンペで第1等に選ばれた丹下構想案では、平和記念公園だけでなく中央公園を含むエリアを一体化させる計画(81㌶)だった。この構想がバックボーンとしてある。 ~丹下構想案~(広島市HP)

 この計画は現実の政治課題ー不法占拠住宅、住宅不足の解決のために何度も軌道修正を迫られ、現在の形に落ち着いた。この丹下構想の肝は2つの都心の巨大公園を軸線を介して一体化させることにある。これを基準にして考えると、市民球場の現在地での建て替え、その後サッカースタジアム建設に及び腰な市の姿勢も紐(ひも)解ける。要は軸線を阻害して、邪魔なのである。それを言うと「えっ!旧市民球場は?」になるが、あれは後から割り込んだものでしかない。増え続ける宿泊外国人観光客を、今以上に呼び込むには、ヒロシマ最大の武器の平和を突き詰めるしかない。

 今回の市営基町住宅17号棟建ての影響はスタジアム問題を左右する類のものではない、と思う。県・市営住宅中層棟跡地活用(4.7㌶)を含めた計47.5㌶ー現中央公園42.8㌶+中層棟跡地4.7㌶ で中央公園の将来像を描かないとダメだ。現在の中央公園の課題は公園内が鯉城、城南通りに東西南北の動線が分断され、軸線の破壊も丹下構想になかったもの(公営住宅、旧市民球場、民間施設)をぶち込んだのが最大の理由だと考える。その各時代の都市問題をこの地で解決しようとした結果が、現在の姿となっている。そして、サッカー専用スタジアムが新たな公共施設として割り込んで来る可能性が高くなった。基町地区住民の反対如何では、先を見通せない状況にになることもありそうだ。

 スタジアムがある場合とない場合では、公園内老朽公共施設の集約、再配置が大きく異なる。傾向として建物数を極力減らし、複合公共施設建設で集約化を図り、土地空間をゆったりと取る方向は揺ぎ無いと見られる。現行都市公園法では、公園施設建設の余地は27,300㎡。 ~現行制約条件の確認~(1‐(3)参照) 現行施設の一部廃止、建て替えに際しては2~3施設の集約化が必須となりそうだ。スタジアム問題と中央公園施設の統廃合問題は一体的な議論をしないと、過去の過ちを繰り返す愚を犯すだろう。市営住宅17号棟の建て替えは、直接スタジアム問題の影響ない。しかし、県・営基町中層住宅の廃止による跡地利用は、むしろ影響を持たせる必要があると考える。

 10月3日に、中央公園広場スタジアム建設についての住民説明会が開催された。住民サイドの要望で非公開との事だった。基本的には反対なのだろう。確かに関心がなく、特に思いれがないものがいきなりやって来て、しかも騒音を巻き散らし、地域の美化を著しく汚すものなら誰でも来てほしくないと思う。地域住民には、生活権という誰にも侵されてはならない権利がある。各コアの自治会の代表者の意見は、口を揃えたように反対だった。住民合意に時間がかかりそうだ。

その他関連記事 基町地区で初の説明会 10月3日中国新聞24面より

 市議会の動き

 2では広島市議会本会議でスタジアム問題が盛んに取り上げられているので、みてみたい。各市議、この問題をここぞとばかりに質問している。面白い質問だけ取り上げてみる。

 
動画1 平成28年度第3回広島市議会定例会(9月23日【金曜日】一般質問 馬庭議員)
5分42秒~馬庭議員(市政改革ネットワーク)のスタジアム関連質問。36分28秒~市民局長の答弁。

馬庭議員(市政改革ネットワーク 中区)のスタジアム関連質問と市の答弁
Q 馬庭議員の質問
スタジアム検討協議会、作業部会でみなと公園、旧市民球場跡地の2案が絞られ検討された。
現在、第3の候補地として浮上している中央公園広場は排除されている。その理由は?スタジアム検討協議会、作業部会で決めた2案との整合性は?そして2案の今後の扱いは?

