【4月19日 AFP】メキシコで今週、96歳の女子高生が初登校を果たした。元気に高校生活を送って100歳の誕生日までには卒業したいというグアダルーペ・パラシオス(Guadalupe Palacios)さんは、その年齢や白髪、肌に刻まれた深いしわだけでなく、誰よりも頑張り屋な生徒としてクラスで際立つ存在だ。

「全力を尽くせると思う。今日はとても素晴らしい日ね」と16日、制服の白いポロシャツと黒のスカートで初登校したパラシオスさんは語った。制服の上にピンク色のカーディガンを羽織って自分らしさを出したという。

 南部チアパス(Chiapas)州の州都トゥストラグティエレス(Tuxtla Gutierrez)にある高校の生徒たちは、「ドナ・ルピタ(ルピタさん)」とグアダルーペの愛称に敬称を付けてパラシオスさんを呼び、拍手でクラスに迎えた。

 化学や数学の授業で熱心にノートを取るパラシオスさんは、ダンスの授業でもなかなかの活躍を見せている。

 先住民の村で貧しい家庭に育ったパラシオスさん。子どもの頃は家業のトウモロコシ畑や豆畑を手伝い、学校には通えなかった。成人後は市場で鶏肉を売って稼ぎ、2度の結婚で子ども6人をもうけた。こうした暮らしの中で計算はできるようになったが、読み書きを習得する機会はついぞなかった。

 92歳になったとき、一念発起して読み書きの講座を受講した。「今ならボーイフレンドに手紙も書けるわ」と笑うパラシオスさん。しかし、そこで立ち止まることなく、2015年には小学校の成人向けコースに申し込み、4年足らずで中学校の課程まで修了した。

 だが、高校には成人向けコースはなかった。そこで普通の公立高校に入学し、80歳年下のクラスメートと一緒に学ぶことにしたのだ。

 そんなパラシオスさんは、既に高校卒業の先を見据えている。いつの日か幼稚園の先生になることが夢だそうだ。(c)AFP