アイヌ文化ってどんな文化?と思っているみなさん、平取(びらとり)町の二風谷(にぶたに)地区にある「平取町立二風谷アイヌ文化博物館」へ行ってみて!アイヌ民族の文化や歴史を楽しみつつ、しっかり深~く学ぶことができますよ。アイヌ文様が入った衣装や生活用具、信仰具なども美しくて見ごたえあります。
平取町立二風谷アイヌ文化博物館は、車で新千歳空港から約1時間、札幌市内からは2時間弱で行けるので、観光やドライブで行きやすい距離感。北海道の中では雪が少ない地域なので、冬でも比較的訪れやすいですよ。
ここでは、平取町内を流れる沙流川流域のアイヌ文化を中心に紹介。アイヌ民族がかつて使用していた衣装や装飾品、丸木舟など、さまざまな資料が展示されています。ここではほんの一部だけ紹介します。
器用!自然を活かしたアイヌ文化
館内に入ると、人々の暮らしについての紹介にはじまり、祈りや信仰、伝説や物語などアイヌ民族独特の精神文化の紹介、農耕や狩猟にまつわる器具などの紹介、造形物の紹介と続きます。
服の生地の多くはアットゥシという、アイヌ民族に伝わる独特のもの。イタとともに国の伝統的工芸品に指定されています。
アットゥシとは、オヒョウニレなどの樹皮をはぎ、内皮を水に浸して取り出した繊維を糸に紡ぎ、反物にしたもの(実は途中さらにもっと細かく工程があります)。恐ろしく手間暇かかる生地なんです。
※アットゥシの「シ」はアイヌ語の発音を日本語表記すると、正式には小文字の「シ」です。
アイヌ文様は衣類をはじめ生活用具など、さまざまなもので見かけます。基本的には女性が刺繍で、男性が彫刻で施すそうです。
メノコマキリの鞘と柄にはアイヌ文様があり、両端や真ん中には金属が巻いてあるように見えますが、これ何かわかりますか?実は金属ではなく、桜の木の皮を巻いたものなんですって!アイヌ文化って、自然のものを上手に活かすんですね。
驚き!アイヌ民族の独特な精神文化
ガラスのショーケースの中には、さまざまな生活用具や信仰に使う用具などが展示されています。じっくり一つひとつ見ていくと知らぬ間にかなりの時間が経つくらい、いーっぱい展示物があります。タマサイは現代に例えるならネックレス。テクンカネというブレスレットや、ニンカリというピアスもあります。
こちらは儀礼時に神様とやり取りを交わす通信道具のようなもの。いわば携帯電話ですかね!?
住居を意味するチセをイメージしたコーナーもあります
住居の間取りを現代に例えるなら、戸建ての広いワンルーム。部屋の真ん中に調理用ガス台兼暖房器具の囲炉裏があります。インターホンはないので、来客は咳払いをするのが訪問時のお約束なんですって。
上座は神聖な方向。地域や時代によってさまざまな方位観がありますが、沙流川流域では東~南東側とされています。
アイヌ文化をちょっと体感
展示物の中にはこんなものも。さらにもっとアイヌ文化を体験してみたいという方は、施設の隣にある二風谷工芸館で、アイヌ文様の刺繍体験や彫刻体験なども楽しめますよ(要予約)。
かなり見応えある展示物の数々。まだまだたくさんあって、とてもここでは紹介しきれないくらいです。アイヌ文化って何ぞや?と思っているみなさん、ここに来れば楽しくディープに学べますよ。
※平取町立二風谷アイヌ文化博物館では、2018年度に案内表記の多言語化や大型スクリーンの設置など館内外各所でリニューアルをするため、2018年度以降はここで紹介した内容と実際の内容が異なる場合があります。
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「アイヌ文様」(北海道各地):北海道遺産シリーズ31
※著作権表記
取材・写真・文/北海道Likersフォトライター nobuカワシマ
http://www.no-1-travel.com/
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