2017年12月04日 | nobuカワシマ

平取町立二風谷アイヌ文化博物館でアイヌ文化を楽しくディープに

平取町立二風谷アイヌ文化博物館の展示物


アイヌ文化ってどんな文化?と思っているみなさん、平取(びらとり)町の二風谷(にぶたに)地区にある「平取町立二風谷アイヌ文化博物館」へ行ってみて!アイヌ民族の文化や歴史を楽しみつつ、しっかり深~く学ぶことができますよ。アイヌ文様が入った衣装や生活用具、信仰具なども美しくて見ごたえあります。

 
平取町立二風谷アイヌ文化博物館▲平取町立二風谷アイヌ文化博物館。独特な外観が目を引きます


平取町立二風谷アイヌ文化博物館は、車で新千歳空港から約1時間、札幌市内からは2時間弱で行けるので、観光やドライブで行きやすい距離感。北海道の中では雪が少ない地域なので、冬でも比較的訪れやすいですよ。

ここでは、平取町内を流れる沙流川流域のアイヌ文化を中心に紹介。アイヌ民族がかつて使用していた衣装や装飾品、丸木舟など、さまざまな資料が展示されています。ここではほんの一部だけ紹介します。


沙流川▲平取町内を流れる沙流川。流域にはアイヌ民族の伝説が残る山や岩などが多数点在し、これらの一部は重要文化的景観(国文化財)にも選定されています

 

器用!自然を活かしたアイヌ文化 

平取町立二風谷アイヌ文化博物館の展示物▲展示コーナー入口にあるイタと呼ばれるアイヌ文様の彫刻を施した木の盆が掲げられています。イタは北海道ではじめて国の伝統的工芸品に指定されました


館内に入ると、人々の暮らしについての紹介にはじまり、祈りや信仰、伝説や物語などアイヌ民族独特の精神文化の紹介、農耕や狩猟にまつわる器具などの紹介、造形物の紹介と続きます。

 
平取町立二風谷アイヌ文化博物館の展示物▲昔使われていた、アイヌ民族のさまざまな服がズラリ


服の生地の多くはアットゥシという、アイヌ民族に伝わる独特のもの。イタとともに国の伝統的工芸品に指定されています。
アットゥシとは、オヒョウニレなどの樹皮をはぎ、内皮を水に浸して取り出した繊維を糸に紡ぎ、反物にしたもの(実は途中さらにもっと細かく工程があります)。恐ろしく手間暇かかる生地なんです。
※アットゥシの「シ」はアイヌ語の発音を日本語表記すると、正式には小文字の「シ」です。

 
平取町立二風谷アイヌ文化博物館の展示物▲背中にはアイヌ文様がバシッときまっています!


アイヌ文様は衣類をはじめ生活用具など、さまざまなもので見かけます。基本的には女性が刺繍で、男性が彫刻で施すそうです。

 
平取町立二風谷アイヌ文化博物館の展示物▲メノコマキリという女性用の小刀。アイヌ語でメノコ=女性、マキリ=刀です。ちなみに男性のことはオッカヨと言います


メノコマキリの鞘と柄にはアイヌ文様があり、両端や真ん中には金属が巻いてあるように見えますが、これ何かわかりますか?実は金属ではなく、桜の木の皮を巻いたものなんですって!アイヌ文化って、自然のものを上手に活かすんですね。

 

驚き!アイヌ民族の独特な精神文化

ガラスのショーケースの中には、さまざまな生活用具や信仰に使う用具などが展示されています。じっくり一つひとつ見ていくと知らぬ間にかなりの時間が経つくらい、いーっぱい展示物があります。

 
平取町立二風谷アイヌ文化博物館の展示物▲タマサイという首飾り。儀式で正装する時に女性の首元と胸元を飾るものです


タマサイは現代に例えるならネックレス。テクンカネというブレスレットや、ニンカリというピアスもあります。

 
平取町立二風谷アイヌ文化博物館の展示物▲トゥキパスイ(イクパスイ)という、アイヌ民族が儀式で使用する木製の祭具。日本語では捧酒箸といいます


こちらは儀礼時に神様とやり取りを交わす通信道具のようなもの。いわば携帯電話ですかね!?

住居を意味するチセをイメージしたコーナーもあります

 
平取町立二風谷アイヌ文化博物館の展示物▲チセそのものがあるのではなく、柱などで間取りや空間を紹介する変わった展示法。手前にチセの模型があります


住居の間取りを現代に例えるなら、戸建ての広いワンルーム。部屋の真ん中に調理用ガス台兼暖房器具の囲炉裏があります。インターホンはないので、来客は咳払いをするのが訪問時のお約束なんですって。

 
平取町立二風谷アイヌ文化博物館の展示物▲手前側が入口で奥が上座。さらに奥のガラスの中に見えるのは祭壇を再現したコーナーです


上座は神聖な方向。地域や時代によってさまざまな方位観がありますが、沙流川流域では東~南東側とされています。

 

アイヌ文化をちょっと体感

展示物の中にはこんなものも。

 
平取町立二風谷アイヌ文化博物館の展示物▲仕掛け弓の体験模型。かつてアイヌ民族は、弓矢を使ってヒグマなどの動物の狩りをしていました

 
平取町立二風谷アイヌ文化博物館の展示物▲ヒグマが出てくると弓矢が飛び出す仕組みです。あたるかな?

 
平取町立二風谷アイヌ文化博物館の展示物▲チプと呼ばれる丸木舟の一部は乗ってみるのもOK!漕いでみます?※チプの「プ」はアイヌ語の発音を日本語表記すると、正式には小文字の「プ」です



さらにもっとアイヌ文化を体験してみたいという方は、施設の隣にある二風谷工芸館で、アイヌ文様の刺繍体験や彫刻体験なども楽しめますよ(要予約)。

かなり見応えある展示物の数々。まだまだたくさんあって、とてもここでは紹介しきれないくらいです。アイヌ文化って何ぞや?と思っているみなさん、ここに来れば楽しくディープに学べますよ。

※平取町立二風谷アイヌ文化博物館では、2018年度に案内表記の多言語化や大型スクリーンの設置など館内外各所でリニューアルをするため、2018年度以降はここで紹介した内容と実際の内容が異なる場合があります。

 

■関連記事

イランカラプテ~はじめての平取探訪、アイヌ文化モニターツアー
アイヌ民族の伝説を探る~平取町の沙流川沿いの文化的景観
「アイヌ文様」(北海道各地):北海道遺産シリーズ31

\見たい!見るべき!と思ったら「なまらいいね!」/

この記事をSNSでシェアしよう!
  • 平取町立二風谷アイヌ文化博物館でアイヌ文化を楽しくディープに
  • Google+

FacebookのIDを利用して、北海道Likersへ登録します。

北海道Likersは、北海道を愛する皆さんと北海道を盛り上げるコミュニティです。

  • 利用規約に同意の上ご登録ください。
  • FacebookのIDで簡単に登録できます。登録は無料です。
  • Facebookに設定しているメールアドレスを登録します。お客様のメールアドレスは、北海道Likers運営からの連絡に利用いたします。
Title
Close