(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年4月17日付)
今から4カ月前、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はシリアに対して抱く思惑をしっかり掌握しているように見えた。
ロシアによる軍事介入は過激派組織「イスラム国(IS)」を倒す目標を達成した、すべての当事者が政治的解決へ移行する必要がある、と大統領は自信満々に宣言した。
だが、米国主導で実施された対シリア・ミサイル攻撃は、同国のバシャル・アサド大統領に対するロシアの揺るがぬ支持に伴うリスクを浮き彫りにしたと外交筋は警鐘を鳴らす。
そのせいでロシアがいよいよ危険な窮地に追い込まれ、ロシアの大きな利益を害しているからだ。
「ロシア勢は自分たちのことを、シリアの主権の保護者、この国における体制転換と分割を推進する西側の陰謀と戦う戦士として打ち出しているが、国際的な無法者になることでアサドのパートナーになってしまう恐れがある」
普段はロシアに友好的と見られている欧州国家の外交官はこう指摘する。「ロシアはのけ者国家のように見え始めており、ますますのけ者国家のように振る舞っている」
数十人の死者を出したシリア・ドゥーマでの毒ガス攻撃疑惑の後、米国のドナルド・トランプ大統領は明確にプーチン氏を批判し、ロシアとイランはアサド氏を支援した責任を負っていると述べ、「大きな代償」を支払うことになると警告している。
ロシア政府は、毒ガス攻撃の責任がシリア軍にあるとの非難を激しく拒絶し、そもそも化学兵器が使われたことさえ否定している。