2018年04月17日
「現役女性アイドルグループの有料単独公演の最大キャパ」最新版、およその作業が終わりまして現在細かい確認中。1週間以内には出せそうです。
で、今回はどこが伸ばしてどういう情勢で、という話以外にいろいろ思うところがあったので、先にそれを。
ギュウ農フェス行ったときに友人と確認したのが「みんなレベル高いなあ」ということ。もちろんあのレベルの規模のフェスになるとそれなりに選ばれてくるわけですからそりゃそうなんですけど、それでも一昔前にはある程度の割合ではっきり言ってクソみたいなパフォーマンスしかできない子たちもいたわけですよ。それが観た限りほとんどいない。
逆に言えば、今はそういうところで戦えるレベルにまで達しないと、そのグループは漏れなく日に当たることがないまま死にます。そしてそれなりに選ばれたはずの子たちも、更にそこから頭一つ抜けるだけの何かを提示できなければそこ止まりで死にます。
前回に「ここ数年『地下は地下のまま死ぬ』確率が高まっている」と言ったのは、今回一覧をまとめながら、本当に伸び切らないまま数年間活動していたグループがバタバタと倒れている状況も目の当たりにしたためで。
あと最近のアイドルグループに目立つのが、ジャンルの細分化。
ひと昔前であれば「アイドルが本格的なロックサウンドにチャレンジ」というだけで差別化できていたものが、もうそんなの当たり前になっていて、アメリカのグランジ前後のオルタナサウンドをベースにしたヤなことそっとミュート、パンクの中でも完全にメロコアの王道路線のサウンドしか出さないMalcolm Mask McLaren、音楽ジャンルとしての「EMO」を再現しているSola Sound等々、その表現は間違いないんですけど、どんどん狭くなっていって。
その細分化の結果、それなりにいい音楽やっているのにドカンと集客できなくなり、そしてかつては集客できていたはずの「ロック」を標榜していたグループへの求心力がどんどん落ちている。
ロック的な界隈以外もおよそ状況は同じで、数多くの様々に細分化されたところにバラけていった結果、かつて1000人規模以上の会場でライブをしていた中堅以上のアイドルグループが、今は300とか400の箱でしかできなくなっていて、その中のいくつかはやっぱりモチベーションを保つのが困難なのでしょう、解散とかで死んでしまって。
こうなってしまうともうこの界隈で大きく勝ち抜くことは相当に困難で。これも先日言いましたがその中で抜け出るためには「初期にそれなりの資本を投下して認知を即上げする」か「すでに認知があるグループの妹分的存在にして同一ブランドの中で売る」か「解散したグループのエース級を引っ張ってきて最初からオタクが付いた状態でデビューさせる」かしかなく、それも一度抜けたところでその後の安定を保証するものではないという状態で。
正直ビジネスとしては、ベンチャー的に突っ込むには随分ハードルが高くなってしまったのではないかと思います。
それでも諦めていないのは、やっぱりアイドル界隈が1980年代の過去からずっと、日本で一番自由な音楽の場でもあるからで。
細野氏坂本氏のアイドル楽曲に驚嘆したり、後藤次利がうしろゆびさされ組で珍妙な音楽実験を繰り返すのを面白がったり、鈴木慶一が渡辺美奈代のアルバムを私物化してるのを聴いてゲラゲラ笑ったり、楽曲派糞親父の系譜はそこから綿々とつながっていて、今も明らかに頭おかしいのが頭おかしい音楽を作って世に出してくるのをワクワクしながら待っているのです。
まだ終わらせるわけにはいかんのですよ。もっと面白がりたいのですよ。頼んだ若者。