Sweet Peach!-スイートピー-
水野透子+千手ちゆ)
百合度★★★★★

初潮を迎えた少女の身体の甘い香りに惹かれてきた女性たちに、ヒロインが次々キスやそれ以上のこともされてしまう総受けハーレムの物語。

メールマガジンの紹介によると……。
ある日突然、怪しい影に襲われた桃香。そこに現れた不思議な力を持つ美女二人に救われ、異世界に連れて行かれ…。キス&スキンシップの嵐に翻弄される桃香の持つ“力”とは? そして桃香に芽生えたほのかな感情の行く先は―!? 和ハーレム百合コミック第1巻、満を持して登場です♪
百合姫掲載ということで百合度は高く、もちろん登場人物は女子ばかりだし(多分)唯一登場する回想シーンの男性(?)キャラの桃香の父の胸にも立派な乳が……ってこれは林家ギャグの世界ですね(笑)。

水野透子先生は「百合姫Wildrose」Vol.2の表紙を描いているということで百合好きにもお馴染みですね。

他にも「百合姫Wildrose」Vol.1「百合姫」VOL.10にも「アーケイディア~楽園の花~」という作品を寄稿されていましたね。

この作品は和風ファンタジーということで、水野透子先生もお好きだということもあるんでしょうが、百合ゲーム「アカイイト」に似てるところはありますね。この作品は原作クレジットがあるので、原作者さんが水野先生の描きたいジャンルを酌んでプロットを出したとか、あるいは趣味の似てる者同士集まった、ということもあるかもしれませんね。
ちなみに原作クレジットにある千手ちゆさんという人は検索してもこの作品のクレジット以外の情報が全く出てこないし、単独名義のコメントも見たことがないんで、本当に実在する人のP.N.なのかあるいは何人かいるスタッフのチーム名なのか気になってしまいますね。

というわけで「アカイイト」っぽい雰囲気もある本作ですが、あちらはキスもないプラトニックな関係だったのに比べ、こちらは初対面の時からキスや、それ以上のコトもされてしまうというエロエロな作風で、その辺は大きく違いますね。

以下各話感想。

最初のカラーページは、雑誌掲載分からかなり描き直しが入っていますね。雑誌をまだ持っている人は、見比べてみると面白いですよ。
1ページ目は枠に効果トーンがついていたり、花びらが多めに舞っていたり瞳や髪の色も明るめに彩色しなおしているようです。2、3ページ目の扉絵はさらに描き直されており、キャラの構図以外の背景、彩色などはほとんど描きなおされているのではないでしょうか。水の上に建っている厳島神社みたいな建物や水の上に浮いているたくさんの花びらが綺麗ですね。桃香たちはそこで、水に足元を浸からせながら絡み合っている絵になっています。桃香たちの上にも花びらがたくさん降りかかっていて、非常に美麗なイラストになっています。

初潮を迎えたその日から、謎の黒い物体に襲われるようになったヒロイン桃香。その場を綺麗な女性マリアに守ってもらい抱きしめられますが、守ってくれたマリアは「もう我慢できないのうーんときもちよくしてあげる力をぬいてー」と服の中に手を入れられたり唇や首筋をペロンと舐められファーストキスも奪われ、今度はこちらの女性に襲われるような格好になってしまい貞操の危機です。そこをもう1人の格好良い女性藍令に助けられますが、この女性も桃香に欲情しているようで、降下する際舌を噛まない様にとキスをされてしまいます。さらに新たに現れた全裸のハムスター少女モルテアにもキスされ押し倒され、胸をペロペロ舐められて総受け状態は続きます。

お清めの儀式で気持ちよくなってしまって立っていられなくなってしまい、藍令の胸の中に崩れ落ちる桃香はえっちくて良いですね。番外編には、このとき抱きとめた藍令がやはり欲情してしまい、意識を失った桃香にそのままキスをしてしまったようです。藍令は桃香に、愛しみの感情とともに、握りつぶしてしまいたくなるような暗い感情も心の中に抱えているようですが……。

マリアとモルテアに両側からキスされて目が覚めた桃香ですが、モルテアが自分のブラジャーの匂いを嗅いで楽しんでいるのを見て、あわてて取り返そうとしますが、飛んだブラジャーが藍令の顔を直撃してしまい、ますます恥かしい思いをすることになってしまいます。桃香に「嫌!」と言われ落ち込んでいる藍令に「このヘ・ン・タ・イ」と言っていじめるマリアが鬼畜ですね(笑)。

新キャラのアマテルさまとウズメは何気にラブラブですね。この作品はあおりのコピーによるとハーレム百合とのことですが、天照大神とアメノウズメの日本神話の2人という事で、この2人は鉄板でヒロインには手を出してこないかもしれませんね。
十干の乙女に会わなければいけないと言われ、話が終わるや否や即座に目的の地へ飛ばされた桃香たちですが、飛ばされた先で女子同士絡み合って無駄な時間を費やしてしまって面白いですね。早速見つけた十干の乙女もやっぱりと言うかなんと言うか、桃香に迫って来てしまいます。

「桃酔花」
単行本描き下ろしの番外編です。桃酒で酔いつぶれてしまった桃香以外の面々。藍令だけは平然としているのでお酒に強いのか……と思いきややっぱりへべれけで、いきなり桃香にキスをして押し倒し、胸を触りながら首筋を噛み……と食べられそうになってしまいます。結局その後は酔い潰れて2人とも眠ってしまったようですが、目が覚めても2人ともお互いに夢だと思ってしまうのが面白いですね。


ところでこの作品、連載第1話で主人公が初潮になって行った先の保健室の先生2人もすでに藍令とマリアに入れ替わっていたようで、よく見ると最初から1巻の最後まで異世界で、まともな日常シーンが一度も出てきてないような気がするんですよね。ひょっとしたら桃香はもう死んでいるんじゃないかとうかがわせる描写もあって、これから桃香が元の世界に戻ることがあるのかどうか、その辺は気になります。

藍令が桃香に対して何やら黒い感情を持っていることは気になりますね。これは混ざり合った魂を元の形に分かつ力を持っているという桃琳樹の復活が鍵になってくるのでしょうか。また「次代さま」と呼ばれていた桃香が桃琳樹に対してどういう役割を持っているのかなども気になりますね。
1巻はいろいろ伏線を張っている部分が多くなりそうですね。多分今後も百合な絡みのお色気シーンをたくさん挟みながら進行していくと思うんですが、これからどうまとめていくのかも楽しみです。

タイトルは「スイートピー」ということですが、これはあくまで「スイートピーチ」の「チ」を省略しただけのようですね。作中の絵も特にスイートピーの花が多く描かれているというわけではないし、作中で関係あるのはやはり「桃香」の名前にもなっている桃の花でしょう。「スイート」な「ピー」(何かの隠語?)がメインの作品、ということなんでしょうか(笑)。

水野透子先生のBL的なドリーム入った作風と「アカイイト」的な和風ファンタジーな世界観、さらにヒロインの初潮や下着の匂いに女性が反応してしまうフェチな部分が混合していて、まあもちろん個々の要素自体は以前からあったものでそれほど珍しくはないんですが、それらを全部組み合わせてしまうというのは、結構斬新ですね。女性的な要素も多いと思うんで担当編集はぱいんさんでしょうか……と思って奥付見たらそうでした。やっぱりなあ(笑)。