特許・商標・著作権
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そこでまず、商標権侵害がどのような場合に成立するのかからご説明します。
商標権の侵害とは「指定商品若しくは指定役務またはこれらに類似する商品若しくは役務について、登録商標若しくはこれに類似する商標を使用し、または一定の予備的行為」をいいます(商標法2条3項各号、25条、37条等)。
簡単に言ってしまいますと、指定商品などに登録商標や類似商標を使用しますと侵害になるということです。
ここで問題となりますのはこの【使用】というものです。
商標法上の【使用】には以下のものがあります(同法2条3項1号~10号)。
「1商品や包装に商標(法文上は「標章」という表現です。以下同じ。)を付する行為。
2.商品や包装に商標を付したものを譲渡し、引き渡し、展示し、輸出し、輸入し、電気通信回線を通じて提供する行為
3~6号 省略
7.電磁的方法により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に商標を表示して役務を提供する行為
8~10号 省略 」
そのため、指定商品等に対して登録商標等を上述したような【使用】をした場合には、商標権の侵害となります。
一方、真正商品の並行輸入品につきましては、最高裁の「フレッドペリー事件」(平成15年2月27日判決)で判示された3要件をすべて満たす場合には、商標権の侵害にはならないことになります。
以下にその判例で示された3要件を示します。
「①該商標が外国における商標権者又はその使用許諾を受けた者により適法に付されたものであること。(並行輸入した商品に付されている商標が権利者など正規の者によって付されていること)
②外国における商標権者と我が国の商標権者とが同一人又は法律的若しくは経済的に同一人と同視しうる関係があることから当該商標が我が国の登録商標と同一出所を表示するものであること(並行輸入した商品に付されている商標を見た需要者が、その並行輸入商品が、付されている商標の商標権者またはその関連会社などが提供しているものであると認識できること。例えば並行輸入業者の商品であると誤認混同しないこと)。
③我が国の商標権者が直接的または間接的に当該商品の品質管理を行い得る立場にあることから、当該商品と我が国の商標権者が登録商標を付した商品とが、当該登録商標の保証する品質において実質的に差異がないと評価されること。(並行輸入商品と日本の商標権者の商品との品質が同じであること)。 」
そのため、この3要件を満たしている限りは、日本において真正商品を輸入・販売しても、商標権の侵害にはならないことになります。
この判例によりますと、先にご説明した登録商標の【使用】のうち2条3項2号の「商品や包装に商標を付したものを・・・輸入し・・・」ても、商標権の侵害にはならないということになります。
ただし、これはあくまで、正規に商標が付された真正商品を輸入する場合でありまして、真正商品に商標を付されていなかったものに無断で登録商標や類似商標を付して輸入・販売したり、異なる商標を付して輸入・販売したりした場合には、商標権の侵害となります。
一方で、ご質問に掲載されていたアドレスの記事(後で追加された記事)につきましては、「MSが商標登録しているロゴに酷似した画像を自身が運営するインターネットの通販サイトに掲載したとしている。」
これは、自身が運営する通販サイトにMSの登録商標ないし酷似した商標(ロゴ)をその画像に掲載しているので、真正商品やその包装に商標が付されているものを輸入・販売する行為とは別の状況となります。
正規に登録商標が付されている真正商品をネットで販売するに際して、その通販サイトの画像に登録商標や類似商標を表示する行為は、先の【使用】で申しますと、2条3項7号の「電磁的方法により行う映像面(ネットの通販サイト)を介した役務の提供(正規に登録商標が付された真正商品の販売)に当たりその映像面(通販サイトのウェブページ)に商標を表示して役務を提供する行為」となります。
正規に登録商標が真正商品に付されているだけなら問題はないのですが、上述のように通販のウェブページ上に登録商標を表示する行為は、その通販のウェブの運営者が、本来であれば事件の容疑者であるはずなのですが、そうではなくて真正標品に付されている登録商標等の商標権が通販サイトを運営しているとの誤認混同を需要者に与えてしまうことになりますので、商標権の侵害ということになります。
そのため、質問者様が仮に通販サイトで、正規の登録商標等が付された真正商品を販売される際には、そのウェブページには登録商標や類似商標などを表示しないようにした方がよろしいかと思われます。もちろん、登録商標等が付されている真正商品の画像を掲載するのは問題ないのですが、通販のウェブの運営者が登録商標の商標権者であるとの誤解を受けないようにしなければならないことになります。
ご質問にある「真正品の並行輸入とインターネット販売は基本的には許されているが、販売する際の商品説明ページ等に登録商標を利用することは許さないという理解で宜しいでしょうか?」につきましては、基本的にはそのようなご理解でいいのですが、ただし「登録商標を利用することは許さない」という部分に関しましては、商標の自他商品識別機能を発揮するような態様での使用は許されないのですが、自他商品の識別機能を発揮しないような態様であれば、先にご説明した商標法上の【使用】には、該当しないので、侵害にはならないということになります。
