白老町にある周囲4kmの湖「ポロト湖」。その湖畔にアイヌ民族博物館はあります。先住民族の博物館としては異例の施設規模を誇り国立博物館の設置が決定したばかりで、こちらで行われる「ポロトコタンの夜」とは今回で10周年を迎えた企画でありアイヌ民族に伝わる伝統的な【祈り】【歌】【踊り】【食文化】を独特の静寂感の中で体感できる夜間特別プログラムです。
入場してすぐ目に入るのがこちらの"巨大なコタンコルクルの像"!!プログラムの中ではこの像の実写版!?って思えるほどそっくりな方が登場します(^^)
「ポロト湖」はアイヌ語で大きな沼という意味。施設内では湖畔に並ぶ"チセ(アイヌの伝統的家屋)"のひとつで公演が行われる。
【祈り】を捧げる準備を特別に撮影させて頂いたが撮影中も不思議な静寂に包まれ、プログラムと言えど儀式自体が神聖なものという事がひしひしと伝わってくる。
「カムイノミ(祈り)」から始まる約45分ほどの公演は驚くほど見入ってしまう内容でタイムスリップしたような感覚になる。
ムックリと呼ばれる口琴は意外と知られてる楽器だがロシアには鉄製、台湾の山中だと3弦の物などがあり、弾き方やメロディーが驚くほど似ている。樹の葉が風に揺れる音や水を吸う音などを表現する共通の考え方は自然に由来した生活を感じることが出来る。
"イヨハイオチシ"と呼ばれる即興歌や数少ない男性の踊り"エムシリムセ"などの他に、白老に古くから伝承される熊の霊を送る踊り"イヨマンテリムセ"などが披露される。施設内ではかなり大きな熊を見ることができる。
プログラムの締め括りにはアイヌの食文化で保存食の一種サッチェプという鮭の燻製を実際に味わう事が出来る。白老で取れた秋鮭を湖畔で寒風干しにしチセの中に吊るし囲炉裏の煙で燻製にする。約7ヶ月に及ぶ工程を古からの技法で忠実に再現している。
今回取材させて頂いた「ポロトコタンの夜」、取材の後に外に出ると湖畔に並ぶチセが篝火に照らされとても幻想的。関西出身の新参どさん子として知らん事が多いな~と感じる一夜でした。個人的に一番気に入ってしもたのがサッチェプ。今も記事を書きながらデスクの傍らに置いてツマんでますけど(笑)保存食なんで通常は戻して使うらしいんやけど身がムッチャ柔らかくて鮭の風味が絶品!!究極のスローフードなんかも(^^;)
北海道フォトライター岩崎
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※撮影:岩崎哲也