ダイヤモンド含む隕石「失われた惑星に由来」 =欧州の共同研究
地球の大気圏内で2008年に爆発したダイヤモンドを含む隕石(いんせき)は、原始太陽系にかつて存在したが既に失われた惑星の一部なのかもしれない。そのことを示唆する研究論文が17日、科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。
隕石の由来とみられる「原始惑星」は、数十億年前に星間衝突で消失するまで存在し、水星もしくは火星ぐらいの大きさだったとみられる。
研究によると、ダイヤモンドが生まれるには圧力が必要で、その圧力はこの大きさの惑星でしか生じない。
研究者たちは異なる3タイプの顕微鏡を用いて、ダイヤモンドを含む隕石のミネラルや化学組成の特性を明らかにした。研究対象となった隕石片は、隕石「2008 TC3」が2008年10月7日にスーダン北部のヌビア砂漠上空37キロ付近で爆発した後、同砂漠全体に飛び散っていた。
4メートルほどの大きさだったとみられる隕石のうち、1センチから10センチまでのかけら50個が、最終的に収集された。この隕石片はまとめて「アルマハータ・シッタ隕石」として知られている。アルマハータ・シッタはアラビア語で「6番駅」という意味。落下地点の近くにあった鉄道駅から名づけられた。
科学者たちの報告によると、いくつかの隕石片は組成物にダイヤモンドを含むという(組成の段階で含まれる物質は包有物と呼ばれる)。ダイヤモンドが含まれる隕石片は約20ギガパスカル(GPa)より強い圧力下でしか生まれない。そのような環境は「大きな惑星体の中でしか達成されない」という。
スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)のファーハン・ナビエイ氏と研究チームはこの計測が「このように大きな惑星体が、既に消失はしたもののかつて存在したことを示す、注目に値する初の証拠」をもたらしたと語る。
研究結果はまた、現在の太陽系惑星が数十個の巨大な「原始惑星」の残骸から作られたという理論を後押しするものともなる。
「2008 TC3」隕石の元となった惑星体は、太陽系の初期1000万年のうちに形成されたようだ。
この惑星体が衝突してできたかけらは、ユレイライトと呼ばれる種類の隕石となった。このユレイライト隕石は、地球にぶつかる物体の1%にも満たない。
研究者たちは、全てのユレイライト隕石が同じ原始惑星の残存物かもしれないと示唆している。
「火星ほどのサイズの惑星体(月を生んだような巨大な衝突体)が多数あり、融合してより大きな惑星になったか、太陽と衝突したか、太陽系の外にはじき出されたのだろう」と、研究チームは論文に書いている。
「この研究は、ユレイライト隕石の元となった惑星体が、星間衝突によって破壊されるまでは1つの大きな『失われた』惑星だったという、説得力ある証拠を提供している」