少し専門的になってしまうのですが、商標の機能には、自己の商品と他人の商品を区別して、自己の商品を個別化するという機能があります。これを自他商品の識別機能といいます。そしてその延長線上には、自己の商品と他人の商品の出所を区別させる機能である出所表示機能や、自己の商品と他人の商品の品質を区別させる機能である品質保証機能があります。
そのため、ウェブ画像に商標を表示する際に、形式的には商標法2条3項7号の使用に該当しても、その画像への商標の表示の仕方によっては、すなわちこのような商標の諸機能を発揮しないような態様による商標の表示であれば、商標の【使用】には当たらず、商標権の侵害にはならないということになります。
ご質問にある「https://goo.gl/1GGxrI」のウェブページには、商品写真と共に「Sony Xperia Z4 Tablet (SIMフリー LTE, 32GB, Black)[並行輸入] 」と表示されていますが、この登録商標「Sony」、「 Xperia 」の表示は、単に商品の種類を明示するために「記述的に」表示されているだけであって、この表示によって、自他商品の識別機能が発揮され、当該ウェブサイトがソニーやその関連会社等によって運営されているとの誤認混同は生じないので、問題はないと思われます。
また、「Surface 中古品」という記述はによって、自他商品の識別機能が発揮されることはなく、その記述は、単にその製品がSurfaceの中古品であるという「事実」を記述しているにすぎず、その記述がウェブページに表示されたからといって、そのウェブページの運営者がマイクロソフトやその関連会社等であるとの誤認混同は生じないと思われます。
あくまでも販売する商品の種類や、○○製の商品であることを明示するために商標を表示する分には問題はありません。そのウェブサイトが商品に付された商標についての商標権者が運営しているような誤解を招くような態様でウェブサイトに商標を表示する場合が問題となるということになります。
例えば、商品やパッケージや商品の説明文中以外の位置に登録商標や類似商標が画像の何処かに表示され、いかにもそのウェブサイトの運営者がその商標権者であるかのうような誤解を招くような場合には、侵害になろうかと思われます。
商品の説明のために商標を使用する分には、自他商品の識別機能が発揮されませんので問題はないということになります。少し説明が専門的となってしまいましたが、ご理解していただけましたでしょうか?
http://goo.gl/ms9z1hのウェブサイトを拝見しましたが、ウェブサイト(役務)の運営者がマイクロソフトないしはその関連会社等であるとの誤認を生じるような商標の使用はしていないようです。
そうしますと、そのウェブサイトに掲載されている商品に付されている「Windows 10」という登録商標の表示が、入手した際には付されていなかった商品であるにもかかわらず、その商品にその登録商標や類似する商標を付する場合には、先にご説明した「使用」に該当し、商標権の侵害となります。
この「正規品」という意味がどのような意味なのかですが、例え正当に入手した商品であっても、その正規に入手した商品に登録商標や類似商標が付されていなかった場合には、それに後から登録商標等を付する行為やそれを販売する行為、または入手時に付されていた商標とは異なる商標を付したり、それを販売する行為は商標権侵害となります。
そのため、商品に付されている商標が上述した行為によって付されている可能性があるのではないかと予想されます。
また、田辺警察署のいう「Windowsは登録商標であるから、画像・文字を問わず商品説明ページに"Windows"の標準文字を利用した時点で商標法違反を構成する。」という見解は間違いです。警察署であるからといって商標法を理解しているとはいえません。
商標の使用につきましては、先ほどご説明した通り、諸機能を発揮していなければ使用には当たらず、商標権侵害とはなりません。他の商標法に詳しい弁護士ないし弁理士に聞いても当方と同じことを言うはずです。
そのような田辺署の見解であれば、ソフトウェアに関わらず、ウェブサイトに登録商標が付されている商品の画像や説明文は莫大な数であり、そのすべてが商標権侵害になるという非現実的な事態になってしまいます。
また、「単なる中古ソフトの販売など、法益の侵害(マイクロソフト社の逸失利益)が甚大ではないものについてはいちいち捜査することはしない」とありますが、中古品であっても、その売上数量が多ければ、マイクロソフト社の製品の売上数量が減少し、逸失利益が甚大になる場合も考えられます。
したがいまして、商品を正規に輸入ないし購入した時点に付されていた商標をそのままの状態にして、かつ、ウェブサイトに商品説明文として商標を使用し、そのサイトが商標権者が運営しているとの誤認を生じないよう、すなわち商標の諸機能を発揮しない態様で表示するという点にご注意していただければ、問題はないとということになります。
海外のサーバーからライセンスキーを入手する行為は「輸入」とはいえないと思います。
商標法上の輸入とは、外国において生産された「貨物」を我が国の市場に搬入する国際商取引の一形態をいいます。これは、「水際」での取締りを強化するために使用行為に規定されたものです(商標法2条3項2号)。
そのため、「貨物」とは言い切れず、また、水際での取り締まりもできない海外のサーバーからの入手は、輸入とはいえず、商標法上では「電気通信回線を通じた提供」ということになろうかと思われます。
