久しぶりに『夢をかなえるゾウ』という本を読み返しています。
僕が大学生の頃からずっと好きな水野敬也さんの出世作です。
本作は200万部以上のベストセラーとなっており、
「自己啓発 × 物語 × 笑い」
という水野さんの鉄板スタイルを確立した本でもあります。
『夢をかなえるゾウ』
では、ガネーシャと呼ばれる不思議な神様が「僕」に対して次々と課題を与えます。
「僕」はガネーシャの課題をこなしていくうちに、少しずつ「成功する人間の考え方」を身に付けていきます。
最初は「靴を磨く」とか「トイレを掃除する」のような優しい課題でしたが、本の後半になると
「ガネーシャ最後の課題」
として、より行動力を必要とする課題が与えられるようになっていきます。
その「最後の課題」の一つが『応募する』でした。
この『応募する』の課題を要約して紹介します。
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「今まで教えてきた課題、地味だったやろ」
「正直、想像していたのとは違っていました」
「いうても時間ないし、そろそろ自分が『劇的に変わる方法』教えとこなか思て」
「なんですか!?劇的に変わる方法!?」
「それはな、不幸やねん」
「人間が変わるにはな、もうでっかい不幸が必要やねん。
悩んだり、苦しんだり、もう死んでしまおうかなて思うくらいの不幸や」
「それはそうかもしれないですけど、でも何か違うような気がします。
そのやり方は間違っている気が......」
「今のは冗談や」
「けど、ワシが言いたいのは、ホンマに人生変えようと思たら、そんくらいのインパクトが必要いうことや。
つまり、『事件』やな。
何か、自分の想像を超えるような『事件』が人を劇的に変えるねん」
「まあ事件にもいろいろあんねんけど。
ま、一番効果的で劇的な変化が望めるんは.........」
「『誰かに才能を認められる』や」
「才能を認められる?」
「そや。
誰かに才能を認められることで、自分の人生は変わる。
もうこれはえらい変わるで。
自信に満ち溢れるし、周囲の視線も変わる。
全身からやる気がみなぎって、それこそ飯食うのも寝るのも忘れて働ける。
働くのが今までよりも全然楽しくなる。
人生を変える一番強力で手っ取り早い手段はこれや」
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「誰かに才能を認められる」
ためにはどうしたらいいでしょうか。
「今の職場で上司にアピールすればいいのだろうか」
と考えた「僕」をガネーシャは否定します。
才能が認められるということは、今まで自分でも気付かなかった才能が見出されることだと。
今の仕事で認められていないのであれば、その仕事でどんなに頑張っても「才能が認められる」ことにはならないと。
今の職場で頑張るのは大事だが、人生を変えるような事件は起こせない場合がほとんどであると。
では、どうしたらいいのでしょうか。
ガネーシャは言います。
「応募せよ」
と。
「応募」とは、「自分自身を世の中にアピールすること」です。
自分の才能が他人に判断されるような状況に身を置いてみること。
それが「応募」であると、ガネーシャは言います。
「自分らの言葉で言う『奇跡』をな、起こす力が応募にはあんねんで」
* * *
エステル・ゴランタンというおばあちゃんがいた。
彼女は85歳の時、街でたまたま
「イディッシュ語を話せる老婦人求む」
という映画出演募集のチラシを見つけた。
彼女はそれまで演技の勉強など一度もしたことがなかったし、既に85歳の高齢である。
それでも、彼女は応募した。
無理だと思われたオーディションに合格し、1999年「故郷への旅」で映画初出演。
アビル映画祭で最優秀女優賞に選ばれた。
その後も彼女には映画のオファーが続々来たという。
* * *
2004年、当時楽天に勤めていた田中良和は帰宅後、ひたすらプログラミングをしていた。
当時の楽天はまだ若く、長時間労働が当たり前のベンチャー気質が色濃かった。
帰宅時間はいつも23時。
田中の開発はそこからスタートした。
眠い目をこすりながらひたすらPHPと格闘する日々。
ようやく完成したサイトを公開したのが2004年2月21日。
GREEの誕生である。
その後、グリー株式会社を設立し、サービスは拡大し続けた。
ソシャゲバブルにも乗り、2010年6月東証一部上場。
田中良和は一躍時の人となり、億万長者となった。
* * *
新卒で入った会社を3ヶ月で辞めたちょまどさん。
マイクロソフトに転職後は「松屋の天使」として話題になり、3,000人以上のエンジニアが集まるイベントでベストスピーカー賞を受賞。
見た目も実績も、いま一番輝いているエンジニアである。
* * *
例を挙げればキリがないですが、全ての人に共通しているのは、どこかのタイミングで「応募」しているということです。
・ウェブサービスを作った人
・合わない会社を飛び出して転職した人
・小説を書いて応募した人
・起業した人
・ブログを書いた人
なんでもいいですが、成功した人はみんな、
「自分自身が評価される状況」
に身を置いた人です。
市場の評価は会社よりずっと厳しいため、時には手痛い失敗をするかもしれません。
自信を持って「応募」しても、誰の目にも留まることなく歴史に消えてしまうかもしれません。
それでも「応募」して、「世の中に自分を売り出す」という過程は絶対に必要で、市場の評価のプレッシャーを乗り越えた先にしか、成功はないのだと思いました。
思えばブログも小さな小さな「応募」の一つです。
スベるかもしれないし、炎上するかもしれないし、誰にも読んでもらえないかもしれないけれど、それでも出し続けないと、成功する確率はゼロです。
とにかく、「応募」すること。
自分が評価されることを怖がらずに、市場に出すこと。
本当に大事なのはこれだけだと思うんです。
- 作者: 水野敬也
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