福田次官の事件は「テレビ朝日のセクハラ」
きのうから財務省の福田次官の辞任にからんでテレビ朝日が記者会見し、騒ぎが続いているが、事態が刻々と変わるので、今の段階の状況をメモしておく。福田氏の発言がセクハラかどうかは本人が争っているのでグレーだが、きのうテレ朝が明らかにしたのは、次のような事実だ:
- 少なくとも2016年11月から今年4月まで、女性記者が福田氏とのオフレコの会話を無断で録音した。
- 記者は問題を報道しようとしたが、上司が握りつぶした。
- このため女性記者は、音声データを週刊新潮に提供した(金銭の授受はないと主張している)。
この女性記者は懲戒処分にあたる。無断録音を公開したのは取材先との信頼関係を壊すオフレコ破りであり、録音データの週刊誌への提供は前代未聞のルール違反だ。
2008年の音声データ漏洩事件では、朝日新聞の辰濃哲郎記者が解雇、専務(編集担当)と編集局長などが減給処分を受けた。これは病院の内紛にからんで、辰濃記者が無断で録音した音声データを関係者に渡した事件だ。
セクハラというのは、女性に対して雇用関係や契約などの優越的地位を濫用することだから、この場合は彼女が苦情を申し立てているのに1年半も取材させた上司の行為がセクハラにあたる。
テレ朝の説明には、不審な点が多い。女性記者が問題を申し立てていたのなら、なぜ1年半も「福田番」のままにしたのか。主計局長から事務次官まで同一人物の番記者をやらせるローテーションは異例で、癒着が起こりやすい。
ありそうなのはテレ朝も女性記者も承知の上で、スケベオヤジを利用していたが、最近、人間関係が壊れたという推測だ。あるいは単に女性記者が番記者をはずれて、復讐してやろうと思ったのかもしれない。
公平にみて、福田氏がスケベオヤジであることは事実だろうが、そんなことは事務次官の業務とは関係ない。こんなくだらない事件で行政を混乱させたテレビ朝日は関係者を処分し、全社員に報道倫理を教育すべきだ。
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