また、ライセンスキーに登録商標または類似商標が入っていた場合ですが、ライセンスキー自体が登録商標の指定商品ということではないと思います。指定商品はあくまでもソフトウェアということになろうかと思われます。
そのため、25文字の文字列で構成されているライセンスキー自体は、むしろ商品というよりも商標ということになろうかと思われます。
そうしますと、登録商標が付されていないソフトウェアないしはその包装・パッケージに登録商標であるライセンスキーを付した場合や、付したそれを販売した場合には、指定商品に登録商標を付する行為および付したものを販売する行為ということになり、登録商標の使用に該当することになろうかと思われます。
要するに、ライセンスキーを登録商標と考えて、先にご説明した商標法2条3項各号の【使用】に該当するようなライセンスキーの用い方をしますと商標法上の使用に該当することとなるという解釈でよろしいのではないかと思われます。
なお、おそらく、田辺警察署の見解によって、田辺警察署が単にウェブサイトの説明文としてのみ登録商標を使用している者を商標権侵害を理由に検挙して、裁判所にて商標権侵害の有無について争った場合に、果たして田辺警察署が勝訴するでしょうか?当方としましては疑問に思えてなりません。
商標法では、著作権と異なり、非親告罪です。すなわち、利害関係人による告訴がなくても公訴提起できます。
そうしますと、ライバル企業等による告訴が乱立し、警察や検察は対処しきれない状態に陥るはずです。にもかかわらず、そのような濫訴に至っていないのは、かかる場合には商標権の侵害を構成しないからではないでしょうか?、
前回のご質問には「こちらのライセンスキーは25文字の文字列に過ぎません。この文字列に商標が付されているか否かについてはどう考えるべきでしょうか。」との記載がありました。
今回のご質問のように「ランダム」という表現が入っていませんでした。
そのため25文字のライセンスキーの一部に登録商標を構成する文字列が入っていることを前提として回答した次第です。
しかし、今回のご質問内容からしますと、ライセンスキー自体が指定商品であって、それに登録商標が付されている場合を申されているようですが、商標法上の指定商品は、それ自体が独立して商取引の対象となるものでなければ「商品」とはなりません。
たとえば、販促品や街頭で無料配布されるティッシュペーパーなどのような物は独立して商取引の対象とならないので商標法上の「商品」にはなりません。
そのため、ライセンスキー自体も独立した商取引の対象となるものではいと思われますので、そのようなものに登録商標が付されていても、指定商品に登録商標を使用していることにはならないということになります。
プロダクトキー自体は商標法上の指定商品にはならないですが、ソフトウェアは商標法上の指定商品になるわけですから、登録商標や類似商標が付されていないソフトウェアにかかる商標を付した場合には、商標権の侵害になります。
また、質問者様は田辺警察署のいうことがすべて正しいと思い込んでいる傾向にあるようですが、その見解を鵜呑みにしてしまいますと、商標権について誤った認識に至る場合もございますのでご注意した方がよろしいかと思われます。
ご質問にある「田辺警察署によれば、"Windows"ではなくカタカナで「ウィンドウズ」としていれば、商標法違反の罪には問われなかっただろう」というのは完全に誤った見解です。
商標の類否判断は、原則として、商標の構成から判断します、具体的には、商標の構成を外観、称呼、観念の3要素で判断し、いずれか1の要素で共通していた場合には、類否と判断される可能性が高まります。
例えば「Windows」と「ウィンドウズ」を比較した場合、外観は異なりますが、称呼(呼び名)は完全に一致します(「Windows」を「うぃんどうず」や「ういんどーず」以外に例えば「わいんだす」のような呼び方をする人はほとんどいないでしょうし、仮に存在してもごく少数といえます)。また、観念(意味・内容)も、「Windows」でも「ウィンドウズ」でも、いずれも、現代社会において一般人へのかかるソフトウェアの普及率の甚大な高さから、需要者・取引者にしてマイクロソフト社のソフトウェアであることが、すぐに観念することは疑いのない事実です。
そのため、「Windows」と「ウィンドウズ」は、称呼及び観念が共通するので、監督官庁である特許庁であろうと、司法機関である知的財産高等裁判所であろうと類似と判断する可能性は極めて高いといえます。
このようなことが、一地方の警察署では理解されていないということになります。知的財産権は非常に複雑で専門的な知識を必要としますので、警察者が誤った見解を述べることも多々ありますのでご注意してください。
参考までに、監督官庁である特許庁の「審査基準12版(最新版)→第3 第4条第1項及び第3項 (不登録事由)→十 第4条第1項第11号 (先願に係る他人の登録商標)には以下のように記載されています。
(アドレス:「http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/syouhyou_kijun/20_4-1-11.pdf」)
「1.商標の類否の判断は、商標の有する外観、称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察しなければならない。」