「ホテルでロボットが声かけやあいさつをすると、宿泊客は“もてなされている”と感じる」──大阪大学、サイバーエージェント、東急不動産ホールディングスは4月18日、そんな実験結果を発表した。3月に都内のホテルで行った接客実験によるもので、ロボットの声かけに対して宿泊客の機嫌がよくなった他、一緒に働くスタッフにも好印象を与えたという。
実験では、東急ステイ高輪(東京都港区)のエレベーター前にヴイストン(大阪府大阪市)の小型コミュニケーションロボット「CommU」(コミュー)と「Sota」(ソータ)を1体ずつ、廊下にはSotaを1体配置。フロアに設置したセンサーが人を検知すると、ロボットは時間帯や状況に応じて「こんにちは」「お疲れさまです」などのあいさつや声かけを行った。エレベーター前では、2体の掛け合いによる接客も試したという。
大阪大学の石黒浩教授は「ロボットは人間ほど存在感がなく、会話をしても『プライバシーを侵害された』と感じにくい。例えば、ホテルの廊下で人がうろうろしているのはあまり好まれないが、ロボットであれば、宿泊客からはそういった反応が起きにくい」と話す。
さらに、働いているスタッフが「ロボットのあいさつで気持ち良く働けた」と感じているのも印象的だったという。
今後も、より宿泊客ごとに合わせた対話ができるよう研究を進める。音声認識や自然言語処理といった技術を取り入れることで、顧客と直接対話するロボットや複数のロボットが連携する接客などを目指す。
「プライバシーを守りながら会話をするのはロボットにしかできないサービス。対話できて信頼できるロボットが、ホテル内の新しいメディアになるのでは」(石黒教授)
東急ステイ高輪では、発信器(ビーコン)を使った宿泊客の個人識別などを含む、新たな実証実験も行っているという。サイバーエージェントでAI(人工知能)の研究開発を行う馬場さんは「誰が近くにいるのかを把握し、ロボットが名前を呼べるようにしたい」と話した。
実験を通じて、ロボットを使った広告配信も検討する。サイバーエージェントの内藤貴仁上級執行役員は「スマートフォンで人々が広告に触れるタイミングは飛躍的に増えたが、次のフェーズがロボットの接客だと思っている。ロボットとのコミュニケーションなどを生かしたビジネスもしっかりと作っていきたい」としている。
石黒教授も「ホテルでロボットが情報提供をしたり広告を打ったりといったことはまだ実現されていない。三者で協力して、われわれが最初の実現例になれればと思っている」と意欲的な姿勢を見せた。
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