この中で、安倍総理大臣は北朝鮮情勢について、「史上初の米朝首脳会談というトランプ大統領の大英断によって歴史的な転換点を迎えている。今回の会談では、さまざまな展開を想定し、具体的かつ相当突っ込んだ形で綿密に方針をすりあわせた」と述べました。
そして、「日米両国は国際社会とともに、北朝鮮に対し核兵器をはじめとした大量破壊兵器およびあらゆる弾道ミサイルの完全、検証可能かつ不可逆的な方法での廃棄を求めていく。北朝鮮が対話に応じるだけで見返りを与えるべきではない。最大限の圧力を維持し、非核化への具体的行動を実施するよう求めていくとの確固たる方針を改めて共有した」と述べました。
また、拉致問題について、「日米で一層緊密に連携しながら、すべての拉致被害者の即時帰国に向け、北朝鮮への働きかけを強化していく決意だ。北朝鮮が正しい道を歩めば、日朝ピョンヤン宣言に基づいて不幸な過去を清算し、国交正常化への道も開けてくる」と述べました。
さらに安倍総理大臣は、南北や米朝首脳会談を控える中、日本がこうした動きから取り残されていくのではないかと質問されたのに対し、「懸念は全くあたらない。今後とも、日米、日米韓3か国で緊密に協力して、北朝鮮の拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決のために全力で取り組んでいく」と述べました。
一方、安倍総理大臣は日米両国の経済や貿易の問題について「双方の利益となるよう、日米間の貿易や投資をさらに拡大させていく。その基盤の上に、公正なルールに基づく自由で開かれたインド太平洋地域の経済発展を実現するため、トランプ大統領と『自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議』を開始することで合意した」と述べ、茂木経済再生担当大臣とライトハイザー通商代表の間で貿易や投資などを協議する、新たな枠組みの創設で合意したと発表しました。
そして、安倍総理大臣は「アメリカが2国間の取り引きに関心を有していることは承知しているが、日本としてはTPP=環太平洋パートナーシップ協定が日米両国にとって最善と考えている。その立場を踏まえて議論に臨んでいきたい」と述べました。
また、トランプ政権が日本も対象に鉄鋼製品などに高い関税を課す輸入制限措置を発動したことについて「日本の鉄鋼やアルミが米国の安全保障に悪影響を与えることはなく、むしろ高品質な日本製品は米国の産業や雇用にも多大に貢献しているという認識に立って、引き続き協議していく」と述べました。
横田めぐみさんの母 早紀江さんは

米朝首脳会談に臨むトランプ大統領が「拉致被害者ができるだけ早く家族の元に戻れるようにしたい」などと発言したことについて、横田めぐみさんの母親の早紀江さん(82)は「事態が動かず長く闇の中にあっただけに、何かが動き出すのではないかと希望を持っています。家族は年を取って時間の猶予がないので、『被害者全員を帰しなさい』と交渉していただきたい」と求めました。
そのうえで、拉致から40年以上がたっていることにふれ、「『人の命をないがしろにしていては世界から信頼されない』、『方向転換すれば本当の平和が来る』と北朝鮮にきちんと伝えてもらいたい」と話しました。