最近話題になっている『ニューエリート』を読んだので、その感想をまとめておきます。
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ニューエリートの定義については、カンタンにまとめると「これまでの有名大学を卒業し大手企業に就職する出世コースではなく、持続的に成長を続けてこれからの時代をリードする、ポスト資本主義の世界の仕組みを作る人たち」と言ったところでしょうか。
そしてすでにお気づきかと思いますが、非常にニューズピックス的な一冊です。
佐藤航陽さんの『お金2.0 』、落合陽一さんの『 日本再興戦略 』、塩野誠さんと佐々木紀彦さんの『平成のキャリア戦略 』辺りの本を読んだことがある方は、あぁだいだいこんなことが書いてあるんだろうなと思うかもしれません。
実際にニューズピックスでも『ニューエリートの創り方』という特集を組んでいて、この本の著者であるピョートルさんのインタビューなども掲載されています。
なので、ニューズピックス的な思想や働き方論が好きな方は、非常に共感できる内容だと思います。
逆にこの辺りの本を読んだことがない方は、今後の生き方やキャリアを考える上で、視野を大きく拡げる一冊だと思います。
Amazonの内容紹介は下記のような感じです。
- 未来は予言できない。しかし新しい仕事を作ることは、今できる
- 会社に合わせて生きるくらいなら、社外に道を切り開け
- アフターファイブに勉強するより、仕事に学びを絡めよう
- その道のプロに会うためにお金を使うのが、自分がプロになる近道
- 決断は直感で。早く動いて結果を出す
- 日本人にはフィードバックが圧倒的に足りない
- 会議・チーム作りはアウトプットから逆算する
- チームメンバーは固定させない
- イノベーションを生み出すチームの条件
- マラソンではなくスプリントの発想で生きる
- 人材を活かす企業は「従業員の自己実現のために会社がある」と考える
- クリエイティブな人材を見分ける前にやるべきこと
この本を読んでいて、非常にオリジナリティを感じた部分がありました。
それが次の2点です。
- 著者の半生が壮絶
- 「ニューエリート」の実例として著者の知人が出てくる
この2点について詳しく書いて行きます。
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著者の半生が壮絶
著者の経歴について、Amazonなどにはこう記載されています。
ポーランド生まれ。ドイツ、オランダ、アメリカで暮らした後、2000年に来日。2002年よりベルリッツにてグローバルビジネスソリューション部門アジアパシフィック責任者を経て、2006年よりモルガン・スタンレーにてラーニング&ディベロップメントヴァイスプレジデント、2011年よりグーグルにて、アジアパシフィックでのピープルディベロップメント、さらに2014年からは、グローバルでのラーニング・ストラテジーに携わり、人材育成と組織開発、リーダーシップ開発などの分野で活躍。現在は、独立して2社を経営。日本在住17年。ダイビングと合気道を行う。
これだけを読むと、「モルガン・スタンレーからGoogle~、またハーバード大学MBAとかスタンフォード大学大学院とかそういうエリートなんでしょ?」なんてことを私なんかはすぐ思ってしまうのですが、彼の場合は全く異なります。
この本の序章に「そもそも僕はエリートではなかった」と見出しで、彼の半生がある程度のページを割いて記述されています。
「少し長くなりますが」と前置きしたうえで書いているので本当に長いのですが、ざっくり書くと、彼は高校へ進学する生徒が自分一人であるような村に生まれ、ポーランドの民主化の影響で高校を辞めざるを得なくなり、ドイツへ出稼ぎに行き、その後ポーランドに戻り高校を卒業、働いて学費を稼ぎながら大学に行くという壮絶な半生を送っています。
日本でいうと先祖代々一流大学みたいなエリートとは真逆の半生を送っているわけです。
そんな彼が圧倒的な努力の末にエリートの仲間入りをしていることは、キャリア形成において恵まれた環境など全く必要ないということを改めて思い知らされます。
そしてそんな彼がこれまでのエリートとは違う「ニューエリート」について語るからこそ、非常に説得力があるのです。
ニューエリートの実例として著者の知人が出てくる
もうひとつのこの本のよかったところは、ニューエリートの実例として、著者がこれまで出会った人たちを紹介していることです。
例えば、次のような人たちです。
- タブーを破ってグローバルに出たマサイ人のリーダー
- ソニーで働きながら株式会社ハピキラFACTORYの代表取締役を務め正能茉優さん
- 大学に行かず輸入ビジネスをしながら学ぶためにレストランでアルバイトをする10代女性
これまでの価値観ではなく、新しい価値観を持った「ニューエリート」の実例として、非常に多くの人物が紹介されています。
実際にどういう生き方をしている人が、これからの時代をつくっていくのか。
そのお手本のような人たちを豊富な実例として多く紹介しているのは、この本の非常にいいところだと思いました。
ゆでガエルか、変革者か
著者の会社では、ビジネスパーソンを次の5つに分類しているそうです。
- 変革層:社会に魔法をかけ、変革を起こす影響力を実際に持っている
- 実践層:「こうしたら変わるかな」「やっぱりこうしよう」という実験と工夫を繰り返し実践している
- 変えたい層:「変えなきゃ」「どうしたら変えられるのかな?」と思いつつも実行力と勇気が足りない
- 気づいた層:「このままじゃダメだ」「でもグーグルみたいにはなれないし」などと、課題を自覚しつつも、半ばあきらめていて行動力も低い
- ゆでガエル層:現状で満足していて、変化の必要性に気がついていない
あなたは今、どの層にいるでしょうか?
決してゆでガエルにならないためにも、今一度これからの人生について、じっくり考えてみるのもいいかもしれません。
その指針として、ぜひこの一冊を参考にしてみてください。
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