A 市民局長の答弁
(中央公園広場が外された理由) 北側に大規模住宅があり騒音対策の対応が困難、南北方向の観客席の拡張に制約があること(3万人収容の場合)があり、中央公園広場を推す委員がいなかったのがその理由。
(2案との整合性) 今年3月のサンフレの独自案発表後、サンフレと県、市、商議所の3者と膠着状態が続いていた。8月に4者会談が実現。残った2案では、4者が納得する結論が難しいことで一致。その他の候補地の再検討も含めそれぞれが再検討することとなった。9月の2回目の会談で一時期3つの候補地として残っていた中央公園広場も、その他の候補地として検討することなった。協議会での議論を踏まえた検討なので整合性は図れる。
2案の今後の扱い) 今後は旧市民球場跡地とみなと公園、そして中央公園広場を4者で協力して検討していく。

Q 馬庭議員の質問
広島県、市、広島商工会議所、サンフレッチェ広島の4者でスタジアム建設は合意したと聞いているが、広島市の考えは?完成はいつ頃になるのか?
A 市民局長の答弁
(広島市の考え) サッカースタジアムは、広島県、商議所などと3者一体となって建設することを前提に話を進めている。(事業主体や候補地等の)具体的な内容は、これから3者で検討しサンフレを含めた4者で協議する予定。その具体化に当たっては、議会の了解を得て予算処置を講ずる問題との認識。それがこれからの作業となる。
(完成時期について) 議会の予算決議が得られ、基本計画、基本設計、実質設計など建設工事に必要な手続きだけで約5年必要。建設候補地が決まっていない現状では、その時期を申し上げられない。(議論2年+準備5年+工事3年=約10年 2020年代後半?)


動画2 平成28年度第3回広島市議会定例会(9月26日【月曜日】一般質問 木山議員)


スタジアム関連質問は冒頭~、市の答弁は9分35秒~

木山議員(市民連合 中区選出)のスタジアム関連質問と市の答弁

Q 木山議員の質問
 旧市民球場跡地にスタジアム建設を要望する陳情が出されている。それについての市の考えは?みなと公園がスタジアム建設に相応しいと発言した理由は?

A1 松井市長の答弁
(市の考え)(みなと公園がスタジアム建設に相応しいと発言した理由)
 旧市民球場跡地については、狭隘な敷地、割高な建設費、多機能複合開発の困難さの課題があり、昨年7月にみなと公園を有利とした。
A2 市民局長の答弁
(市の考え)(旧市民球場跡地がスタジアム建設に相応しくない理由)
敷地が狭隘で敷地一杯にスタジアムを輩出する事になり、観客の滞留場所動線確保が困難、一般歩行者通行の支障にもなる。高さ制限もあり掘り込みが必要となり、コストが割高になること。水道管などの地下埋設設備の移転が必要になること。都市公園法の制約で多機能・複合化開発が困難。それに対して、みなと公園は交通対策に課題があるものの、多機能・複合化が可能で街づくりの観点から3者で有利で一致していた。今後は中央公園広場を含めた3候補地を、3者とサンフレの協力を得ながら進めたい。

 感想としては、建設候補地がすんなり決まっても最低でも8年かかることに少し驚いた。2017年度に候補地が決定しても早くて2025年度の開場になる。市政の課題としては中・長期的なものとなる。後は、このブログ記事でも再三再四指摘したことなので目新しいものは特にない。前回記事でも指摘したが、中央公園広場では旧市民球場跡地同様、都市公園法、国有地などの制約を受け単機能スタジアムとなる。複合開発が難しいので、民間の旨みは少なくみなと公園案よりも行政の負担は大きくなるだろう。リターン部分は、新規の賑わい性創出がそれに当たるが、サンフレ独自案でも2割の観客動員増でしかない。街づくりの貢献度もなく新規賑わい性創出も大したものではない。その投資額で広島南道路の一般道の吉島ー新太田川橋の4車線化、宇品・仁保地区延伸やデルタ内準基幹公共交通の広電・バスの高度・高速(LRT、BRT化)、老朽化して高稼働率の広島中小企業会館にに代るMICE施設に投資した方が公益性も高く、都市圏発展に寄与する、と思ったりする。、また何かの大きな動きでもあれば取り上げたい。

その他スタジアム関連記事
1 サッカー場候補地「3者が決定」 9月24日中国新聞25面より
2 深山会頭続投を表明 9月24日中国新聞8面より


続く



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