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 何もしていないのに、気にしている商品の広告がFacebook上に表示される。思い当たるのは夕食の席でその商品について会話したことだけ。Facebookのスマホアプリが会話を盗聴しているのではないか――。

 米フェイスブック(Facebook)による「スマホ盗聴疑惑」を耳にしたことはないだろうか。筆者も飲み会の席で知人から聞いたことがある。「盗聴しているとしか考えられない」。その知人は、自分の身に起こった出来事をとても気味悪がっていた。

フェイスブックが提供するスマホアプリの数々
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米国議会でも「盗聴疑惑」が浮上

 実は、米国議会でもスマホ盗聴疑惑が話題となった。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEO(最高経営責任者)が2018年4月10、11日(米国時間)に出席した米国議会の公聴会で、スマホ盗聴疑惑を問い正す議員が複数いたのだ。

 4月10日に上院で開催された公聴会では民主党に所属するミシガン州選出のゲイリー・ピータース(Gary Peters)議員が、4月11日に下院で開催された公聴会では共和党に所属するイリノイ州選出のラリー・バクション(Larry Bucshon)議員が、それぞれザッカーバーグCEOに対して盗聴疑惑を問い詰めた。与党の共和党、野党の民主党と立場は違えども同じように「自分の知り合いや家族が体験した話だ」として、「盗聴されているとしか思えない」と述べた。

 ピータース上院議員は「多くの選挙民が私のところに来て、友人と電話ではなく会って話しただけなのに、直後にその内容に関する広告がFacebook上に表示されるようになったと訴えている。彼らはフェイスブックがモバイルデバイスから集めた音声を分析してターゲティング広告をしているのではないかと疑っている。本当にそうか、イエスかノーで答えてほしい」とザッカーバーグCEOを追及した。

 この質問に対してザッカーバーグCEOは、「上院議員は当社がマイクを使って個人情報を集めているという『陰謀論』についてご質問なさっているのですか?」と確認したうえで、「やっていません」と答えた。

 しかし翌日の公聴会でもバクション下院議員が、「シカゴに住む私の息子が同僚とビジネススーツの会話をしたら、次の日にはインターネット上でスーツの広告ばかり見かけるようになった。誰かが携帯電話のマイクを使って我々を盗聴しているという疑念を拭えない」と指摘。米国民の間に疑惑が広がっていることを印象付けた。